【日記】4月30日
4月30日の日記の推敲をしているうちに、5月5日になった。効率の悪い人生だ。
4月30日。
午前中のミーティングを終えたら、いちにちぽっかり空白が開いて、重い腰を上げて、大学図書館に返すはずだった本を返しに行った。
一昨日昨日の曇り空とは打って変わって、それはそれは目に刺さるような快晴で、冬を乗り越えて春もおおむね終えた街路樹が青々と葉を茂らせていて、とにかく目が眩しかった。
ロンドンの空は広くて、青い青い空が広がっている。
3学期と銘打ちながらも、実際は断続的に試験をやっているだけの学期で、それも土曜日の朝ということもあって、普段大学生と行き交う車で忙しいキャンパス一帯は、なんとなくしんとしていた。イースター休暇の時と変わらないくらい、路上も街も静かな気がした。
普段は爆速で歩いている道を、今日はのんびり歩いた。家を出るのが億劫にならないように音楽を聴きながら歩くことが多いけれど(日中に限る)、今日は何もしないで、普段の2分の1倍速くらいで歩いた。その分緑がずっと眩しくて、また夏が来るのだな、と思った。
借りた本は借りた図書館に返さないといけないという原則に則って、徒歩5分くらいに点在している大学図書館を複数巡った。いつもは人でごった返している学生棟も図書館もなんとなく静かで、ちょっとだけ寂しくなった。
今週は忙しかった。日曜日、イベント運営。月曜日、課題の提出①(と誕生日)。火曜日、バイト。水曜日、進路相談。木曜日、ロシア語のテスト、仮眠ののちバイト。金曜日、高校の知り合いにあって、コロナの検査を受けに行って、突然呼ばれたのでバイト。土曜日、朝ミーティング、午後は空白。
ロシア語のテスト。ABEという苗字はアルファベット順にするとほぼ最強なので、朝一番のスロットだった。私の次の番の子が途中で履修を切ったこともあって、私には時間がたんまりあったので、のんびり雑談をして、先生と一緒に試験に必要な素材を作って、自分の試験をした。口頭諮問。
バイトにいくと、賄いでご飯を食べさせてもらえる。アルバイトがなければ毎日朝ご飯[ヨーグルトとレタス]+昼ごはん[ポトフ]+晩御飯[ポトフ]という、なんともつまらないものばかり食べているから、晩御飯に彩をもらえるのはありがたい。賄いで摂ったカロリーは、6時間も立って働けば多分消費しているし、脂肪になってしまうこともないだろう。
なんとなく過去の知り合いに会うことが多かった。誕生日だったこともあって、メッセージが複数きたということもあるし、高校の時の知り合いとか、高校の時お世話になっていた奨学金団体の方とまじめなやりとりをしたり、それ関連で人と話をしたりして、「意外と人に覚えられているんだな」と思った。ついつい人に連絡するのが苦手で、報告事項がない限り自分から連絡することはないのだけれど、それでも私を覚えている人がいるというのは、ありがたいことだな、と思う。
良い天気の日が来ると、なんとなくそれを失うことが恐ろしくなる。別に良い天気に限らなくて、何かを失う時や、必然として何かが終わる時、例えば良い天気とか、空いたジャムの瓶とか、旅行した時にそこを離れる時とか、なんでも「何かが自分の手から離れていくこと」を漠然と恐れている。何かが終わってしまうんだな、と思うと、後ろ髪を引かれる気持ちになって、すこぶる怖くなる。もうここから帰っていいの?一年生終わっちゃったけど、終わってよかったの?それ、捨てていいの?それ、忘れていいの?
私にはどうすることができないものでも、私が主体となって決める何かでも、「終わってしまったこと」もしくは「選ばなかった方」を失うのが怖くて、できるだけ保険をかけながら歩いて、その結果全てが面倒になる。そこで全て処分して、後から後悔することも多い。この全てが面倒臭くなるフェーズのおかげで、別に家がゴミ屋敷というわけでは全然なくて、日常生活には支障が出ていないのが幸いなポイントかもしれない(どちらかといえばミニマリストに近づきたいと思っている)。
本当にそれを手放して良いのか?その問答の結果、私のキッチンの一番上の棚には、綺麗に洗ってラベルを剥がされた空き瓶がいくつも並んでいる。いつか使うかも、と思って、実際その3分の1位は使うけれど、残りは使わなくて資源回収の日にまとめてゴミに出して、後から「あ、あの大きさのビン欲しかったな」と思って捨てたことを後悔している。保険を掛けて、全て面倒臭くなって、後から後悔する、という一連の流れ。
失うのが当然なものを、失うと定義すること自体間違っているのかもしれないけれど。
書き出してみたら大したことがないけれど、4月1日が昨日ですよ、と言われてもあまり疑わないくらい、ぱっっと4月がいなくなってしまった。さようなら4月、こんにちは5月。
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