イーロン・マスク ウォルター・アイザックソン (著) 下巻
下巻も読んだので、その感想です。
上巻の記事はこちら
下巻の最後の”謝辞”に書いていましたが、「イーロンは著者が2年間ついて回ることを許可し、会議の同行や取材・各種文書の提供など協力しているが、本書は読んでいないし、イーロンの手は一切入っていない」そうです。”初の公式伝記” という言葉は誤認を招くかもしれません。(販売サイトから拾ってきた単語ですし、私の上巻の記事は訂正しないでおきます。)
私は、イーロンが本書の内容を読んで出版を許したと思っていたので、読んでいて違和感がありました。具体的には、イーロンがMSM(メインストリームメディア・主要メディア)と反する発言をしたとき、それを陰謀論にはまっている、のような表現があった事などです。著者がそう表現するのは自由と思いますので、最初から著者の見解で綴られている本だと分かるよう書き方にした方が、読者に親切だと思いました。
私は、イーロンがこのタイミング(世界同時発売)を本を発表した意図は何だろうと考えながら読んでいましたが、イーロンの意図はあまり内容に思えます。
下巻の見どころ
・ツイッター(現X)買収:買収劇も面白いですが、その後、ツイッタファイル(ツイッターが検閲していたことの暴露)を公開するも、イーロン自身が都合が悪いアカウントをシャドウバンしていた事も書かれており、イーロンが監修”していない”良さが現れている部分だと思います。
・ビル・ゲイツとの会談:イーロンがビル・ゲイツと考え方が全く違うことが分かり、スカッとします。ビル・ゲイツの金儲けの提案(空売り)をイーロンが断った理由を、ゲイツは理解できない。
・ウクライナとスターリンク:上巻の感想でも触れましたが、下巻ではもっと踏み込んで書かれています。
イーロンへの期待
・イーロンは、人間の仕事を代替するロボットができれば経済がめちゃくちゃ発展し、ユニバーサルベーシックインカム(UBI)を導入できるかもしれないし、そのとき仕事は したければするものになる、と考えています。私は、テクノロジー(ロボット側)の発展だけでは人類は幸福にならない、人類も抽象度が高い思考ができるように発展した先に、やりたいことをやる世界が来ると考えています。現在の支配体制のままUBIを導入しても、さらに奴隷支配が強まるだけだと思いますので、イーロンにもそれに気づいて欲しい。
UBIについての記事はこちら
・AIについて:イーロンはAIが人類に反抗する事を心配し、安全なAI研究を行っていますが、私は、AIによる反抗(シンギュラリティ)よりも、使う人間の方がよっぽど危険だと考えています。解決策は、やはり抽象度を上げること。あと、AIの細かい事でイーロンに期待するのは、GoogleMapに変わる地図アプリを一般公開して欲しい(テスラでは使えるっぽい)。
まとめ
イーロンの成功の理由の一つは、失敗して学ぶ を基本に考えていること。スペースXだと、リスクを取る、爆発から学ぶ、改修してもう一度やる、という流れで、NASAやボーイングではありえない手法だそうです。
イーロン「文明はこうして衰えていくんだな。リスクを取らなくなる。そして、リスクを取らなくなると、動脈硬化が起きるんだ。審判がどんどん増え、プレイヤーはどんどん減っていく」
イーロンの考えは、日本人にはあまり合わないと思えますし、日本企業は採用しないでしょうが、多少でも良いので国家単位で良い所は吸収し、日本経済停滞を転換するきっかけにならないかなぁと思います。
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