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【今だからこそ、発達障害グレーゾーンをちゃんと理解しよう③】~空気が読めない人たち~

ことばが広がってきた今だからこそ知りたい

 今回はパート3ということで、空気が読めないことについて整理していきます。
「空気が読めない」って外からは見えんからこそ苦しんでいる人がおると思うんよね。今回の記事で、空気が読めても、読めなくても、みんなが生きやすい世界・社会ってどんなんやろう?っていうことを考えるきっかけにしたい。

この記事で何がわかるか?

◎「空気が読めない」の3つのパターン
◎「空気が読めない」と、どんなときに問題が起きるのか?

はじめに 「空気が読めない」人は何の障害のグレーゾーンなの?

◎自閉スペクトラム症(ASD)のグレーゾーン

自閉スペクトラム症(ASD)は、
 社会的コミュニケーション障害+2つ以上のこだわり症状 で診断される。
※「社会的コミュニケーション障害」とは、言葉のニュアンスや表情や態度を察して、その場にふさわしい会話をし、気もちや意図や情報を共有することがスムーズにできない状態
⇒これが「空気が読めない」と関係しているんよね。

(「こだわり症状」については前の記事で詳しく説明しています。)

◎大切なことは診断名よりも特性を理解し、対処すること。

空気が読めないことは、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーン。
でも、大切なのは診断名よりも特性を理解し、有効な対処につなげること。

今回の記事では、「空気が読めない」の特性を深掘りして、理解を深めることで、有効な対処につなげていくことを目指したい!

◎「空気が読めない」ってどういうこと?

ASD(自閉スペクトラム症)の社会的コミュニケーション障害の3つの基準
 ①相互の対人的ー情緒的関係の欠落
 ②非言語的コミュニケーション
 ③社会的スキルの障害

「空気を読む」が一般的な言葉になっている今だからこそ、こうやって整理するとあらためて理解が深まるなぁ・・・
って、この言葉だけじゃ「なんじゃこりゃー!?」って感じやから、
下で詳しく&わかりやすく説明するわ。

①「相互の対人的ー情緒的関係の欠落」とは?

対人関係は、お互いにするもの(=相互的)のはずだけど、
その相互的な関わりが欠落したり、うまく働かないということ。

具体的な特徴は、
 ●会話が一方的になりがち
 ●話すタイミングがわからない
 ●会話をしながら相手の気もちや関心を共有できない

◎この特性を持つのはどんな子ども?
 ⇒一緒に遊ぶ友達がいない。
中学生ぐらいで「一緒に遊ぶ友達がいない」と親から見て思う場合には、「相互の対人的ー情緒的関係の欠落」の特性を持っている可能性がある。
(もちろん「友達がいない=障害特性がある」とは一概には言えんよね。その子その子を個別に詳しく見る必要があるよ!)
(発達段階的には、4歳ごろから子ども同士で一緒に遊びだすみたいやけど、こちらはめっちゃ個人差があるよね。)

②「非言語的コミュニケーションの障害」とは?

非言語。つまり、言葉以外のコミュニケーションが苦手。

具体的な特徴は、
 ●表情が硬く乏しい。
 ●アイコンタクトが取れない。
 ●声の抑揚が不自然。(声が大きすぎる人もいる。)
  抑揚:イントネーションやアクセント、リズム
 ●相手がイヤな顔をしても話し続ける。
 ●身振りや目配せがわからない。

◎この特性を持つのはどんな子ども?
 ⇒話すとき、あまり目を合わせない。
※「目を合わせない」=「アイコンタクト」は、お医者さんが発達障害の診断をする際にも重要な指標になる!

③社会的スキルの障害

●その場にふさわしい行動や言動ができない。
  ⇒社会的な常識に関係する。
●相手の立場や気持ちに配慮した話し方ができない。
※③社会的スキルの障害は、「①相互の対人的ー情緒的関係の欠落」「②非言語的コミュニケーションの障害」とも関係している。

◎この特性を持つのはどんな子ども?
 ⇒一方的にしゃべったり、場違いな発言や行動をしてしまうことがある。
 ⇒冗談や皮肉をまじめに受け取ってしまうところがある。

ASD(自閉スペクトラム症)の他にも社会的コミュニケーション障害の傾向を示すことがあるの?

生まれつきのものから養育環境が大きく影響するものまでさまざまあるよ。

◎「生まれつき」と関係が強い

●ASD(自閉スペクトラム症)
 発達障害は生まれつきの障害。(ただし、コミュニケーションについてはトレーニングで改善していけるから、早期の発見が必要と言われてるんよね。)
●シゾイドパーソナリティ(障害)
 根っからの孤独好きのタイプ

◎「生まれつき+養育環境」と関係が強い

●反社会性パーソナリティ障害(サイコパス)
 自分の利益や娯楽のために、違法行為などで人を傷つけても、良心の呵責、つまり後ろめたい気持ちや心苦しい気持ちを感じない。
(アニメとかもあって言葉が流行って、一般的にも使われだしてる感じがするよね)

◎「養育環境」と関係が強い

虐待・ネグレクト・冷たい家庭・過干渉など。
ただし、養育者と子どもとの相性が合わなくても起きるので、どんな家庭でも起きる可能性がある。

●回避型愛着スタイル
 親しい関係を重荷に感じ、人の愛情やかかわりを求めないことでバランスをとっている。他人に頼らず自立することを理想としている。
※回避型愛着スタイルについて、詳しくは次の記事を参考にしてください。

●回避性パーソナリティ(障害)
 本当は他人と親密になりたいけれど、笑われたり、拒絶されたりするのが怖くて行動をおこせない。ただし、親密になると相手に依存することが多い。

●「空気が読めない」ことで問題になるのはどんなとき?

◎本人が困るケースと、まわりが困るケース

◎本人が困るケース(仕事の場面が多い)
 ●上司に話すタイミングがわからない。
 ●電話の受け答えが不自然。
 ●敬語が格式張る、反対になれなれしい。
⇒これらはトレーニングで改善できることが多い!

◎まわりが困るケース
 実は、空気が読めなくても、本人が困っていない場合もけっこうある。
でも、本人が困ってなくても、まわりが困っているパターンも多い。
 ●友達がいなくても日常生活は問題なく過ごせる。
  むしろ、人間関係の悩みや苦しみは少ないかもしれない。

でも、他の人と親しくなり、気もちを共有する力がないと・・・

◎家族が困る。

(仕事のときとは違い、)家族やプライベートで気が緩み、相手への共感・配慮を忘れて相手を怒らせて、ケンカが絶えない。
(仕事モードと違って気が緩むんよね。でも「親しき中にも礼儀あり」。昔の人はうまいこと言ったもんやなぁ)

◎恋人が困る。

 ●距離がなかなか近づかない。
 ●結婚や家庭を持つことに消極的。
  人によっては「なんで私たち付き合ってるんやろ?」ってなるかも。
 ●異性を性的欲求を満たすだけの道具としてみてるか、そもそも関心が乏しい場合がある。(極端よね)

◎パートナーが困る。

 ●パートナーがストレスや欲求不満で心身の不調をきたす。
  ※これは「カサンドラ症候群」と言われ、いくつか本も出てる。
 (カサンドラと聞いて、最初は北斗の拳しか思い浮かばんかったけど…)

※家族が困っている。恋人が困っている。パートナーが困っている。
周りを困らせているというのが、本人の悩みにつながり、本人が困ってしまう。

参考書籍

①岡田尊司著『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』SBクリエイティブ株式会社刊(2022年)。
②岡田尊司監修、松本耳子マンガ『マンガでわかる愛着障害 自分を知り、幸せになるためのレッスン』光文社刊(2019年)。

今回の感想

 空気が読めないって軽いノリとか、自虐的に「コミュ障」とか使ったりしてるのもみて、「こんな使い方は本当に苦しんでる人をより苦しめてる」って最初は思ってた。
 でも、本人よりも周りが困ってることもあると知って、ある意味、周りの人への気遣いとして、「コミュ障」とか、「KY(空気が読めない)」とかを使ってる気がした。
 つまり、「こんな状況になってしまったのは『コミュ障』である自分の責任で、周りのせいじゃないよ。」「パートナーのことで悩んでるけど、相手が『空気が読めない』からちょっとあきらめて、別の楽しいことを考えよー」とか。周りの困り感を減らすための言葉になりうる気がした。
 ことばが流行ったことで、困り感を減らすことにつながった気がする。でもやっぱり苦しみが深刻になる人もおるかもせん。うーん、、難しい。

みんなはどう思う?


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