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マナと言霊の世界*2 〜木霊する〜

大学2年生で失語症になった私は、一人暮らしをしていた京都の西山の麓で学校とアパートを往復する単調な暮らしを続けていました。

学校には行きますが、授業もほぼレポート済むものを選び、友だちを避け、、、
というのも人間不信が友人と先輩を中心に始まっていたので、正直怖かったのです。

芸術大学でしたので、マイペースな制作スタイルが許されたのがせめてもの救いでした。

他の人が授業の間に図書室で本をあさり、
自分が恐れ、煩わされている目に見えないものについて捉えようと足掻いていました。
『存在と時間』『現象学』『思考の科学』

大学で学んでいることさえも、
どれも解決から遠ざかるようで、日に日に緊張し、
追い込まれてゆきます。

安らいだのは、
近くの神社で日向ぼっこスペースがあることと、
朝、お野菜の無人販売するおうちのおばあちゃんの品出しを手伝うこと。

言葉の要らない世界にどんどん傾向してゆきます。

あるとき、神社で音が聴こえてきます。
『シーン』とか、『ヴィーン』という、
何物でもないただの『おと』
気のせいかな、と思っても、ずっと聴こえてくるので、
試しに、
『ン〜』とハミングしてみました。

すると、
『ヴィーン』が頭いっぱいに心地よく鳴り響き、
外の世界を埋め尽くしていきました。

『木霊(こだま)する』

という現象なのかも知れません。

『緊張がほぐれるな』という程度にしか、
そのときは思わなかったですが、
それから毎日『音』を出すのが気持ちよくて、

神社が私にとって『ココロの聖域』になっていきました。

続きはまた夕方にでも。

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