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やられてたまるか

一瞬でもスキを見せたら刺してくる
反射神経の塊みたいな 看板役者 さいたかさんと
あの極限にヒリつく【飛龍伝】の一平・美智子を
ガチンコでやってみたかったというのが、
今になって考えると、退団時の1番の心残りで。

それからコーチングと出会い、
短い在籍期間ではスリクオで学びきれなかった
「演技とは何ぞや」「役者の仕事とは何ぞや」を
シーラのところで学び始め、

そこである種の強制力が働く状態で、
奇跡的に自分とつながって演じられた
たった一回の感覚だけを胸に
「わわわ!この感覚で【つか芝居】をやったら、
 一体どうなるんだろう!!!」ハァハァ…
という好奇心だけでAKTSTAGE の門を叩き、

実践で試すも、
身体を流れるスピード感の違いと
ToDoの多さ(主にダンスw)に埋もれながら
少しずつ少しずつ再現性を上げ、
最後は講師に「あれだけ出せたら言うことない」
と言ってもらった次の日には、もう8割で(泣)

その後シーラからは、
「コーチとして通用しても役者として通用しない」
と言われる程度の、自分との繋がり具合で、
(実際そうだったと思う)
その年は短期集中いろんな舞台に挑戦した。

「いまここ」要する【演劇ご飯】では
思考でがんじがらめの自分を
何度も何度も指摘され足を引っ張り、
いろんな人のお世話になって帳尻を合わせ、

【猫ふんじゃった】で書き手と脚本の深淵さと
役者としての太々しさを教えてもらい
何となく一歩進んだような気がしているまま、
今に至っている。

何が変わったかは、わからない。
それでも「うまくなった」と言われる事もある。
引き込まれる・目が離せないと言われる事も。

演出の前で緊張することがなくなった。
私以上でも以下でもない感覚が身についた。
その分リソースフルにできる事も増えた。

それでも「できないこと」ばかりが目に付く。

コーチとして
どれだけ「できていることに目を向ける」と
人にも自分にも言っていても
私ができないと、その瞬間に全体が失速する。

特につかさんのお芝居は、
フルマラソンを100・50・10mダッシュで
バトンリレーして走り切るみたいなお芝居で。
カーブ曲がれないーー!カーブに届かないーー!
ああああああああと心中でよくもがいている。
もがく自分を、腹で感じながら立っている。

芝居では至る所で、
相手のことを信用して!とよく言われるけれど
相手のことは意外と信用していて、
もし相手がバトン落したら絶対拾うに決まってる

むしろ信じられないのは自分の方で、
自分こそがバトンを落しやしないかしないかと、
ビクビクして結局守りに入ってしまう。(で結局落とす)

相手のものは拾う覚悟がある。
だから安心して全力疾走して、大丈夫だよ!!
でも、
自分はバトンを落としてはいけない。
相手にバトンを拾わせてはいけない。

ん?それが相手を信用してないって事よね?と、
はたと気づいて苦笑いして慌てて手放す。
そんなことの繰り返し。

そんな超発展途上の私が、
「おうしっかり拾えよ!」ばりのさいたかさん と
「拾ってくれるでしょ?」な木村夏子さん を
脇に据えて、
センターに立たせてもらっているのが今回の【飛竜伝】

お二人ともそう優しくはないので、
聞かない限りは教えてくれないどころか
スキあらば、どんどんセンターは乗っ取られるし、
どんな場面でも刺し込んでくるし、頭から食ってくる。
その姿はとても美しく、とても刺激的で芝居を上げる。
(ある意味めっちゃ優しい)

セリフが入ってないとか、段取りが不十分とか
あの人たち関係ないから、本当に怖い。
何でそんなメンタリティでいられるのか、正直わからない。

でも、いまは分からなくていい。
そうなろうとしなくてもいい。

本番まであと2週間。
何ていうか・・・・とにかくやられてなるもんか。
自分に負けてたまるか。

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