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第2回 『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』 オンライン読書会を開催しました

著者の舟之川聖子です。
2/20(土)に第2回『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』のオンライン読書会を開催しました。

今回は4名のご参加でした。ファシリテーターは麻由美さん。

チェックイン

会への参加にあたって、気持ちを場に向け、お互いを知るために、ひと言ずつ発声する時間です。お名前と〈ひと言ご感想〉をお話しいただきました。

ひと言ご感想
・3人それぞれの体験に基づいたことを丁寧に書いている本。親の自分が読んで癒されている最中で、10代ど真ん中の我が子にはまだ手渡せていない。この読書会でリアル10代の意見を披露したかったのだけれど。

・各章末の参考文献やブックガイドや、脚注の用語説明が丁寧。トピックを解説するだけでなく、困っている、あるいはこれから困るであろう読み手の側に立って著者が書いている点が、普通の本と違っていて良い。

・「はじめに」で涙した。学校に勤務している。いろんなことに打ち当たり、今まさに自分のトリセツを作りながら生きている子たちに読ませたい、読んで一緒に話したい。

・「友だちのトリセツ」を3人それぞれ書いているのがよかった。「友だち」は、たぶん中高生が一番ドキドキするテーマ。入り方がとても優しくて好き。本書を読んでいて、「どうしよう......」と不安な気持ちになっても、著者からの具体策や「本や映画の紹介」が取り混ぜられていて良い。

一冊読了した方もそうでない方もおられましたが、読んだ量に関係なく、それぞれに『きみトリ』の良さを見つけてくださっていることが感じられました。

今回の進行は、章ごとに区切って感想を語り合いました。1、2、3章と、皆さんと順番にふりかえっていき、最後に「あなたなら何のトリセツをつくりますか?」の問いを考えて終了、という流れです。

目次HP用

第1章 【あなた自身の心と身体のこと】

「自分自身に目を向けてみよう」という章。テーマは、思春期、性と生、体調、お酒 です。

最初にシェアしてくださった「お酒のトリセツ」から徐々に広がっていきました。

・お酒の周りにある多様なトピックを学校とは異なる方法で伝えてくれる。
・飲むか飲まないかは選べる、リスクだけではなく豊かな食文化もあるなど、本全体を通じてフラットな扱い方が良い。
・お酒や性など、ややタブーとされていることに対して目をつぶるのでもなく、大袈裟に扱うのでもない姿勢がある。
・お酒を飲む大人にも優しく書いてもらっていると感じた。

10代にも大人にも役に立つ項になっているようで、安堵しました。(この項はわたしの担当だったので......。)

・大学に入ってから、突然お酒が自分たちの日常に入ってくる。巻き込まれないよう、起こりうることは知っておいたほうがいい。
・飲酒の習慣や文化がない家庭なので、この本が子との会話のとっかかりになりそう。

など、「トリセツ」の必要性や有用性を見出されていました。

また、
・お酒は「人生にドラマやロマンティックな時間を作ってくれる魔法の液体、杯を酌み交わす物語から得られる豊かな面もある」と追加したい。
というシェアも。それはわたしには書けない切り口!ぜひ書いてください!

その他、
・「体調のトリセツ」例えば働く仲間が体調が悪いとチームへの影響が大きい。体調に自分で気づくことは大切。学校は休まず行く、体調が悪くならないのが良いこと、とされがちだったが、人間なのだから体調が悪い日もある。
・そもそも自分自身の心と身体について知ることは、生きていく上でとても大切なことなのに、学校教育の中でうやむやにされてきたかも。
という気づきも聞かれました。

第2章 【あなたと誰かの関係性】

「自分以外の他者との関係性に目を向けてみよう」という章。テーマは、友だち、会話、恋、怒り、いじめ予防、人間関係

友だちについての感想から、孤独とさみしさ、感情の底にあるニーズへと話題が展開していきました。

・友だちとの関係は誰もが必ず悩むこと。「みんな仲良く」はないと気づいた10代に向けて、「友だち関係は変わる、終わる」と書いてあるのがよい。
・怒りのトリセツの「孤独とさみしさの感情はエネルギーを弱める性質がある」という箇所が響いた。
・孤独との付き合い方。特に一人が怖いときにどうすればいいか。全編に散りばめられてはいるが、「孤独のトリセツ」としてまとまって読みたい。
・中学生に「学校以外でどういう場所がほしい?」と尋ねたら、「一人になりたい」と。つながりが必要なのかなと思い込んでいたが、学校で人に囲まれ、SNSで常時つながり、家でも家族と密な状況はしんどい様子。
・10代の頃は人に頼れなかった。でも人は一人では生きられない。人間関係はすごく面倒臭いけれど、充実させていくと楽しいし、かけがえのないものでもあると今は思う。

一人でさみしいこともあれば、一人でいられてホッとして満たされることもある。一人では生きられない存在でもある。「一人」にもいろんな側面がありますね。

人との関係においては、
・何をしてほしいのか、その都度ニーズから伝えていくことや、相手のニーズを汲み取りケアしていくことが、働く上でも大切だと感じる。
・自分はどうしたかったのか、丁寧に感じてあげようと思うようになった。
・大人でも子どもでも人の問題を背負い込みすぎて辛くなるときは、境界線が関わっていることが多い。まずは境界線という概念を知るところから。
などのシェアもありました。

「わたしたちの10代と、今の10代では社会状況があまりにも違う」という言葉に、コロナ禍真っ只中で書いた『きみトリ』は、急速な変化の中で、もしかしたらわたしたちが想定していたよりもずっと早く古びていくかもしれない、とハッとする瞬間もありました。

第3章 【あなたと社会の関係性】

社会の一員としての自分について考える章です。テーマは、場、パートナーシップ、仕事、アート、シチズンシップ

「仕事のトリセツ」の感想を中心に、現状への嘆きもシェアしながら、進んでいきました。

・学校のキャリア教育などで仕事について考えはじめるとき、職業名から考えたり、「なりたい職業を考えて進路を検討」という声かけになりがち。まずはこの「仕事のトリセツ」に出会うとよいのでは。
・「なりたいものはなくてもいい」と言い切ってくれてよかった。就職活動で「どう生きていきたいですか?」と繰り返し聞かれて、重く受け止めて苦しい人もいるから。
・「給料は我慢料」など言ってしまう人も残念ながらいるが、「仕事は面白い」「自分に合うものを見つけると楽しい」と大人が言っていくのは大事。
 ・「自分を損なってまでするべき仕事はない」生きていることそのものに価値があると伝えてくれる一文がとてもありがたい。働きはじめると特に、「自分はできない」で落ち込むことも出てくると思うから。
・受験のためのアピール書類などで、「特に書くことがないね」などと子ども本人に向けてではないが言ってしまう人を見る。その子が大切にしているものを見て、聴くことが難しくなっていると感じる。

 「何をしたいか、どう生きたいか」は本来デリケートな問い。大切に聴きたいところですが、大人たちは受験や就職、評価や選抜のシステムに、いつの間にか心まで呑み込まれてしまっているのでしょうか......。

一人ひとりが意識を変えることで、状況を変えていくことができそうです。
・キャリアを考えるときに、何をしているときが幸せなのか、大切なものを見つけたり、居心地の良さを大事にすることから。
・コロナの影響で変わらざるを得ない部分もある。「それ必要なの?意味あるの?」と、一つひとつ問い直しが起きるのでは。
・仕事の現場で、「何をしたらいい?」と聞いてくる子には、「話を聴く」を心掛けている。聴いて一緒に見つけていく。それしかしてあげられない。

温かな希望を感じながら、この章のシェアは終わりました。
皆さんが、心に残った箇所を読み上げながらシェアしてくださる姿も、わたしは印象に残りました。

最後は、この質問をみなさんに考えていただきました。

あなたなら、どんなトリセツをつくりたいですか?

・お金のトリセツ
 お金の使い方、何にどのぐらいかけるのか(投資)、税金や年金の仕組みと自分との関係、お金がなくなったときの心理状態と使える手段
・国語力のトリセツ
 論理的に思考するため、社会にあるものを読み解くため、自分に役立たせるための国語力
・多様性のトリセツ
 違いをどう扱うか/多様性はキツイ・受け入れるのは覚悟がいる、自分の中の小さな差別心に気づく
・孤独のトリセツ
 マイナスの感情の扱い方、小さなかけがえのないものを身の回りに見つけるコツ

どのトリセツもその人ならではの問題意識が表れていて、今すぐ読んでみたくなりますね。

集合写真

チェックアウト

日常に戻っていく前のふりかえりの時間です。
「きょうの場はいかがでしたか?」とお聞きしたところ、思いがけずたくさんの「おめでとう」をいただきました。2019年のプロジェクトの立ち上げ期からプロセスを見守ってくださっていた方々からの祝福だったので、なおのことうれしかったです。
本に込めたエネルギーや思いまでも汲み取ってくださる様子に、もう感謝しかありません。わたしたち、皆さんとも一緒に本をつくっていたのですね。
本当にありがとうございました。

きみトリプロジェクトは、これからも「プロセスの共有」を大切にしながら走っていきます。これからも応援どうぞよろしくお願いします。

今後の読書会

2/22(月)※満席、2/28(日)、3/6(土)、3/11(木)です。
1テーマだけ、好きなところ1項でも読んであれば参加OKです。
『きみトリ』をきっかけに、楽しい読書会を体験していただきたいな、という気持ちでいます。
ご参加お待ちしております。


Amazon他、全国書店で取扱中。棚にない場合は注文できます。







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