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絶対音感って特別な人にだけ備わってるの?養老孟司先生に聞きに行こう

 天才的ピアニストは絶対音感が備わっている人が多いと言われます。

 絶対音感は全ての音がドレミで聞こえる能力で遺伝的にある人や、幼少期に音楽教育を徹底して訓練した人にも備わるとも。

 どちらにしても羨ましい限りですが、本当にそういうものなのかといつも思います。

 この疑問に医学者、昆虫学者の養老孟司先生が「ものがわかるということ」という著書で、わかりやすく答えておられます。

 都市の中で生きていると、感覚はどんどん失われます。

 たとえば絶対音感の人は、他の人と何が違うかわかりますか。昔は小さいときから楽器の教育をしないとそういう特殊能力は身につかないと言われていました。

 ところが、動物を調べてみると、調べた限り全部絶対音感なのです。


 耳の構造を考えると理解できます。耳の中が共振する。共振する場所が決まっていますから、同じ高さの音が聞こえたら同じ場所が震えます。

 だから音の高さは、絶対的にわからなきゃいけないのです。

 動物が絶対音感であるということは、人間の赤ん坊も絶対音感を持っています。

  でも多くの人は、それを失ってしまう。

 耳の中で同じ場所が振動しているのに、それを無視するようになってしまう。これが相対音感です。

 なぜそうなのか。言葉が関係しています。

 お母さんが高い声で「太郎」と言って、お父さんが低い声で「太郎」と言っても、同じ自分のことだとわからないと言葉が使えません。

 人間は言葉を扱う便宜上、できるだけ音の高さを無視して、同じ音、言葉だというふうに聞くようになったんです。 

 そのためには絶対音感をなくした方が有利になる。

  音楽家に絶対音感を持ち続けている人が多いのは、小さい時から楽器訓練をして、動物的な耳の感覚を保ち続けているからでしょう。

 絶対音感を持っているから言葉を話せない。

 人間が言葉を話せるようになった一番の根本は「感覚より意識が優位になった」ことにある。

 犬や猫は音の高さが違うと、同じものとみなさない。

 余談ですが、人工音声なら音の高さをコントロールできます。
 それで動物を訓練すると、人間が話すよりは言葉がわかるようになるかもしれません。

養老孟司
ものがわかるということ


 ほー なるほど。そうすると動物と最もコミュニケーションをとれるのはAIかもしれませんね

 いずれにしても人は皆、絶対音感を持っている、いや持っていたとわかってホッとした気分です

 養老先生わかりやすい説明をありがとうございました 

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