見出し画像

皆で意味の分からない音を上げた日々 高校野球

何かをずっと繰り返していると頭が辛くなってくることはないだろうか?

僕たちは練習が多すぎて頭がおかしくなっていった。
高校野球部では、夏や冬の休みになると特に練習が厳しくなる。
”他の高校が練習をしているため、他よりももっと練習をしないといけない” という連鎖の中で伝統的に生じてきた波だろう。
これは受験の偏差値の、みんなが勉強しなくなれば、偏差値30ぐらいでも早稲田に入れるという考えと同様に、みんなが練習しなければみんな楽しい休みを送れるはずだが、そうはいかない。

夏や冬の間、同じようなサイクルの日々を繰り返すと、かなり頭がしんどくなってくる。練習が夜終わってから自主練をし、帰りの電車に乗る頃には、「9時間後には行きの電車に乗ってるのかー」と。

ストレスの発散方は、ある程度ある。

1. 部室で暴れる。実際みんなで結構暴れた。
2. 違うスポーツをたまにする。
(水泳部のプールに入る、サッカー部の後輩のスパイクを使ってサッカー)
3. 漫画を読むなど

本当に身体が辛いとき。
練習が終わるとグラウンド整備がある。
それはもうグラウンド全体に渡る訳だが、

特に一年生の時は、先輩がグラウンドから出た後も、持ち場という自分が任された場所を整備しないといけなかった。

先輩が居なくなってからは、もう立つこともしんどい僕たちはグラウンドに寝転び、夜空を見ながらゆずを聴いていた。ゆずをテレビとかで聞くと良くそう言った日々を思い出す。

最高学年になってから

流石に体も強くなり、学年が上がると練習の中で余裕も出てくる。
そのため、遊びにも余裕が出てくる。
少ない照明の暗闇の中、グラウンド整備中に、

誰か一人が、

「ウワァァぇぇん」
まるで動物が仲間を呼ぶときのように高い声で言うと、

他の何人かも
「ウワァァぇぇん」と答える全く意味の分からないノリがあり、

暗くて誰が言っているのか見えない。

だが、一度言うとなぜか気持ちが良いのでみんな言いまくる。

恐らく近隣の人たちからは、夕方になると鳴く新しい野鳥でもこの地域に来たのかと思われていただろう。

暗闇から

「ウワァァぇぇん」

「ウワァァぇぇん」

「ウワァァぇぇぇぇ、ぇ、ぇん」

「グラウンドには!」

「ウワァァぇぇぇぇん」

今考えると本当にタダの馬鹿の集団が変な声を出していただけである。
後輩もきっとこの人達やばいと思っていただろう。

大きな声を出せる環境はどんどんなくなっていると思った。
大学のキャンパスではそんなこともちろん出来ないし、
会社のオフィスでもそんなことはできない。
居酒屋かカラオケぐらいか。

またみんなで変な音を出したい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?