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ブックフェア in AOAA 講演報告:"アートブックの魅力と「港まちアートブックフェア」"

(一社)学びの文庫が開催した「ブックフェア in AOAA」は、2023年2月22日から2月29日にかけて、愛知芸術文化センター内のAICHI OPEN ART ATELIER(以下、AOAA)で、パイロット事業終了に伴うア―ト関連書籍の販売と東海ゆかりのア―ティストが制作したア―トブックの販売をし、2月25日(日)には、ア―トブックに関わるゲストを招いた講演を行いました。なお、このフェアは愛知県施設活性化パイロット事業の一環で実施しました。


ブックフェアでは、展示・販売に際して、8日間で約640名の方にお越しくださいました。ありがとうございました。

本稿は、2月25日(日)に開催された、講演 ”アートブックの魅力と「港まちアートブックフェア」”の報告です。

2021年より港まちポットラックビル(名古屋市港区)にて開催している「港まちアートブックフェア」に携わり、AOAAのアートブック展示「本と藝術」の選書にも関わっていただいた、山口麻加氏(アーティスト/MAT, Nagoya コーディネーター)に、アートブックの魅力をお話していただきました。

まず、Minatomachi Art Table, Nagoya(以下、MAT, Nagoya)の概要について説明がありました。MAT, Nagoyaは「名古屋の港まちをフィールドにしたアートプログラムで、名古屋港エリアで、現代美術の展示やスクールプログラム、空き家を資源として活用する「WAKE UP ! PROJECT」など様々なプロジェクトを展開しています。

次に、2021年から開催し、3年目となった「港まちアートブックフェア」の目的や様子について、「本」を中心にアーティストやデザイナー、出版者の作品や活動を紹介し、鑑賞者と出会う場を作ることを目的に、港まちポットラックビルにて開催したフェアで、アーティストの活動の場や、地域のアーティストの方の発信の場にもなっており、広くアーティストの展示の機会の場ともなっているとのことです。

アーティストや出版社等のつながり、関係性を築きながら進めてきましたが、アーティストと鑑賞者との距離が近いことも特徴のひとつ。
これまで港まちと関わりのある方々に加え、一般からも出品者を募り、アーティストやデザイナー、出版社、レーベルが手がけたアーティストブック、作品集、ヴィジュアルブック、ZINEなどの「本」を展示販売しています。作品は、アーティストによる手作りで、作品集や漫画やホッチキスで止めたもの等様々で、最近は文芸作品も増えました。
2023年は、東海地区を中心に、全国のアーティストの作品も展示・販売しており、アメリカ在住のアーティストの作品も展示・販売したそうです。

そもそも開催をはじめたきっかけは、コロナ禍で、これまでのような芸術鑑賞が制限されてしまったこと。そのため、たくさんの表現や作品と出会うことのできる機会をつくるために企画したそうで、アーティストをサポートしながら、鑑賞者にはゆっくり過ごしてもらえるよう工夫しているとのことでした。

最後に、港まちアートブックフェアで出品された、多様な素材や手法を用いたアートブックの紹介について、写真を交えて解説をし、参加者の質問にも答えていきます。

参加者の「アートブックを選ぶポイントや楽しみ方を教えて欲しい」という質問には「是非、手にとってみて『おもしろそう』と思うものをまずは選んだらどうでしょうか。また、アーティストが制作した作品についてアーティストが書いた解説をみていただくといいですよ」とのこと。
参加アーティスト、講師も、instagram等で作品などを公開しており、「いいね」は励みになるとのことでした。

また「アートブック展示 本と藝術」について、東海地方を中心に活動されている25組のアーティストによる、45タイトルの紹介がありました。

「丁重に木版画でつくられた作品です」
「この作品集は、今後も追加できるように紐で綴じでいます」
「クリップでとめた作品集で、クリップをはずすと、ポスターにもなります」
等々。

参加者の「書籍と違って奥付はどうなっているんですか」という質問には、「展示している作品には、奥付があったり、なかったり、美術作品と書籍の間のようなものかもしれません」とのこと。

アートブックは、規格等に縛られず、アーティストの自由な発想をかたちにしているのかもしれません。

最後に、講師から、2024年度も「港まちアートブックフェア」を開催できた時には「来場の他、一般も公募の対象となっているので出展者としても是非応募してみてください」と案内がありました。

AOAAでは、アーティストの宮田明日鹿さんが立ち上げ、港まちポットラックビルで活動されている港まち手芸部で宮田さんが出会った方の作品を「テキスト、展示風景、作者のポートレート」によって記録したアートブックなどの展示の他、Minatomachi Art Table, Nagoya(MAT, Nagoya)のパンフレットやアートブックの紹介記事が掲載された港まち協議会企画のフリーペーパー「ポットラック新聞 Vol.13」を設置し、自由に持ち帰っていただきました。

アートブック展示 本と藝術

企画・運営:(一社)学びの文庫

展示期間:2023年11月13日(月曜日)から2024年2月29日(木曜日)まで
選書・コーディネート:Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
場所:愛知芸術文化センター AICHI OPEN ART ATELIER(地下2階)

東海地方を中心に活動されている25組のアーティストによる45タイトルの作品を展示。さまざまなサイズやデザイン、ZINEなどアートブックを実際に手にとってご覧いただきました。アーティストとその作品紹介、アーティストのSNS等もあわせて掲示しました。

アーティスト名
八嶋有司/ケルベロス・セオリー/Norihito Hiraide/小栗沙弥子/小林真依/宮田明日鹿/佐野友美/The Liminal Voice/田中藍衣/田口薫+堀田ゆうか/蓮沼昌宏/今村文/山本高之/山下拓也/Project Space hazi/土屋未久/山口麻加/青田真也/ぴょんぬりら/つくじか出版/大東忍/tunnel PRESS(天野入華・張祐寿/psyain)/泉麻衣子・中島久美子/toi toi toi/Kana Kurata ほか