見出し画像

業務プロセスの見える化

 企業は不満などを抱えている顧客に対し、何かしらの価値を提供することで満足などの結果を与え、対価を得ます。その価値は、企業内部の一連のプロセスを経て価値に変換され、提供されます。

価値提供プロセス

 このプロセスが優秀で、他社では提供できない価値を生み出すことができれば、差別化となり、高い競争力を得ることができます。そして、そのプロセスを時代やニーズの変化に合わせてアップデートしていくことで、競争力の維持・強化につながります。

 価値提供プロセスを生み出しているのは、組織であり、その組織に属する人の技能やコミュニケーションなどによりプロセスが構成されています。しかし、多くの中小企業では、この価値提供プロセスや技能の属人化によりブラックボックス化し、見える化されていません。

 そこで、この記事では、業務プロセスの見える化について書きたいと思います。

業務プロセスの見える化のメリット 

業務プロセスを見える化するメリットには以下のようなものがあります。

1 QCD(品質、コスト、納期)の改善
 業務プロセスや手順が見える化され、現場に浸透すると、作業が標準化され、品質が安定します。また、見える化によりムダの発見につながり、業務が効率化され、コスト削減や納期短縮をもたらします。

2 属人化の解消
 誰かの頭の中にしかないやり方やポイントが見えるかされることで、業務の引継ぎが効率化します。また、多能工化も容易になることで、「あの人がいなければ仕事が回らない」、「仕事が休めない」といった問題の解決につながります。

業務プロセスの見直し方

 業務プロセスを見直すには、まず現状を書き出してみることです。下の図はある企業の業務プロセスの一つですが、「diagrams.net」という無料ツールを利用して書かれています。
 業務フローをエクセルやパワーポイントで書いた経験がある人ならわかると思いますが、それらを利用して業務プロセスを書こうとすると、作業が面倒で気が遠くなります。
 その点、この無料ツールは業務プロセスを書きやすい機能が豊富で非常に便利です。基本の操作方法は、ネット上に転がっている操作方法を見れば、すぐに習得できます。

受領書類の点検プロセス1

 業務プロセスを書くコツは、こだわりすぎないことです。図形の種類は3つ程度に絞れば十分理解できます。また、細かい部分まで精密に表現しようとすると時間がかかりすぎます。はじめは、おおざっぱに書き進め、必要に応じて付け足しする程度の気持ちで始めてみましょう。

問題点の洗い出し

 現状のプロセスを書き出したら、問題点を洗い出します。下の図は、現状のプロセス図に問題点を記載したものです。担当者が自分で問題点を見つけることもできるでしょうが、担当者以外の人にも説明してみることで、当たり前だと思ってやっていたことが当たり前ではないことに気づくこともあるでしょう。

受領書類の点検プロセス2-2

新しい業務プロセスの検討

 問題点の洗い出しを行ったら、新しい業務プロセスを検討します。検討する際に大事にしたい視点(ポイント)は以下のとおりです。

Eliminate(排除する)
Combine(結合する)
Rearrange(順番を入れ替える)
Simplify(単純化する)

 業務プロセスを図にしてみると、毎日何も考えずに作業していたことでも、「なぜこんなことしているのだろう?」、「1回で済ませられるのでは?」「なぜこんな順番になっているのだろう?」、「もっと簡単にできないんだろうか?」といった疑問が必ずと言っていいほど出てきます。デジタル技術の活用も意識しながら、アイデアを出し合ってみてください。

 下の図は、検討の結果見直されたプロセスです。データの入力先が一本化させたほか、手書きしたものをPCに入力する二重作業も解消するなどの改善が施されました。もっと効率化できる点もあるかと思いますが、まずはやててみることが大事です。

受領書類の点検プロセス3

おわりに

 業務プロセスを図にすることは、意外と時間がかかり、面倒くさいと感じがちです。現状を変えることに現場は抵抗感を示しがちですので、経営者が上手に現場を巻き込んでいくことが必要とされるでしょう。そんなときは、今よりももっと楽に、早くするためであることを伝えていくことが重要です。

 また、DX(デジタル トランスフォーメーション)が叫ばれる時代ですが、DXはあくまでも手段で、基本的な目的は生産性の向上です。業務プロセスの見える化は、DXにも威力を発揮することでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?