コルツェッティとカラオケ
すごい女性の方にモテる友人がいました。東京の予備校時代に出会ったイケメンです。
私はまだピカピカなカントリーボーイ、純真無垢で清楚なヤングボーイ
彼は面白そうな玩具を見つけたとばかりに、さっそく私をいろいろな異世界に引きずりこみます。
オカマの面接やら、三百人合同コンパやら、宗教セミナーの見学、ボクシングジムにプールの監視員、土木作業、銀座のママとの面接などなど
まだ二十歳手前。
好奇心の塊なんでしょうね、彼は今ではアパレル関係の社長さん
その当時、彼はオシャレな学生なので私を裏新宿、裏原宿、裏表参道、なぜか裏ばかり連れ回します。
私は表が見たいのですが、連れて行かれるのは袋小路の場所ばかり、わけのわからない雑居ビルの中に入ると急にオシャレでスタイリッシュな内装のお店。
こんな雑居ビルの中に?やく◯さんのビル?
エレベーターで上がると屋上は芝生のあるカフェ&バー 、田舎者には刺激すぎ
私は無理に平静を装って
『あっこれいいね、バイブスを感じるよ、スタイリッシュとデザインの違いだね』と言っていましたが
実際は緊張のあまりひとくちゲロを何度も何度も。。
同じマンションの違う部屋に友達3人で住んでいたので、深夜によく騒いでいました。
私は幼少時代貧乏だったので、そのままの生活スタイルで彼に接していると、私の行動スタイルを見て彼はカルチャーショックを受けています。
子供の頃お腹が常にお腹が減っていたので、お風呂で沸かしたお湯でチキ◯ラーメンを食べて親父にぶん殴られたエピソードや
私の部屋にゴキブリがでた時、ティッシュがもったいないから素手で掴んで窓にぶん投げると
ムンクの叫びの様に彼はきゃあああと叫びます。
瓶の中で蜘蛛とゴキブリ飼ってたよと笑顔で伝えると、彼はワナワナと震えています。
自分で拾ってきた家電やベッドで自給自足の生活をする私を見て、彼はなにか不思議な生き物を見てるようです。
当時彼には彼女がいて、彼女は彼と喧嘩をするたびに勉学中の私の部屋に急に入ってきます、まあまあ迷惑です
彼女は今で言う黒ギャル、私の部屋のドアをバーンと開け、わああーと泣きながら、私に事の経緯を話します。私の生活には正直プライバシーがありません。
彼女の愚痴はこう
最近彼が冷たい、別れたがっている、悔しいけど彼はかっこいい 、離れたくない、江田島くんは悩みが無くていいよね、それにしても江田島君もてないよね
友達の彼女の愚痴でも 何かむかつきます💢そもそも部屋に土足でブーツで上がってます
それから 月日が経ち、彼らの本当のお別れの日になぜか私もカラオケ屋さんに同席させられています。
彼女はマイクを持ち、あーあーマイクテスト、マイクテスト、オッケーと言いながら、歌います。
彼女は大黒摩季の チョット を選曲
🎵チョット 待ってよ 〜グッバイ優しい声〜で〜卑怯な〜逃げ〜かた〜🎵
私は頭の中で彼女の本音だろうなーと、思いながらタンバリンで激しく合いの手
私の友達はそれを聞いてうんうんうなずいた後、彼はティーボランの BY FOR NOW を歌います
🎵す〜てきな〜別れさ〜出会いの〜未来がある〜か〜ら🎵をお互い交互に延々と歌います。
これも本音だろうなーと聞きながら激しくタンバリン、その後彼は…
さっイカ墨のコルツェッティです
強力粉 500g
塩 7.5g
全卵 225g
イカ墨ペースト 20g
① イカ墨ペーストと塩と全卵をブレンダーで混ぜます
② 強力粉をいれ
フォークで混ぜたあと
ひたすらこねます
③ ラップにくるんで30分ねかし
のばして
コルツェッティという木で掘ったスタンプ型でくりぬき
スタンプを押していきます
完成です このコルツェッティは同じ絵柄は無いので世界にひとつだけの模様ができます
通販で7000円ぐらいで売っています 是非どうぞ
月日が経ち、私と友達は無事大学に合格し、私は今までの人生を払拭する為に、大学デビューをします
髪をロン毛にし、胸元までシャツをあけ、クロムハーツをつけてイメチェンを図ります。
月に2度は女性との飲み会を開いてくれる友達と仲良くなり
仲間3人とユンケルを腕を交差させながらグイッと飲み、ヨッシャー 気合いいれてくぞ
ホストの城咲仁さんのモノマネをしコンパに向かいます。
先ほどのイケメンの友逹にバレないように飲み会に行きますが、必ずバレます。
どこから聞きつけてくるのか、盗聴、スパイ?必ずおなかを殴られます。
飲み会が始まると必ず彼女達の視線は彼1人を見ています。
アウェイの戦いがはじまります
私には『何かおもしろいこと言ってー』ぐらいしか話しかけてくれません。
私はモテたい一心で放つ『モノレールにも乗れ〜る❤️』渾身の冗談も
ぷっ つまんねーと一蹴
2次会のカラオケで座った席は女性側は彼の席に、対面は男の猛者軍団、男3人で彼をどう潰そうかとヒソヒソ話し合います。
野郎2人にヘタレどもが、俺の生き様見とけと、捨て台詞を吐き
私は福山雅治さんの当時流行っていた 『MESSAGE 』を選曲
二人の友達は野郎ー勝負に出たな、と必死にコーラスをしてくれます
よっ広島の福山雅治、肩に戦車が乗っているのかい?足が動くエッフェル塔とボディビル並みの声援
決めのサビで私は彼女達四人を指差し
『ぜったい きみが すーきだよ』 と一人一人の顔に指を指します
女性の皆さん全員ギョッとし、全力で顔をそむけます
そのまま歌い続けながら3回ともサビの度に顔を全力でそむけられます。
イケメンは手を叩いて笑ってるだけ
ご静聴ありがとうございました、私はそう伝えると
冗談、冗談と言いながら少し涙目に、私側の男達は良くやったなと微笑ましい顔
へへへへっと照れ笑いをしながら枝豆を口にほおばり、ビールでぐいっと流し込みます。
ボナペティート♪