見出し画像

感覚を獲得する、ということについて。

先日、鍼灸師仲間から『(鍼灸の)専門学校を卒業し、免許を取っても治療ができない』という悩みを抱える人が少なくないという話を聞いた。


私もそうだったけど
学校の勉強だけで『自信を持って施術できます』という人になろうとするのは
ちょっと難しいよね…と思う。


鍼灸学校はあくまで"はり・きゅう師"という国家資格を取得するために、最低限必要なことを学ぶ場所で

例えるなら、車の教習所みたいなもの。

免許を取るのに必要な知識と運転の仕方は教習所で学べるけど、
実際の公道での運転は、とにかく車に乗って、運転や車庫入れの感覚を覚えていって、
色々無意識で出来るなーと思えるレベルになって、初めて『運転できます』と言えるようになる。

運転という経験を積まないと、ずーっと運転が怖いペーパードライバーのままなのと同じで、

はり灸の免許だって、取得してからの、たくさんの経験があってはじめて、
自信を持ってカラダにアプローチます、と言えるようになる。

時間が必要なのだ。

そして、はり灸治療の難しさはもう一つ。
数値化しにくい、施術者自身の感覚が求められる、ということがあります。

今は色んなアプローチ方法があるから、何らかの数値をもとにしてはり灸する人もいるけれど
指先から情報を得ることもまだまだ大事で。

その中でも、特に重要なのが

・ツボ(施術ポイント)を見つける感覚
・はり灸の刺激量を見極める感覚

この二つ。


ツボを見つける感覚に自信が持てないと、
どこにはりを打つか、お灸をするかを決められないし

刺激量を見極める感覚が育ってないと、
はりを何本打つのか?お灸を何個すえたらOKなのか?が分からない。

そして、自分の判断(どのツボに、どれくらいの量刺激するか)が合ってたか?間違ってたか?
間違ってたとき、次はどう修正するか?という
トライ&フィードバックが出来ること。

ここまで出来て、初めて『はり灸治療出来ます!』と言えるのだと思う。

だから、まずはこの二つの感覚が育つことが、自信を持ってはり灸治療していくために大事なのだけど
目に見えない"感覚"だからこそ、これで合ってる?間違ってる?なんて不安になる。

この不安に耐えられなくて、諦めてしまう人も少なくないんですよね。

感覚を育てるときに大事なマインド


こんな偉そうなことを書いてますが、感覚が掴めなくてジタバタもがいてた一人で。

はり灸治療を『ある程度いける!』と
ココロから思えるようになるまで10年かかったし

ゆるむ整体のベースである
"カラダの空間にアプローチする"という感覚を掴み、信頼できるようになるまでも
4年かかってます

(そしてどちらも、まだまだ深めていける、
伸び代だらけの状態だと思ってます)


自分の感覚を信頼できるようになるまでは

出来ない自分に落ち込んだり、一緒に学んでる仲間が感覚を掴んでいくのを見て焦りや嫉妬にかられたり。

出来ない〜!!と練習中に号泣したことも何度もあります。

それでも感覚を掴むまで続けてこられたのは何故だろう?と振り返ると

ただただ練習が楽しかった。

そして『出来るようになりたい』としつこく思い続けてきた

この2点が大きかったなぁ、と思います。

失敗しても大丈夫。
出来ることだけやれば大丈夫。

ちなみに、感覚を掴んだり、はり灸のように何らかの技術を獲得していくとき

その技術や感覚を教えてくれてる先生みたいに出来ない、とか
先輩たちのように分からない、とか
一緒に学んでるあの子より出来てない、とか

誰かと自分を比べて、自分の出来てないところにばかりフォーカスしてしまうと

感覚を掴む前にココロが折れて、やめたくなっちゃうので要注意です。

私もそうだったけど

誰かと自分を比較して出来ない・分からないと悩んで落ち込むのは、
自分のメンタルを削るだけの、すごく無駄な思考です。

(比較は大事ですよ。あの人より出来てない、と自覚して、じゃあどうしたら良い?って考えて、努力するのは成長につながるので。
そこをちゃんと見て、客観視できるのってすごいことです!!

ただ、せっかくの認識を落ち込むだけ、に使っちゃうのは時間の無駄で、勿体無いよーって話です)

自分の至らないところを見るのと同じくらい
『今できてること』をちゃんと見るのが
すごくすごく大事です。

どんなに出来てない!という人でも
細かく細かく見ていくと
みんな必ず一つは『出来てる』ことがある。

例えば、ツボの感覚が分からなかったとしても

分かってない、ということがちゃんと認識できてて、
その感覚を掴むための練習方法は出来るようになってるとか。


教えてもらった施術の全部は出来ないけど、一個だけ(ほんのちょっとでも)わかったような、良い感じにできた施術がある、とか。

最初は、それだけでいい。
それだけできたら充分なんです。

練習方法が出来るなら、それをひたすら練習する。

ほんのちょっとでも良い感じだった施術があるなら、まずはそれだけをひたすらやってみる。

この、小さな小さな『出来る』を
ただただやる、育てていく。

そうすると、どんどん『出来る』が大きくなっていって、本当に出来てるかも?!と思えるようになってきて


そうやって出来てる!を積み重ねていったその先に、感覚の獲得があるんです。


大人になると忘れちゃってるけど

トイトレも、歩くのも、字を書くのも、
スポーツも

たくさんたくさん練習して
たくさんたくさん失敗して
感覚を掴んできた。

だから、あの頃と同じくらい
練習すればいい。失敗して大丈夫。

そして今この瞬間、出来てることを
大事にしよう。

そして、いつか出来るようになりたい、
と思い続けて
やり続けていけば

気づいたら、出来るようになってる
分かるようになってる。

感覚ってそんなものです。

だから、失敗も練習も
もっと安心してやってったら良いと思うし

私もこれからも
練習と失敗、いっぱいやっていこうと思います。


追記:
今まで、私が出来るようになるまで楽しく練習できたのは、仲間がいたからが大きいです。

だから、掴みたいことがあるなら。
一緒に悩んで頑張れる仲間を作ってほしいなと思います。

仲間とあーでもない、こーでもないとやりながらだと、
失敗と練習を重ねた時間も
気づいたらあっという間ですよ✨



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?