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東京の休日 186 〜【⁡ハッピー龍リュウイヤー!静嘉堂@丸の内】辰年の「美術館始め」、龍彩る至宝を愛でてみませんか?〜

「ハッピー龍リュウイヤー!
〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」
2024年1月2日(火)〜2月3日(土)
静嘉堂文庫美術館(丸の内)
にて。


「辰年」を迎えたことを
華やかに奥深く⁡体感できる
展覧会でございました。

暗くもなり、明るくもなり
小さくも、大きくもなり
短くも、長くもなる。

春分には天に登り
秋分には淵に潜る。

龍のイメージの広がる
この龍“七変化”に
すっかり魅了されてしまいました!

(上記「暗くも…淵に潜る」は
中国最古の漢和辞典『説文解字(せつもんかいじ)』
にある『龍』の解説の一部です。
今回展示されております。)

『説文解字(せつもんかいじ)』8冊のうち


さっそく作品を
ご紹介してまいります。

第一章 龍、東アジアを翔ける


《褐釉絞胎龍耳瓶(かつゆうこうたいりゅうじへい》
唐時代(8世紀)

釉薬が神秘的に
「龍」を演出している作品が出迎えてくれました。

《青磁象嵌蓮池水禽文龍頭盃
(せいじぞうがんれんちすいきんもんりゅうとうはい)》高麗時代(13〜14世紀)
《青磁象嵌水禽双魚文龍頭盃
(せいじぞうがんれんちすいきんそうぎょもんりゅうとうはい)》高麗時代(14世紀)

こちらには
背に小さな池を乗せる
少々健気な「龍」が。


第二章 龍、中国工芸に降臨す


漆を塗り重ねて文様を彫り表わす
「堆朱(ついしゅ)」にて
龍と波(濤)が表現された蓋つきの器。

細やかな彫刻に
何度も瞬きをして見入ってしまいました。

《龍濤堆朱盒(りゅうとうついしゅごう)一対》
清時代(18〜19世紀)


高く細やかな技術は
こちらにも。

《龍鳳螺鈿長方盆
(りゅうほうらでんちょうほうぼん)》
明時代(17世紀)

貝の色彩が「龍」をお上品に
描き出しております。

ともに描かれているのは
鳳凰です。

《田黄(寿山石)龍鳳文浮彫》
清時代(18〜19世紀)

「龍」が麗しい文様を織りなすこちらは
清朝、西太后の印材だったそう。


《紺地龍“寿山福海”模様刺繍帳
(こんじりゅう じゅざんふくかい
もようししゅうとばり)》
清時代(19世紀)

皇帝の象徴・五爪龍を
囲むのは吉祥の文様。

煎茶会が催される際に
茶室の入り口にかけられた絹製の幕です。



第三章 龍、日本を駆けめぐる


橋本雅邦(はしもとがほう)
《龍虎図屏風》重要文化財
明治28年(1895)

昭和30年(1955)に近代絵画で初めて
重要文化財に指定された大作です。

そのモチーフは「龍虎」。
中国の五行思想にもとづく
「四神」の中で
龍は東方、虎は西方を司るとされ、

儒教の経典『周易(しゅうえき)』にも
「雲は龍に従い、風は虎に従う」と記されています。


こちらの作品にも
「龍虎図」。

三代歌川豊国(国貞)画
《全盛見立三福神(ぜんせいみたてさんぷくじん)》
江戸時代(19世紀)

江戸吉原で全盛を誇った
三人の花魁。

中央の花紫が豪華な
「龍虎」の衣装を纏っております。



そして、こちらの焼き物には
愉しそうに龍たちが
空でしょうか?を翔けている様子が。

《五彩龍花卉文尊式花瓶
(ごさいりゅうかきもんそんしきかへい)
「大明万暦年製」銘》
景徳鎮官窯
明時代 万暦年間(1573~1620)



鱗の青がとっても綺麗な
こちらのタイルは
京都・西本願寺転輪蔵
(てんりんぞう:経典を納めるところ)
内部の装飾に用いられているものと同じデザイン。

そのため、転輪蔵建立時に製作された
と考えられている作品です。

《色絵団龍文陶板》有田窯
江戸・元禄年間(1688~1704)

こちらもまた
色合いの美しさが目を惹きます。
紅が華やかな印象をつくり出していました。

《釉裏紅龍濤文缸》
景徳鎮窯
清時代 康熙年間(1662〜1722)

《珊瑚紅金銀彩宝相華唐草文器台
「大清乾隆年製」銘》
景徳鎮官窯
清時代乾隆年間(1736〜95)


一転して、
こちらの「龍」はとてもお淑やか。

どこに隠れているか
わかりますでしょうか?

《素三彩花卉文碗
(そさんさいかきもんわん) 一対
「大清康煕年製(だいしんこうきねんせい)」銘》
清時代・康煕年間(1662〜1722)

よく見ると薔薇のお花の下に
うっすらと龍が掘られているのです。

見つけた時の嬉しさと言ったら!


こちらの「龍」も
優しい印象です。

《粉彩“画龍点睛”図瓶
(ふんさい がりょうてんせい ずへい)
「洪憲年製(こうけんねんせい)」銘》
中華民国5年(1916)

片手に筆をもつ人物が
絵画の龍に眸(ひとみ)を描き入れ
生命力を吹き込んだ、という逸話が
モチーフの作品。

クリっとした目が愛らしい
お顔がピンクのふわふわとした龍を
じっと見つめてしまいました。


第四章 龍、茶道具に入り込む


伝 尾形光琳
《龍虎寿老人図 三幅対》
江戸時代 (18〜19世紀)

左に、舌を出した虎
中央に、長寿を授ける寿老人
右に、龍。

龍も虎も親しみやすい姿で
描かれた作品でした。


千利休が所持していたという
お抹茶を入れる茶入

《大名物 唐物茄子茶入「利休物相」》
南宋〜元時代(13〜14 世紀)

も展示されておりました。
小ぶりでころっとした茄子型の
深い茶色をしています。

こちらの茶入に合うものと
茶人・小堀遠州が見出したのが
一対の螭龍(ちりょう)の彫られた

《(唐物茄子茶入「利休物相」付属)
堆黒螭龍文稜花盆
(ついこくちりょうもんりょうかぼん)》
南宋時代(12〜13 世紀)
でした。


お茶を点てる際の湯を沸かす
雲龍窯(うんりゅうがま)。
そこに描かれた龍の体が「虹」として表現された

西村九兵衛
《雲龍釜(鐶付松笠)》
江戸時代(17〜18世紀)

もとても魅力的なお茶道具でした。


ホワイエ 〜龍、丸の内でお迎え〜


《青花紅彩龍文盤「大清乾隆年製」銘》
景徳鎮官窯
清時代・乾隆年間(1736~95)

静嘉堂文庫のホワイエに
常設されているのかと思うほど
空間に馴染む華やかな作品。

「龍」のお顔が愛らしいことも
印象的でした。

《青花龍文大壺 「大明嘉靖年製」銘》

「龍」の横には
「寿」の文字。

新しい年の幕開けに
鑑賞できたことに歓びを感じる大きな壺です。



圧巻の工芸の技術に
何度も心奪われ

龍の勇ましい姿、神々しい姿、
愛らしい姿、親しみやすい姿にふれ

辰年がますます愉しみに
感じられた展覧会でございました。

辰年の「美術館始め」に
皆さまもぜひぜひ足をお運びくださいませ!


写真・文=Mana(まな)

「ハッピー龍リュウイヤー!
〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」
会場:静嘉堂文庫美術館

 東京都千代田区丸の内2丁目1−1 明治生命館1F
 ✴︎美術館入口は、丸の内MY PLAZAの1階にございます。
会期:2024年1月2日(火)~2月3日(土)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)/金曜日は18:00(入館は17:30)まで。
休館日:月曜日、1月9日(火)/
 ✴︎1月8日(月・祝)、1月29日(月)は開館
https://www.seikado.or.jp/exhibition/current_exhibition/


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