昭和、平成に教わってきた歴史や考古学の一部が間違っていたことが判明し、教科書が修正されています。鎌倉幕府が「いい国作ろう鎌倉幕府」の1192年ではなかった、というように昔の常識が突然変わることが起きています。
今回、お伝えしたいテーマは、普段何気に使ってるミッションの意味は実は違ってますというお話です。
私が提供している「北極星コンサルティング®︎」でお伝えしている「ミッション」の概念をお伝えします。
現在、企業や新規事業のMVVを見直されてる方、新たに作ろうと考えてる方にはぜひ読んでいただきたいと思います。
みなさん、ミッションと聞いてどういう意味を思い浮かべますか?
「日本人の9割がミッションを勘違いしています。」というタイトルは、ちょと盛りすぎかもしれませんが、おそらくみなさんは神の啓示的な崇高なもの、または重要な使命的なものを思い浮かべたと思います。
残りの1割、外資系で働かれてる方は違うものを想像したと思います。
MVVのトップバッターのMであるミッションは、二つのVのビジョン、バリューに比べ重要な要素として扱われています。ほんとにそうなのでしょうか?
英語の mission という単語がアメリカのビジネス界でどのように使われているかみてみましょう。
ミッションの本当の使い方とは?
実は、アメリカ人がビジネスで mission を使う場合は日本人がイメージするものとは異なります。
では、いったいどんな意味で使われているのか、BingとChatGPT に英語で聞いてみましょう。
上記の翻訳です。
BIngの回答には、宗教の使命・啓示みたいなのはありませんでした。しかも、「日本語では」ミッションステートメントという熟語の使い方をしますと、限定的な補足がありました。
続いて、ChatGPT4 に聞いてます。
翻訳してもらいました。
ChatGPT-4は、7つの使い方を教えてくれました。そのうち、2番目は Bing の指摘したミッションステートメントとして別の使い方です。5番目は宗教法人での使命としての使い方。それ以外の5つ、一般的なビジネスシーンでは他人から割り当てらたタスク、任務、義務の意味で使われると説明がありました。
宗教団体のミッションも、意味は「神から与えられたタスク」ということでミッションという言葉には重い軽いはありません。
ロングマンの英英辞典も参考までにリンクしておきます。特別な神からの宗教的な意味はありません。
小学館のプログレッシブ英和中辞典には、英英辞典にはない、「理念」や「天職」といった、英英辞典にはない訳が追加されています。おそらく他の英和辞書も同じく、誰かの解釈が誤って辞書に追加されてしまったのでは、、と推測しています。
ミッションとは他人から与えられたタスク
「ミッション」の語源はラテン語の mitto で、「派遣する」という意味です。宗教の教えを広め、信仰を伝えるために派遣されることが「ミッション」だったわけです。
使命と訳した場合、日本語辞書によれば「誰かに与えられた重要な仕事」という意味です。そして使命を与えられた者のことを使者と言います。
日本の企業がホームページでミッションを最も大切な意味として紹介しているならそれは、「当社が宗教的に派遣されてる仕事」または、「当社が誰かに与えられた仕事」という意味になります。
mission の英語本来の意味は、他人から与えれれたタスク、任務、使命です。神から降ってきた啓示や崇高なもの、企業が一番大切にするものではありません。
月に行ったり、任務をこなしたり、ゲームをクリアしたりするときに使う言葉です。
トムクルーズの人気の映画にミッションインポッシブルがあります。小説の邦題は「スパイ大作戦」ですが、正しく意訳されてます。トムクルーズが演じるイーサン・ハントが実行するミッションとは、所属するCIA内のIMFから指示された作戦です。
あなたもゲームなどで面やステージをクリアした時、ミッションコンプリートという文字が出てくるのをみたことがあると思います。
正しいミッションの使い方とは?
ほとんどの日本企業は、mission という英単語の意味を勘違いし、間違った使い方をしています。
たとえ意味が正しかったとしても、神や他人から与えられた使命、外的コントロールを企業が掲げて目指すべきでしょうか?
それは宗教法人がやるべきことです
他人の指示で動いていますという宣言を行うMVVは必要ありません。それこそが日本企業が30年、前に進まずに停滞した原因です!
と、断定するつもりはありませんが、私が起業した企業がMVVでうまくいかなかった原因は、ミッションを「使命」と解釈したことだと思ってます。
人は他人からの褒美や、外的コントロールを受けるより、内なる思い、インサイドアウトの自発的行動で仕事をした方が捗ります。それがモチベーションです。日本の企業のミッションは知らず知らず、外的コントロールを大切にしてきたのです。
全ての企業の創業者は自分がやるべきこと、解決すべきことをなすために起業したはずです。誰かの外的コントロールで起業した人はいません。世界を変えたいという自発的な強い思い、究極のインサイドアウトだったはずです。
私がお伝えしている、「北極星コンサルティング®︎」では、創業者や引き継いだ経営層の強い思いを「北極星」といいます。なぜその事業をするべきかのWhyにあたります。ミッションは北極星を実現するために提供する価値、Whatです。
ミッションとは、商品・製品やサービス、ソリューションです。
サイボウズのミッションはグループウェアの提供であり、味の素のミッションはアミノサイエンスから生まれた製品の提供です。
では、ビジョンとは何でしょうか。ビジョンとは、会社の理想的なイメージや姿ではありません。ミッションをどこまでやるのかを明確にした、たどり着けるゴールです。
例えば、三井物産のビジョンは下記になります。
だいたいの企業のビジョンはこのような曖昧なものではないでしょうか。日本のMVVが機能しないのは、この曖昧なゴール、ビジョンにあります。
事業を産み育てるのは年に何社ですか?3年後は何社ですか?
社会課題の解決とは何ができれば解決ですか?近所の駐輪場がきれいに並べば解決ですか?
解決する数は年に、いくつですか?3年後にいくつですか?
曖昧なビジョンでは人は動けません。具体的に短期、中期での定量的なゴールの提示が必要です。Whereになります。
ビジョンとは、短期・中期の目標、たどり着けるKGIです。
次回は、そのビジョンについて詳しくお伝えします。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。