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馬場解放でエクイターフを体験してきた話

遡ること皐月賞当日。運良く私の友人が馬場解放に当選した為、中山競馬場の馬場解放に参加してきました。


中山競馬場で使用されている芝はJRAにより
独自開発された品種であるエクイターフ。

詳細は以前noteに投稿したこちらの解説に託しますが、ざっくり言うと地下茎の密度が高い(=地面が硬くえぐれにくい)ような性質を持っています。

偉そうにnoteで解説したとはいえ、これまでエクイターフを実際に触ったことはありませんでした。ということで、百聞は一見にしかず、エクイターフに実際に触れてきたレポをしていきたいと思います。

エクイターフを触った感想

さて、実際に触れてみた感想を箇条書きにまとめると

  • 葉は長く柔らかい

  • かなり青々と生えているが、走ってみると抵抗が少なく人間でも走りやすい

  • 地面はかなり硬い

こんな所でしょうか。「芝」というと普段我々の家の庭にあるような短く切り揃えられたモノをイメージしがちですが、そうした芝よりしっとりして柔らかい感触です。一般的に野芝はイネ科ですが、この"しっとり感"はなかなか普通のイネ科とは異なるものでした。

そして、これだけ葉の量が多いことに加え、しっとり・柔らかく...と聞くと中々走りづらそうなイメージも湧きそうですが、実際に走ってみると地面が硬いこともあり人間でも普通に全力疾走できます。
筆者は以前ノーザンFのウッドチップ坂路を全力疾走した事がありますが、ぶっちゃけそれより遥かに走りやすいですね。そういう意味では"芝が得意・ダートやウッドチップが得意"といった馬場への適性は存在するんだろうなという印象を受けました。

また、ちょうどこの時は藤岡康太騎手が亡くなった直後ということもあり(彼が落馬したのはダート戦でしたが...)、落馬のシチュエーションが頭を過り、地面の硬さを確認しましたが、これは自分の想像を遥かに超える硬さでした。

仮にも芝生なのでクッション性はあるのかな...というイメージがあったのですが、実際には砂グラウンドに近い硬さ。時速60km/hを超える馬から落ちた場合、コンクリートに叩きつけられるような衝撃になるだろうなということが容易に想像出来、騎手という職業が改めて常に大怪我と隣り合わせな職なのだなと感じさせられました。
実際に筆者も地面に身体を叩きつけてみたのですが、身構えていても相当衝撃が身体に伝わり痛かったです。

地面の硬さに関しては他にも、某掲示板などでは「中央の芝はカチカチで馬の怪我の原因となる」という真偽不明の言説が展開されていますが、実際に上を歩いてみると確かにそう言われても仕方ないとも思いました。筆者はJリーグやプロ野球で使われているいくつかのスタジアムのピッチ上に立ったことがありますが、そのいずれよりも遥かに硬かったと思います。

根本部分拡大写真

地面をよく見てみると、確かに硬い茎がかなりの密度で広がっています。氷山空母ハバクックで使用される予定だった複合材料であるパイクリートは水とパルプを混合して凍らせることで強度を高めた材料でしたが、同様に土と高密度の茎を混合させることで強度が高くなる(≒耐久性に優れる)んだろうなと感じます。

その他馬場の荒れ具合とか坂とか

ゴール前内側の馬場

あと競馬民として気になるのは馬場の外内の荒れ具合とか...
開催最終日ということもあり、馬場の内側は上記画像の通りかなーり荒れていました。馬が全力疾走しているのですから、当然少し地面が抉れている所もあり、そうした所で全力疾走すれば多少足を取られてしまいます。
ただ、多少の凸凹こそえれど地面自体は外も内もそれなりに硬いので、内は極端に走りにくい...なんてことはなく、イン突きの重要性も感じました。

中山の坂は短いゾ

あとはよく言われる"中山の坂"。先述の通り、坂路爆走経験もある筆者は競馬場の坂について、結構キツイもんなのかな...?と考えていました
ただ実際に走ってみても、意識しないと気づかない程度には緩やかな坂であり、「馬が最終直線の坂で急に減速する」という現象に関しては、そこまで坂が影響あるのか...?という感想でした。

おわりに

以上、中山競馬場の最終直線で芝を触ってきたレポでした。自分のこれまで持っていた先入観と異なる経験、逆に知識の通りだった事項も...様々ありますが、そのいずれも良い経験になりました。
特に馬場の硬さは(当時の時勢もあって)相当衝撃的でしたね。
こうした普段馬が走る場所での経験はかなり新鮮で発見も多かったので、皆さんも是非馬場解放に参加してみては如何でしょうか。次回の馬場解放は6/23の東京競馬場で行われる予定です。

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