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近視は予防できるのか?

こんにちは!
東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックです。

今日は、近視の予防についてのお話です。
よろしくお願いします。


まずは今日のアジェンダです。

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【近視の予防方法はあるのか?】

まず、そもそも近視はなぜ起こるのか?というお話からしようと思います。

近視の原因には大きく分けて、

① 遺伝によるもの
② 環境によるもの

の二つがあります。

①の遺伝によるものは、その言葉の通り、「両親が近視だと、その子どもも近視になりやすい」というものです。

ある研究では、両親とも近視ではない子どもに比べて、片親が近視の場合は2倍両親が近視の場合には約5倍の確率で、子どもも近視になりやすいと言われています。

特に、私たちアジア人は特に近視が多いこともあって、アジアでは近視の研究が非常によく行われています。

もう一つは②の環境によるもの=生活習慣によるもの、です。
これはよく言われていることですが、近年、パソコンやスマートフォンの普及により、近視を持つ子どもの割合が非常に増えていることが問題となっています。

【近視はいつまで進むの?】

この質問も、普段診療をしていてよく聞かれることですが、私はよく「女子は中学校卒業まで、男子は高校生卒業までは注意して下さい。」と説明します。

実際に、裸眼視力(=メガネやコンタクトをしていない状態の視力)が0.3未満の小学生は8.7%、高校生になると33.9%となっており、ほとんどの近視は小学校〜高校生までの間に進行します

高校生の3人に1人は近視
がある、ということになりますね。

また、この数字はここ最近の約35年間で、小学生は約2.8倍、高校生は約1.3倍に増えているのが現状です。

では近視にならない様にするためにはどうしたらいいのか?今日の本題です。

【近視の予防法】

① 目薬を使う
② 生活習慣に気をつける(高校生以下)
③ 新しいライトの開発!?

これらの3つについて、それぞれ解説していきます。

① 目薬を使う

これは、目の“ピント調節に関わる筋肉を休めてあげる”ための目薬になります。
目薬には大きく分けて①眼科で処方してもらえるものと、②薬局などで買える市販薬、の2つがあります。

①の眼科で処方してもらえるものとして、「ミドリン (P・M)」や「ミオピン」と呼ばれるものがあります。また眼科クリニックによっては、「アトロピン」という名前の目薬を少し薄めたものをもらえる場合もあります。

これらは眼科へ行かないと処方してもらえない目薬になりますので、お近くの眼科などでご相談されてみて下さい。

これらの目薬の注意点として、目薬をつけたあとの数時間、“ぼやっとして焦点が合わなくなる”ことがあります。これは、先ほど説明した様に、目薬の効果として“目のピント調節の筋肉を休めている”ためです。
 ですので、使う場合は寝る前などに使い、朝起きるまでには元の状態に戻っていることが必要になります。
 また、これらの目薬は“少ししみる”ことが多いので、お子さまによっては嫌がる場合もあるかもしれません。

 また、②の薬局で買える目薬としては、「ネオスチグミンメチル硫酸塩」というワケノワカラナイ成分が入った目薬があります。
 ですが安心して下さい。決してやましい成分ではなく、これもきちんとした“目のピント調節筋を休めてくれる”目薬です(笑)。
 これも、お近くの薬局などに行かれて、薬剤師さんに聞かれてみて下さいね。

② 生活習慣に気をつける

 では②の生活習慣についてですが、これはある研究を紹介します。

アメリカでの研究ですが、「両親が近視であっても、1日2時間超外遊びをする子どもは、ほとんど外遊びをしない子どもに比べて、近視の発症率が3分の1以下に減っていた」という研究結果が出ました。

例え両親が近視であっても、“外で遊ぶ時間をきちんと確保してあげれば近視の進行は抑えられる”という研究です。

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英語の論文なので少し解説すると、横軸が「外で遊んでいた時間」、縦軸が「近視の割合」です。
横軸の右の方にいくと「外で遊んでいる時間が長い (=一日2時間以上)」状態で、右にいけばいくほど縦の「近視の割合」が減っている↓ことが分かるかと思います。

点線(---)が、両親とも近視があるグループ、薄い実線(ー)が片方の親のみ近視があるグループ、濃い実線()が、両親とも近視を持たないグループです。

これを見ると、両親が近視であっても、“子どもを一日2時間以上外で遊ばせれば近視を予防できる”ことになります。ご両親が近視の家庭にとってはとても嬉しい研究結果だと思います。

昔から言われている「外で遊びなさい」は正しいことが、理論的にも間違っていないことが証明されました。


さて、長くなりましたが最後になります。

③新しいライトの開発!?

これは、なんと日本の研究で出てきたものですが、「バイオレットライト」という紫色の光を通さないコンタクトレンズやメガネをかけている子どもは、バイオレットライトを通すレンズのものを使っている子どもより近視になりやすい、という研究結果でした。

この研究によると、オフィスや学校の中では、窓ガラスを閉めた状態だと“バイオレットライトが入ってこない”状態であり、また蛍光灯やLEDライトなどには“バイオレットライトはほとんど含まれていない”ことが分かりました。

これは、紫外線をカット(=UVカット)するときに、紫外線に近い波長であるバイオレットライトも一緒にカットされてしまうからだと考えられています。

こうしたことから、バイオレットライトをしっかり浴びるためにも、1日2時間以上の外遊びを推奨しています。

ただし、紫外線が目や人体に有害なことは分かっていますので、やみくもに紫外線を浴びすぎることは危険ですので注意しましょう。
また、この研究はヒヨコを使った研究ですので、まだまだこれから追加で検証が必要ではあります。


さて、今日のお話は以上になります。
かなり長くなってしまったのでお時間のある時にゆっくり読まれてみて下さい。

また、目に関するご質問やご相談があればコメント欄にご記入いただければお答えしますので、お気軽にご相談くださいね!

ありがとうございました^^

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