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愛着障害① ~人間関係での悩み、苦しみ。 克服の仕方と安全基地という考え方

これって愛着障害かも?

人間関係でよく悩む。苦しい。生きづらい…。

「みんな誰しも人間関係で悩んでいる。」「悩みの90%は人間関係。」
とは聞くけど、

でも、それにしてもしんどすぎやろ!

  ◎なんでよい人間関係が築けないんやろう?
  ◎自分は人一倍過敏で、生きづらい、苦しいんじゃないか?
  ◎意思決定がなかなかできないんやけど?

こう思っている人は、今回の記事を見て、
”愛着”の視点から自分理解ができるかもしれない。

そして、自分がそうじゃなくても、人間関係をうまく築けない人がまわりにいる。

そんな人を理解するためにも、今回の記事はみんなに見てほしいし一緒に考えたい。


愛着障害をなぜ学ぶのか?

人間関係の悩みが強い人は”愛着”の視点から自分理解ができるかもしれない。 それに加えて・・・

最近では、発達障害のグレーゾーンの人やHSP(Highly Sensitive Person:非常に繊細な人)の増加と、愛着との関係が注目されている。(参考書籍①)

だから、愛着障害について学ぶことで

◎なんで自分って人間関係でこんなに悩むんやろう?
◎自分(もしくは、あの人)は発達障害グレーゾーンやと思ったけど、愛着障害なのかも?
◎自分(もしくは、あの人)はHSP(Highly Sensitive Person:非常に繊細な人)やと思ったけど、愛着障害なのかも?

という疑問に、”愛着”という視点からアプローチができる可能性が広がる。

今回の記事で何がわかるか?

◎愛着障害の基本知識
◎克服への基本的なプロセス
◎克服するときに重要な考え:安全基地になるための条件

はじめに 愛着は親との関係を出発点にして、他者との関係で培われる

◎愛着形成のポイント
 ●愛着を形成するのは「親」じゃなくてもいい。
 ●愛着障害は生まれた後に形成される。

 ※発達障害と似た症状がでることがあるが、発達障害は生まれつき。
 (発達障害は生まれつき。
  だからこそ早めの支援が大事だともいわれるんよ。)
 →だから、年齢を重ねてから出てくる発達障害のような症状は、
  愛着障害の可能性がある。

◎愛情を脅かす最も深刻な状況とは?

 ①愛着対象がいなくなってしまう場合:死別・離別
  子どもにとって、世界が崩壊したような過酷な体験になってしまう。
 ②子どもの安全が脅かされる場合:虐待

”親に認められたい”という思いを満たされずに育った人は、何歳になっても「愛されたい」という気持ちを引きずる。
そんな気持ちが、過度に気に入られようとしたり、困らせて反発したりという形で現れる。
→これで日常生活がうまく送れない、支障が出てくると愛着障害と言われる。

◎親(もしくはそれに代わる人)と子どもの「相性のミスマッチ」でも起こる

つまり、どんな家庭でも起こりうる。

下のような親や教師の不安や疑問は見当違いなことも多い。(悩みすぎてこれで自信を無くすほうがイマイチ。)
 ・育て方が悪かった?
 ・両親がそろっていないから?
 ・過保護すぎたの?
 ・施設だから?
 ・家が貧乏だから?

虐待は親のせいだが、(親にもいろんな事情があるとは思うけど・・・)
子どもの性格とか特性によって関係の作りやすさが違ってくる。

だから、例えば、お母さんが上の子にも下の子にも同じような対応、公平な対応をしていたとしても、どちらかに愛着障害がでることもある。

◎愛着障害を理解して、行動をかえることでだれでも克服できる。何歳からでも克服できる。

「愛着」の視点からものごとを捉えなおすことで、克服への道筋を見ることもできる。
だから、一緒に勉強して、理解して、行動していけたらうれしいです。


愛着スタイルは、「人との距離の取り方」に影響する

人との距離の取り方に影響するっていうことは、
対人関係・仕事・家庭・ひいては人生すべてに影響する ということやね。

人それぞれの愛着スタイルは大きく分けると安定型と不安定型に分けられる。そして不安定型では、基本の2タイプとより困難が多いタイプについて説明するわ。

◎安定型:人との距離の取り方がうまい

目指す愛着スタイル。
日常生活でも仕事でも対人関係がうまく、深い信頼関係を築いていくことができる。
どんな相手にも自分を主張でき、同時に不要な衝突や孤立を避けることができる。
困ったら助けを求めたりして、自分の身を上手に守ることができる。

◎不安型(人との距離の取り方がへた)の基本の2タイプ

①人との距離が近すぎる(脱抑制型対人交流障害:DSED)
  不安型脱抑制型とよばれる。
一番の関心ごとは、
 「人に受け入れられるかどうか」「嫌われていないかどうか」。

常に周囲に気を使い、少しでも相手の反応が悪いと不安になる。
※子どもの場合
 誰かれなく関りを求めて無警戒。
 何歳になっても抱っこやおんぶ、ひざのりをしてくる。
(ADHD(注意欠如多動症障害)と似たような行動をするときがある。)
(抑え(抑制)が効かないから、脱抑制型といわれるんよね。)

②人との距離が遠すぎる(反応性愛着障害:RAD)
  回避型抑制型とよばれる。
いちばんの関心ごとは、
 「縛られないこと」。  距離を置いた対人関係を望む。

葛藤が苦手で、人とぶつかり合うぐらいなら自分から身を引くことが多い。
知らず知らずのうちにストレスをためがち。
※子どもの場合
 人間不信で警戒心が高い。
 人とのかかわりを避けようとする。
(ASD(自閉スペクトラム症)と似たような行動をするときがある。)

◎より困難が多い不安型のタイプ

●恐れ・回避型タイプ:基本の2タイプを併せ持つ
 基本の2タイプ
 つまり、人との距離が近すぎる と
    人との距離が遠すぎる を 併せ持つってどういうこと?

 不安型・脱抑制型(人との距離が近すぎるタイプ)のように、
 人の反応に敏感で、受け入れられているか、嫌われていないかを気にして不安になる面 と
 回避型・抑制型(人との距離が遠すぎるタイプ)のように、
 対人関係を避ける面 の両面を併せ持っている。

例えば・・・
  ・ひとりでいると不安で、人と仲良くしたいけれど、親密になることで強いストレスを感じたり、傷ついてしまう。
  ・人間嫌いなのに、人とかかわり、相手を信じようとして、より傷ついてしまう。そしてより疑い深く、被害者意識が強くなる。

 ASD(自閉スペクトラム症)がベースにある場合もある。

●ASD(自閉スペクトラム症)との併存タイプ

ASD(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳の障害。
 自分や他人の感情を理解することが苦手。
→だから、親(やそれに代わる人)と相性のミスマッチが起こりやすい
※子どもの場合
 愛着障害が出やすく、支援もよりむつかしい。

①”愛着”に関係して出てくる困った特性

愛着障害になって何が困るのか?
ここでは、愛着に関係して出てくる困った特性について説明するわ。
こんなんが出てきて、日常生活に支障が出てくる、
つまり、日々の生活がうまく送れなくなってくると、「障害」がある状況と言えるんよね。

◎過剰な承認欲求や自己顕示欲

「他人から認められたい!」
「自分の価値のある存在として認めたい」
 という気持ちが強すぎてしんどくなっちゃう

「愛着の代用品」として
お金や物に異常な執着を示す。

◎良い人間関係が築けない。

☺不安型(脱抑制型)の人は人に依存してしまう。
  ・他人の評価が気になり、しんどくなる
  ・異性への依存
    相手にも自分と同じ(以上)の愛情を表現してほしい。
    (かなわないとけんかになったり離れたりしちゃう)
  ・依存症にもなりやすい。
☺回避型(抑制型)の人は、人と仲良くなれない。
  ・表面上社交的な場合もあるが、付き合い始めると距離が縮まらず、プライベートな付き合いに至らない。
  ・結婚や家庭を持つことにも消極的。
 ⇒本人だけでなく、恋人や配偶者のほうが困ることも多い。

◎人一倍過敏で生きづらい、苦しい。(☺不安型(脱抑制型))

過敏さには2タイプある
①神経学的過敏さ:感覚過敏
  五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)が過敏。
  ※大きな音が苦手・決まったものしか食べられない
   特定のにおいが非常に好き/嫌い・触られるのが苦手 などなど
②心理社会的過敏さ:人の顔色や反応に敏感。
  ※空気を読んだり相手の気持ちをくみとる。メリットもあるんやけど…
 ⇒気を遣いすぎて疲れやすい相手優先で損をしてしまう。

過敏さでストレスを感じやすく、心身に不調をきたすことが多い。
 ※肩こり・頭痛・めまい・腹痛・下痢・うつ症状など。

◎意思決定がなかなかできない。

 ●回避性タイプ
  回避型(抑制型)の人は意思決定を回避する傾向がある。
   責任や面倒が増えるのがイヤ。
   失敗を恐れて重要な決断を避ける。
   付き合い始めたのに、なかなか次の段階にすすまない。
 ●依存症タイプ
  不安型(脱抑制型)の人は意思決定をほかの人に任せる傾向がある。
   自分で決めるのが苦手
   洋服でも食事でもなんでも周りの意見に従ってしまう
   自分で決める自信がなく、相手の反応や評価ばかり気になる。

②どうやって克服する?

◎愛情の傷を修復して回復するために必要なのは、愛情。

①時間がかかることを覚悟しよう。
 数年~十数年かけて、いつの間にか安定してる。
  ※子どもの場合は、探索行動がゴール。
   ●探索行動とは
    一人で何かをしようと挑戦する。
    活発に行動する。
    積極的になる。

②自分のことを何でも話せる人と出会う
 安全基地になる人。
  ※愛着障害で「安全基地」はキーワード。次の大見出しで詳しく説明。

③安全・安心を実際に感じていくためのプロセス

 パート1:共感的・体験的なプロセス
  ・周囲に受け入れられているという感覚。
  ・子どものころに不足していたものを取り戻す体験。
   ※愛着障害が良くなってい人は、「母親と枕を並べて寝たい」とか「抱っこしてほしい」と言い出すことがある。これは幼いころに得られなかった愛情を、今与えてもらうことで傷をいやそうとしている
⇒愛着の傷を治すためにはまずこの状態になることが大切。
 その上でパート2を行っていくとさらに効果的になる。

 パート2:言語を介した認知的なプロセス
  ・語ること自体が大きな癒しになる。
  ・言葉を吐き出すことで・・・
   自分の生い立ちや傷ついた体験と向き合う→
    封印してきた過去を整理→
     統合しなおすことで傷やゆがみが修正されていく。
 ※なぜ? なんでわざわざ言葉でいうのか?
  子どものころの傷ついた経験は、言葉では表現できないもやもやした記憶として心に残っている場合が多いから、言葉で意識化する必要がある。

◎今すぐできること:振り返る力を鍛えること

時間がかかるのはわかったけど、困った特性の対策に今すぐできることはないの?

大人向けだったらありますよ!

問題が起きたときに、感情的になるのを少し我慢して、相手の気持ちを推測したり、自分の行動を振り返る。

⇒自分の気持ちや感情を見て見ぬふりしてしまうことや過剰反応を減らせる。

ただし、自分や他人の気持ちを読むのが苦手なASD(自閉スペクトラム症)がベースにある、
恐れ・回避型やASDとの併存タイプの人には難しいから、一部の人向け。

③安全基地(何でも話せる人)の条件

Ⅰ.安全安心
一緒にいて傷つけられない

Ⅱ.応答性
いつでも相談できる。

Ⅲ.共感性
自分に共感してくれる。
意思や気持ちを尊重してくれて、決めつけや押し付けをしてこない。

Ⅳ.安定性
穏やかで気分や態度がいつも一定している。

Ⅴ.誠実さ
自分のことを考えて接してくれる。
大事なことをちゃんと言ってくれる。

誰でもいい
家族、友人、恋人、パートナー、教師、カウンセラーなど誰でもいい。
こんな人が身近にいるなら関係を切っちゃダメ!

◎番外編:安全基地になる人がいなくても・・・大丈夫!?

こんな人と出会うのはむつかしい・・・。
「かく」行為(絵を描く・日記やブログで文章を書くなど)で愛着を安定させることもできる。

(書くことで、言語を介した認知的なプロセスと同じような効果がある)
  ・語ること自体が大きな癒しになる。
  ・言葉を吐き出すことで・・・
   自分の生い立ちや傷ついた体験と向き合う→
    封印してきた過去を整理→
     統合しなおすことで傷やゆがみが修正されていく。

参考書籍

①岡田尊司監修・松本耳子漫画『マンガでわかる愛着障害 自分を知り、幸せになるためのレッスン』光文社刊(2019年)。
②米澤好史著『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』合同出版株式会社刊(2022年)。
③岡田尊司著『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』SBクリエイティブ株式会社刊(2022年)。

今回の感想

愛着がめっちゃ大切なのはわかる!
 でも、これを実行するのはめっちゃ難しいと思うんよね。これっていうのは、「安全基地になる人と出会うこと」やったり「自分が安全基地になること」。しかも「長い時間」をかけて、ゆっくりと育んでいくこと。
 言葉で書くのは簡単かもせんけど、毎日を積み重ねることがほんとうに難しいと思うことばっかり。
 でも、大事なんは「愛着」の視点を持つっていうことやと思うねん、「安全基地を心がける」っていうことやと思うねん。最初から完璧にはできひんし、おそらく時間をかけても完璧にはできん。でも自分のつらさ、相手のつらさには愛着が関係してるんちゃうか?って思うだけで少し優しくなれる気がするんよね。自分が相手の安全基地になるんだっていう気持ちだけで、少しだけ頑張れる気がするんよね。
 ここらへんのことだけですべてが解決するとはもちろん思わんし、実行するのも難しい。でも、”愛着障害”ということを知ることで、みんなが少し優しくなれたり、少し頑張れたり、助け合ったり、励まし合ったりできれば、少し良い世界になるんじゃないかなと本気で思う。

愛着障害②の記事では、子どもに注目して話をしているよ。
「子どもに現れる行動」と「子どもへのサポート」を説明してるので、良ければ見てください☺

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