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2拠点「婚」はじめました。④

前回、夫婦別姓の実践として、事実婚にするのか、それとも法律婚にするのか、ということに触れ、私たちは法律婚を選んだわけですが、

結果として、夫姓なのか妻姓なのか?ということについてもご報告しておきます。

1 家業・長男=跡取り=姓を継ぐ、という刷り込み

私は、田舎の長男で、父親も母親もいわゆる士業をしており、簡単に言うと田舎のボンボンです。
加えて、少し変わった苗字でもあるため、氏を残すへのこだわりが知らず知らず刷り込まれていました。

なので、妻には、思い切って、申し訳ないと思いつつも、上記理由により、私の姓に変えてほしい、と正直にお願いしました。
このときの思いとしては、リベラルで物分かりが良いと見せかけて、実はゴリゴリの保守派やないかーい!という批判も覚悟の上で、ここだけはお願いします!!という思いでした。

それを聞いた妻からの第一声は・・・・

「姓を変えることで私に何か不利益はあるの?」

というものでした。

私は、これまでに調べた内容として、仕事上ではこれまでどおりの姓を使えるけど、預金名義、パスポートの名義など各種名義の変更はしなければならない、という法律婚か事実婚かという話をしたときと同じ内容を伝えました。

すると妻は・・・・

妻「手続き的なことはあなたも手伝ってくれるでしょ?」
私「もちろん。」
妻「子どもができたときの姓について不都合が生じないなら、
私はあなたの姓でいいよ。
あなたの実家のことや仕事のことも考えたら、その方がいいでしょ。」

私「・・・・・ありがとう。」

妻からの言葉に感動して、感謝のあまり心の中で泣きました。

2 アイデンティティーとは何なのか。

簡単に決められることではない。一生のことだから。
それでも妻が決断してくれたのは、
「姓(氏)が変わっても、私は私。別人になるわけでなく、その人の本質に変化はないから。」
という考えがあったからなのではないかと思います。
妻本人からすれば、間違っているかもしれないのですが、結婚後の妻を見ていていると、なおさら妻はこうやって考えていたのではないか、と思えてなりません。
人や物、考え方に至るまで本質を重視する人なのです。
例えば、分かりやすくいうと、ブランド先行で選ばず、欲しいシルエット、素材、デザインから買う服を選んだりしています。

そんな妻を見ていて思うことは、アイデンティティーとは何なのだろう?ということでした。姓(氏)を変更することは、アイデンティティーを失うことだ、という意見も聞かれる中、そもそもアイデンティティーとは何のか?という疑問が湧いてきたのです。

広辞苑によれば・・・
アイデンティティー[identity] とは
❶ 自己が他と区別されて、ほかならぬ自分であると感じられるときの、その感覚や意識を言う語。自己同一性。自我同一性。
「━の喪失」
❷ 組織体で、それを他と区別し特徴づけるもの。独自性。
「企業の━」

そして、アイデンティティーの意味から考察すると、姓(氏)の変更により、アイデンティティーを喪失すると感じるという意見の方々の捉え方は、「これまでの姓であった自分≠変更した姓の自分」
となるのではないかと思われます。

私の妻の場合は、
「これまでの姓であった自分=変更した姓の自分」
という捉え方。
姓(氏)を変更しても、これまでもこれからも変わらぬ自分であり、
姓(氏)は自己を特定するものの本質ではない、と考えているのではないかと思いました。

どちらが正しいというものではないし、人によって本質は異なると思います。事実、私は、姓(氏)をアイデンティティーと捉えています。
だからこそ、妻に申し訳ないと思いつつお願いしたのです。

こうして、私たち夫婦は、夫の姓となることで、落ち着きました。

次回は、夫婦間の約束事について、綴りたいと思います。

それでは、よい一日を。



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