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「想い」を引き継ぐということ

最近、松岡英明さんというミュージシャンの方を好きになっている。
彼に出会った経緯について、自分としては珍しく明確なエピソードがあるのでいつか書き残したいのだが……それはまた別のお話、ということで。


松岡さんは1986年にデビューし、35年以上に渡って音楽活動をされている方だ。
つまりその年月の重みのぶん、とんでもない数のメディアに出演されている。
過去のテレビやラジオ出演、雑誌やWebのインタビュー記事………いまから彼のすべてを把握するのはほぼほぼ不可能に近い(と、思う)。


そんな松岡さんのことをすこしでも知るために
先日、過去の雑誌記事を集めたいわゆる「切り抜き集」なるものをメルカリで購入した。

ほとんどがGBの切り抜きだった

出品者の方は他にもTM NETWORKや渡辺美里さんなどといった、彼と同時期のアーティストの雑誌記事もバラ売りしていたので
おそらく8,90年代の手持ちの音楽雑誌を処分したいのだろうけど、効率的に売りさばくためにわざわざ各アーティストの記事を振り分けて「切り抜き集」として出品している…といったように見えた。


シングル曲・アルバムにまつわるインタビュー、ツアーレポート、おすすめの音楽、そして彼独自の恋愛論……
初心者ファンとしては、松岡さんのことを知るためにはどれも興味深く有難い情報ばかりだった。
そうして記事を読み進めていくうちに、だんだんと"ある事"に気付いた。


「なんか……やたらと顔写真がくり抜かれているぞ?」


記事の、顔が載っていたであろう部分が切り取られているのだ。
こんな具合に。


こんな状態のものが何枚か見受けられた。
これとか、


これとか。

「ご近所物語」のツトムくんみたいですごくかわいい



それだけではなく、
彼のアルバム楽曲解説の記事に"ここが重要ポイント!"と言わんばかりの蛍光ペンの線まで。




古書店やメルカリなどでなにかを買った時、
こういった「前の持ち主」の跡を感じられるものに出会うととてもうれしい気持ちになる。

このことについて誰かに話したら、
「えーーーー!!信じらんない、デッドストックの未使用品の方が良くない?!」
と言われたことがあるけれど
デッドストック品って、わたしの中では「売れ残り」というイメージがどうしても湧いてしまい、
自分が手に取るまでの長い間誰からも無視され続けていたもの……というように感じられる。
どことなくモノ自体に寂しさというか、そこはかとない哀愁があるというか。



きっと「前の持ち主」さんは松岡さんのファンだったんだろうなぁ、それもかなりの。
わざわざ写真を切り取ったり、インタビュー記事に線を引いてたりしてたって事はほんとうに好きだったんだと思う。



その切り取った顔写真、どうしてたの?
パスケースに挟んでたの?それとも手帳?
きっとこんな感じでファンだったあなただから、お友達とかにも
「ねぇねぇ、今あなたが読んでる雑誌のまつぼーの記事貰ってもいい?」
とかお願いしてたんじゃない?
ひょっとしたら、この束の中にもそうやって手に入れたものがあるかもね。


こんなことを考えていると、会ったことも見たこともない、そもそも生きている時代が違う「前の持ち主」さんの姿が見えてくるような気がする。



30年という時間の重みにすこし緊張しながらも、
見知らぬだれかの「想い」を引き継いでいこうじゃありませんか。

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