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成績が伸びる「反省」のコツ 3選

 適切な反省の仕方、と聞いてどう感じますか。誰でも反省ぐらいしているのでは?、と思う方も多いでしょうか。もちろん努力ができる子たちは、多かれ少なかれ反省していると思います。しかし、適切な反省ができていないケースも多々見られます。ここでは、子供たちが陥りやすい悪い反省の仕方を見ることで、成績が伸びる「反省」のコツ3選をまとめました。

①他人の粗探しのつもりで課題を見つける
②アウトプットの練習を大事にする
③間違えた問題を整理整頓する。

詳しくは以下に述べていきます。

①他人の粗探しのつもりで自らの課題を見つける


 反省をするためには、まず自分が「できないこと・わからないこと(=課題)」を明確に認識する必要があります。極論を言えば、課題を認識さえすれば、少なからず改善に向かいます。例えば、「字が汚い」と認識すれば、キレイな字に注意を向けるようになりますし、「足し算のくりあがりが苦手」だと認識すれば、くりあがりの時に気をつけるようになります。ですので、自らの課題を認識することが反省のスタート地点です。

 しかし、我々は自らの課題を認識することを嫌がります。なぜなら、自分の欠点を認めることをストレスに感じるからです。そのため、多くの生徒は自らを甘く評価します。講師から見ると「できていない・わかっていない」ことも、生徒は「問題なし」に分類します。これが悪い反省の仕方の1つ目です。特に多いのは、計算ミスとゆっくり解けることを「問題なし」と評価するケースです。

 計算ミスについては、計算ミスさえしなければ大丈夫だから「問題なし」と評価しがちです。この意識だと計算ミスを無くす努力をしないので、ミスは減りません。
 また、ゆっくりでも解けてるから大丈夫、と評価することも多いです。解くのがゆっくりになっている時点で、理解があやふやなことが多いです。解く最中に手が止まった問題の正答率の悪さは、確認すれば明らかです。スラスラ解けて初めて「問題なし」と評価できます。

 よって、「反省」の第一のコツは、他人の粗探しのつもりで自らの課題を見つける、となります。最初は大変ですが、慣れてくると、課題を見つければ成長につながると感じられるようになり、ストレスはなくなります。

②アウトプットの練習を大事にする


 さて、「反省」の第一のコツを使って自分の課題が認識できました。では、その課題をどう改善すれば良いでしょうか。間違えた問題の反省を促すと、生徒の多くは教科書や参考書などの解説を読み、正しい答えを確認します。そして、反省を終了します。これが2つ目の悪い反省の仕方です。どこが悪いのかと言うと、自分の力だけで解く練習をしていない点です。

 勉強において、解説を読む、単語を覚える、正しい解き方を確認する、といった動作は知識を頭に入れる「インプット」にあたります。一方で、答えや解き方を書く、説明する、といった動作は、頭に入れた知識を取り出す「アウトプット」にあたります。
 インプットは手を動かさないので楽で、また、時には新しい知識で知的好奇心が満たされることもあります。一方、アウトプットは反復作業で新鮮味も無いので退屈です。そのため、勉強がインプットに偏り、アウトプットの練習をしない生徒が多く見られます。しかし、本番のテストを解く際に求められているのはアウトプットです。アウトプットができて初めて点数になります。

 また、インプットの際には、なんとなくできるようになった気持ちになってしまいます。先生が問題を解いているのを見た時にはわかったと思ったのに、解いてみるとできなかった経験はありませんか?。つまり、アウトプットの練習をして、初めて自分ができない・わからない部分が明確になっていくのです。

 よって、「反省」の第二のコツは、実際に問題を解けるようになるまでやり直そう、です。解説を読んでわかった気にならないよう気をつけましょう。

③間違えた問題を整理整頓する


 反省の第一のコツ、第二のコツを身につければ、学校の定期テストなど典型的な基礎問題の正答率は各段に上がってくると思います。しかし、実力テストや入試問題では点数が伸び悩むケースがあります。定期テストと入試問題の違いは何でしょうか。1つは範囲の広さ、もう1つは過去問と同じ問題はほとんど出ないこと、です。
 テストの範囲が広くなり、同じ問題が出ないとすると、1つの問題の見直しをしても、その問題が出る可能性はほとんど無いでしょう。そのため、なんとなく問題演習を繰り返し、反省していても点数は伸びにくいです。これが悪い反省の仕方の3つ目、「間違えた問題の整理をしていない」、です。

 間違えた問題の整理をしない場合、間違えた1つの問題の反省で1つの問題ができるようになります。しかし、間違えた問題を整理していれば、間違えた1つの問題の反省が沢山の問題の改善に波及します。
 例えば、社会で江戸時代初期の問題を複数間違えていることに気づけば、江戸時代初期全体の復習が必要だと思えるでしょう。あるいは、数学で相似と比を使って解く図形問題が複数解けていないことがわかれば、その分野全体が苦手だと気づけます。
 つまり、1つ1つの問題の反省をする中で、自らの課題の共通性を見出せれば、間違えてないから見つかっていない隠れた課題までも丸ごと解決していけるのです。こうした整理整頓の更に良いところは、間違えた問題の共通性や解き方の共通性を見出していくうちに、自分の脳内の分野ごとの整理がより精緻になっていく点にもあります。

 このような間違えた問題の整理整頓のためには、まず、間違えた問題の種類をなるべく具体的にラベリングする必要があります。例えば、「計算ミス」のラベルを張るより、「かけ算のミス」のラベルを張る方が具体的で、「8×7のミス」とした方が更に具体的です。これは実際の事例ですが、「計算ミス」を主張する生徒に、8×7に起因するミスであると指摘し、意識させたところ、ミスがほとんど無くなりました。

 さて、次に複数の課題の共通性を見出す必要があります。そのためには、過去の課題も念頭に置きながら、間違えた問題の反省をする必要があります。反省の際に、「似たような間違いを以前もしたな」と気づける人はそれで大丈夫です。気づけない人は間違えた問題をノートに整理し、ある程度の課題が溜まったら、共通性が無いかを一通り見直しながら探すと良いでしょう。ここは難しいので塾の先生に協力してもらうのも良いと思います。

 ということで、「反省」の第三のコツは、間違えた問題の種類を具体的にラベリングし、自らの課題の共通性を見つけよう、です。1を反省して、1できるようになるのでは効率が悪いです。1を反省して、10できるようになりましょう。

④最後に(保護者の方へ)


 子供に対し、「勉強しなさい」「反省しなさい」と言うのは簡単です。ですが、上記で述べたように、反省とは奥深いもので、言われただけで簡単にできるものではありません。子供が何か失敗した際に、失敗を責めるのではなく、一緒に反省の仕方を考えてみてあげてください。これは勉強だけの話ではなく、どんな分野の失敗でもそうです。
 勉強においては、問題が難しくなるにつれ、大人でもどう反省すれば良いかわからない問題が増えてきます。そここそが塾の使いどころです。より理解している先生が見ることで、生徒が抱えている課題を上手に整理でき、適切な反省を促せることが多々あります。反省の仕方に悩んだら、ぜひ、ご相談ください。

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