▪️「自分に正直になる」というのは

自分に正直とは、
自分の気持ちを自分がわかるということでもあり、
自分にウソをつかない、ごまかさない、という事でもあり、
本当の気持ちを自分自身に隠さないという事でもあり、
自分の気持ち、自分の本来の性質のあるがままを「ある」と認めるということでもあるのです。

それは「自分」が「自分」に、という自分と自分との関係。
「自分の事は、自分がいちばんよくわかる」とかいう言葉がありますが、臨場感のない言葉です。
自分のことって、結構わからないものです。特に、自分が本当に思っていることや感じている事は、自分の奥底にしまい込んでわからないことがよくあります。

なぜなら、大人としての私たちの日常をメインで動かす担当者である「理性」や「思考」にとっては、本当に思っていることというのは、危険だったりするのです 。だからそんなこと思わないように、感じないように麻痺させたり、封じ込めたりして、してしまいます。

本当に思っていること、というのは、例えば、
「さびしい」とか
「こわい」とか
「ほしい」とか、
「やだ」とか、
「かまって」とか
「はらたつ!」とか
「やりたい」とか
「やめたい」とか
「こうしたい」とか、
「こうしたくない」とか、

そういう感情。

シンプルだけど、シンプルで原初的、理屈を超えたものであるために、スマートである理性・思考にとっては、「脅威」であり、自らを驚かす「ヤバイ」ものなんです。

そういう原初的な情動を、
「そんなこと言ったらダメだ!」
「しょうがないだろ。ガマンしろ!」
と押さえ込み、封じ込め、亡きものにしようとする働きが理性や思考にはあります。

だから私たちは
本当は寂しいのに、「べつに寂しくなんかない」と思ってたり、
本当は怖いのに、怒鳴ってかみついてみたり、
本当はほしいのに、「いらない」って言ってみたり、
本当はいやなのに、へらへら笑ってみたり、
本当はかまってほしいのに、知らんぷりしたり、本
当は腹立っているのに、「自分が悪い」とテンションを下げたり、
本当はやりたいのに、「やりたいことがない」と言ったり、
本当はやめたいのに「そんなもんだ」とガマンし続けたり、
本当はしたくないのに、どうせ無理だとあきらめたり、
本当はしたくないのに、やらなきゃダメになると無理してやったり、
そして、脳や心が混乱して、わけわかんないことになっているのです。

だから生きてて苦しい。
悩みが尽きない。
問題が尽きない。
何かわからないけどモヤモヤする。
何かわからないけど違う気がする。

確かにそうです。「違う気がする」は、正しいかもです。
違うんです。本当に思っていることと、違うことをやっているから。
自分への隠し事が減ったら生きやすくなる。つまり、悩みとか苦しみとか自由不自由とかって、すごくシンプルにいうと、 自分が自分に正直にいられないところからはじまっています。

自分に正直でないとは、自分の本当の気持ちを隠してしまうことです。
自分で。他人からもちろん自分自身からも。
「見られたくない」「気づかれたくない」「知られたくない」
ヤバイからです。

他人に知られたら、嫌われて生きていけないと思うから。
「見たくない」「気づきたくない」「知りたくない」と感じるのです。その理由は、マズイからです。自分が知ってしまったら、平穏な足場が崩れてしまうと思うから。

だから、 見ないように、気づかないように、知らないように、意識に砂荒しのように厳重なスクランブルがかかります。
そうやって、本当の自分の気持ちというのが壮大な隠し事と化していきます。人生かけた隠し事。それは本当の自分の気持ち。

本当の自分自身、それが見つからないように、あっちでも、こっちでも、他人にも、世間にも自分にも嘘をつくことになります。
嘘は結局つじつまが合わないから、あっちでもこっちでもコンガラがって、矛盾が起きて、だから問題になって、困難になって、悩みになって、苦しみになるわけです。

心理カウンセリングの世界では、結局のところ、自分が本当に感じていることを見つけることが、アルファであるオメガであるといえます。過去からの、そして今現在の。
本当に自分が感じている気持ちを発掘すること。

「あー、私、こんな気持ちだったのか!」
「自分て、これだったのか!」

ずっとずっと隠して見失ってしまっていた。
その本当の「気持ち=本心」を見つけたら、もう問題はもう消えたも同然。するすると流れていきます。

そして、この自分の気持ちを自分に隠さず、その気持ちの通りに、思い、考え、話し、行動する。自分の本来の持つ、性質の通りに思い、考え、話、行動する。
「如何なることを感じても、そこから私を満足できるように感じさせる」そして「こうする!」それが自分に正直でいることです。

そうしていることが、自分にとって、とても心地の良いことだったと知ったら、そうしていても何の問題もなかったと知ったら、この世界で生きられなくなるどころか、この世界がずいぶん生きやすい場所に変わるでしょう
自分への隠し事が減るほど、人生はどんどん生きやすくなります。それが「自分に正直になる」ということ。

他人の気持ちや顔色ばかり考えて、好かれるか嫌われるか、ばかり計算して、それによって生存の可否がかかっているかのように思い込んでいる恐れに囚われた理性や思考の「ヤバイぞ!危険だ!」コールに 阻まれることがわかっているからこそ、それを突破して、
自分の本当の気持ちをつかんで
自分の本来の性質を表して
それに従って行動を遂行するには
結構な覚悟が必要なのです。

その覚悟とは「自分に感じさせる」事なのです。
それが、「自分に正直でいるには、覚悟が必要」ということの真意です。

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