百貨店の鞄売り場で生理の話をする。
皆さん、周りの人と、生理について日頃から話していますか。
話すなら、どこでどんな時に話すでしょうか。
(※前置きとして、普段は保健師という職業柄「生理」ではなく「月経」という単語を用いることが多いですが、今日はより身近に感じていただくためにあえて「生理」という表現を主に使いたいと思います。)
日頃、たくさんの保護者の方へ、家庭でできる性教育の講座をお届けしていますが、
これまでの生理にまつわる様々な記憶を辿ってもらうと、
「ある日、女子だけ集められて、こそこそと生理の話を聞いた記憶が鮮明に残っている」という話は決して珍しくありません。
また、「家族の前での生理の存在を必死に隠して暮らしている」人もいたりします。
でも、私達がこれからの性教育の基準としたい「国際セクシュアリティ教育ガイダンス(ユネスコ、ユニセフ、WHO等により2009年に策定、2018年に改訂)」によると、
「月経は一般的なことで、女子の身体的発達の自然な一部であり、秘密やスティグマとして扱われるべきでない」
と書かれています。
国際セクシュアリティ教育ガイダンス全文
※月経については、キーコンセプト6「人間のからだと発達」というところに主に書かれています。
そう、当たり前に、ほとんどの女性にあるものです。ごくごく一般的なことなのです。
そして、生理期間中以外も、女性ホルモンの働きにより女性は心身に様々な影響を受けながら生活しています。
でも、
女性活躍が叫ばれるようになってからもう何年も経っていますが、
そこをタブー視せずに、お互いにきちんと理解しながら働ける環境がどのくらい整っているでしょうか。
それらを全く「無いもの」として、仕事も育児も家事も頑張っている人はいないでしょうか。
あるいは、それを強いられている人が。
そんな生理に対するタブー感を変えていきたい。
当たり前にあるものとして、生理の無い人もある人もきちんと理解し合って、平和に暮らしたい(笑)
性教育って、自分を知って、相手との違いを尊重し合いながら、
お互いが自分らしく幸せに生きるためにあるものだと思っていて、
「生理への理解」ってまさにその一つの象徴かなと思うんです。
その思いが合致して、私が代表を務めるNPO法人HIKIDASHIと株式会社mitaina様がパートナー企業となり、
生理について知って話せるための「アワアミュカフェ」を今年の2月から開催しています。
ある時は百貨店の化粧品売り場で。
そして今回は、
mitaina様の主力商品である「ウイトート」という神戸発の鞄の百貨店でのポップアップコーナーで開催しました。
今回はテーマが「子どもたちへ伝える性教育」ということで、
様々な絵本や生理用品のご紹介をしながら、
ご家庭での性教育のポイントなどを、参加者の皆さまのお悩みに沿ってお話ししました。
そして、「自分を知る」こともとても大切なので、
改めて生理周期のお話もしてみたり。
普通の売り場の一画なので、
周りにはもちろん他のお客様が商品を眺めたりお買い物を楽しまれています。
そんな中で、コソコソ話すわけでもなくこの会を開催することで、
「いったい何の話をしているの?」と少し様子を窺っておられる方もチラホラ。
もちろん、中には「こんなところでそんな話をするなんて!!」と内心思う方もおられるかもしれません。
それも仕方ないと思います。
これまでずっとタブー視されてきた「生理」や「性」というものを、
いくら大切なこととはいえ、いきなり「オープンに話しましょう!!」と言われても、
そこに抵抗を感じる人がいるのは当然のこと。
そこを変えていくということは、一つの文化を変えていくということなので、
私達も一朝一夕にできることだとは思っていません。
だからこそ、この新しい取り組みを、小さくても継続していくことが必要だと思うのです。
OUR Amlulet = 私たちのおまもり
生理について、性について、知って話してそして選んでいくことが、
これからの私達の、そして次の世代を担う子ども達のおまもりとなっていきますように。
アワアミュカフェ、これからも続けていきたいと思います。