見出し画像

【競馬小噺】サー・アレックス・ファーガソン、ネオムターフCで日本馬に勝利

先日のサウジカップはフォーエバーヤングをはじめ多くの日本馬が活躍を納め、改めて日本競馬のレベルの高さを証明する結果となりました。
そんな中、キラーアビリティが2着好走したネオムターフCの勝ち馬、スピリットダンサーの馬主が"あの"サー・アレックス・ファーガソンだったことがにわかに注目されています。

「競馬人」としてのファーガソン

サッカーファンの方々には最早説明するまでもありませんが、サー・アレックス・ファーガソンとはイギリスの名門、マンチェスターユナイテッドの監督を20年以上務め、同チームを2度のCL制覇に導いた名将中の名将です。

イギリスのサッカー関係者の中には、時折彼のように競馬にハマる人も多く、最近では2014年の愛セントレジャーを自身の生産・所有馬で制覇したイングランド代表のレジェンド、マイケル・オーウェンが有名でしょうか。
他にもサッカー選手としてのキャリアを終えた後、調教師に転身、06年サンクルー大賞のYoumzain、12年愛1000ギニーを制したSamitar等を輩出したミック・シャノン調教師のような変わり種まで、何故か皆平然とGⅠ制覇歴のあるガチな人ばかり。

そんな魑魅魍魎蠢くイギリスのサッカー界の中でも1番「競馬人」として有名なのはファーガソン氏では無いでしょうか。

なんせGⅠ7連勝、"The Rock"、あのロックオブジブラルタルの馬主ですから。

実は彼の種牡馬入りを巡ってクールモアとファーガソンが裁判沙汰になり、クールモアがマンチェスターUのスポンサーを撤退。後々の同チームの暗黒期のきっかけに繋がる自体にまで繋がるのですが、そのお話はまた別の機会に。

そんなファーガソン氏ですが、2013年に監督を引退するとより一層の競馬に熱中し、サラブレッドの自家生産を開始することになります。

名伯楽の「自家生産馬」スピリットダンサー

自家生産を開始するにあたり、ファーガソンはドイツからQueen's Dreamという馬を購入しました。
晴れて繁殖牝馬のオーナーとなった彼が花婿に選んだのはフランケルでした。当時は産駒デビュー直前で、種付け料は12万5000ポンド。産駒は既に高額で取引されていましたが、3倍近い35万ポンドの種付け料に高騰していることを考えると、結果的にはお得な買い物だったんじゃないでしょうか。

そうして生産者「Sir Alex Ferguson」の名を背負って産まれた彼ですが、重賞戦線とは縁遠い時間が長らく続きます。
しかし、5歳の秋頃からハンデキャップ競走で好走を始めると、昨年夏にはGⅢストレンゾールSを重賞初挑戦で初制覇。勢いのままに賞金50万ドルの高額賞金レース、GⅡバーレーンインターナショナルトロフィーを制覇することとなりました。

そして今回、同じく高額賞金レースであるネオムターフCを制覇。
このレースにはキラーアビリティ、スタッドリー、ハーツコンチェルトら日本馬も多数参戦していましたが、なんと言っても欧州古馬では総大将格のGⅠ3勝馬Luxembourgが断然の一番人気に支持されていました。
筆者もLuxembourgがどんな勝ち方をするレースかな...と思っていたので、スピリットダンサーの勝利はかなり衝撃的でしたね。

おそらくこの後はドバイターフに転戦した後、夏は欧州の重賞路線に顔を出すことになるんじゃないでしょうか。
適性的にも年末の香港等辺りに遠征すれば、ロックオブジブラルタル以来のG1制覇可能性はありそうです。

余談

ところで、ファーガソンの自家生産馬を見てみると"Road to Wembley"とか"Hampden Park"等、サッカー関連の馬名も目立ちます。前者はお馴染みサッカーの聖地、後者はスコットランド代表がよく使うスタジアムですね。
結構シーザスターズみたいな高額種牡馬を所有する繁殖牝馬につけているようですし、そのうちサッカー関連の馬名で生産者がファーガソンという欲張りセットみたいな馬がG1戦線を賑わす日も近いかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?