東京の休日 #101 〜「季節をめぐり、自然と遊ぶ」展:大倉/オークラ家の至宝を愛でたひと時のこと〜
令和元年、ホテルオークラは
「The Okura Tokyo」として
新たな歴史を刻み始めました。
その際に、併設する
「大倉集古館」も
再開館したそうなのです。
日本初の財団法人の
私立美術館というこちら。
恥ずかしながら、その存在を
知ったのはごく最近のことでした。
登録有形文化財に
指定されているという
この展示館は一度前を通ったら
足を踏み入れずにはいられない
魅惑の外観をしております。
中国古典様式だそうです。
さて、現在こちらで
開催されているのが
「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」。
(2022年1月18日(火)〜3月27日(日))
見どころをさっそく
ご紹介してまいります。
✴︎新春らしい「梅」
梅の甘い香りを
かぐことができそうな
《梅椿に白頭翁(はくとうおう)図》や
鳥たちとの共演を堪能できる
《花鳥草虫図巻》、
梅の美しい枝ぶりを愉しめる
《墨梅図》。
どれも素敵で見入ってしまいました。
✴︎麗しい「書」
西郷隆盛の
《梅花の詩》。
「西郷さんって字も上手なのね。」
と心の中でつぶやいてしまったこちら。
強く温かなお人柄が
伝わってくるようでした。
《瀟湘八景詩(しょうしょうはっけいし)》
瀟湘(しょうしょう)とは
中国・湖南省にある
瀟水(しょうすい)と湘江(しょうこう)の
合流する地域のこと。
その絶景ぶりに、
多くの詩人や画家が訪れ
作品の題材にしたのだとか。
これが日本にも伝わり、
「憧れ」の景色として
描かれるようになったそうです。
こちらは江戸時代の書家
佐々木文山の作品となっております。
✴︎冬景色と夏景色
今月初めの初雪の美しさに
うっとりとしたばかりのせいか
雪景色の描かれた作品が
心にのこりました。
静けさと山全体を包む風情が
とても魅力的に映ったのです。
そして、夏の暑さに
お茶を飲みながら「涼」をとる
人々の描かれた山水図を眺めていると
うだるような暑さの記憶が
ふわっとよみがえってきます。
こうして
冬と夏の景色を交互に
鑑賞すると
今回の展覧会のテーマ
「季節をめぐる」を
色濃く実感することができるのですね。
✴︎「蘭と竹」
中国の絵画で有名なモチーフなのだとか。
蘭と竹は「徳の高い人」を表現しているそう。
俗人を茨(いばら)として
対比させている作品を目にした時には
背筋がすっと伸びました。
✴︎待ち遠しい「桜」
寒さが厳しいほどに
待ち遠しさの増す「春」。
その象徴はいつの時代も桜のようです。
桃山時代の
《桜に杉図屏風》。
一足先にお花見気分を
味わわせてもらいました。
《吉野山蒔絵五重硯箱》
の輝く吉野山にも魅了されました。
✴︎大倉集古館の美
外観も特徴的なのですが
内装も魅力に溢れているのです。
真っ白な天井と壁。
その天井には
龍の顔が彫られていたり
シャチホコ(のような?)がいたり
階段のところには
狛犬(らしき)がいたりと
神社仏閣の「神聖さ」を
持つ美術館なのです。
二階のテラスも
そこからの景色も素晴らしいのです。
ホテルが美しくみえます。
お外には、こちらの集古館を設立した
大倉喜八郎氏の像が。
草履を片方お脱ぎになり
くつろがれているお姿です。
さらに、中国のアートを愉しんだ後には
中華をいただきたくなり
「The Okura Tokyo」の
桃花林(とうかりん)へ。
五目粥と五目汁そば
(どちらもハーフサイズです。)
杏仁豆腐をいただきました。
心もおなかも満たされた
冬の美術鑑賞。
大倉/オークラ家の至宝
ほんとうに素晴らしかったです。
ホテルのロビーもまた
芸術作品のようでした!
写真・文=Mana(まな)
「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」
会場:大倉集古館
東京都港区虎ノ門2-10-3
会期:2022年1月18日(火)~3月27日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
https://www.shukokan.org/exhibition/
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