社会人基礎力チェクシートと自己理解
自分はいったいどのような存在だろうか、というような虚しい問いはだいたい若さとともに繰り返されるもので、普通は経験を積み重ねるごとにだいたい自分はこのあたりの存在だ、というあたりがついてきます(ただし、意図的にやらないと時間がかかると思います)。問いの見当がついてくると、さらに具体的なエピソードで自分が向いていることや向いていないこと、好きなことやどうしたって苦手なこと、と詳細な特徴づけが生じてきます。これは経験的な情報であり、純粋な内省プロセスの産物でありません。
自分の内側を覗き込もうとしても、都合よく自分の本質のようなものが見つかるわけがなく(自分の本質なんていうものもそもそも何を指すのかがよくわかりませんし)、過去の断片を寄せ集めて作話するくらいがせいぜいでしょう。それはデータが足りなければ不確かな物語であり、自身の理解にも力不足です。よりよい自己理解、特性の理解は進めなければなりません。
特性を把握すれば、自分がとても苦手なことは他人に任せることができますし、得意なことは他人に任せられるくらいまで伸ばそうという戦略が立てられます。たくさんの経験を自分の特性のテストとするにはできるだけ意図する必要があります。経験に加えて、テスト計画となりうる言語的なインプットと、テスト結果を自分の特性に書き換えるための言語的なアウトプットが必要です。ただ、経験を積むのではなくて、熟慮を重ね合わせなければいけません。
私は、一部では評判の悪い社会人基礎力チェクシートは、自分を知るためのツールとしてかなり良いと思っていて、若い人にはできるだけ早い時期からこれを使って、経験の分析のためのカテゴリーを言語化してもらうことによって、積極的に経験を積むこと(データの取得)、経験の評価軸に基づいて経験を言語化すること、そして、その記述を活用して自己理解を深めることができると思っています。
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