【🇸🇪スウェーデン日記】#11: パドル・ツアーと雨

7月10日：シティ・デベロッパーへの訪問、及び市内のパドル・ツアー(雨天)。

月曜日。授業は無いが、GoCoと呼ばれるシティ・デベロッパーへの訪問ツアーが組まれていた。ちゃんと酔い止めを飲んで、寮までピックアップに来た大型バスに乗りこむ。こんなバスに乗ったのはきっと高校生の修学旅行以来で懐かしかった。

先述のー先週くらいに話したー南アフリカの青年が横に座ったので、なんか喋りながら高速を走った。南アフリカには首都が三つあるらしい。そんなことある？と思ってファクトチェックさせてもらったが、実際に三権分立が地理的に起こっているっぽかった(Pretoria (executive), Cape Town (legislative), and Bloemfontein (judicial))。面白いし、もうちょっと世界に知られてもいいだろ、このシステム。
https://www.britannica.com/place/South-Africa

周りに都市設計とか建築を専攻している知り合いが何人かいたり、そういう方面に職を見つけたい知り合いがいたりするので、シティ・デベロッパーというものはなんとなく近いようなしかし遠いような存在である。アストラゼネカの設備を中心に健康科学の分野での開発を促進するイノベーション・クラスターを作っているそうで、発明を促進するための環境づくりに骨身を砕いていることがよくよくわかった。そういう産業集積地域は中国のイメージが(なぜか)強かったのだけれど、日本でもみられることがわかった。実際、日本語だけでも論文をあさってみたら、北欧諸国の産業集積地域は色々と研究されているらしく、国際的な評価の中においてみるとさらに興味深さが増すように思う。
https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr03/chr03_3-0-0-1.html

そのあとまたバスに揺られて、市内に戻ってきた。バスの中で普通に横の女の子と寝まくって、起きて「寄りかかってごめんね…？よく覚えてないけど…？」と挨拶を交わすハメになった。

市内に戻ってきたのは、町のボートツアーに参加するためである。ヨーテボリは運河の街なので、街中でボートツアーができる。できるのだが、素晴らしいことに雨が降りまくっていて、私たちはレインコート(ディズニーのジェットコースターとかで使うレベルのあれ)に身を包んでボートツアーに乗せられたのである。

ゴッテンバーグは、もしくはヨーテボリは、昔は造船業で栄えた街である。長崎の沖合にあるような(長崎の沖合にあるような、ということで私は軍艦島に行く途中にみた旧工業地帯を思い出している)、しかしもう使われていないクレーンが運河の途中にもたくさん並んでいる。石油危機とともに廃れた造船業の街は、今イノベーションとサステイナブル・デベロップメントの街として生まれ変わりつつあるらしい。これがかつての工業都市の再生の方法か、となんだか政府の人間みたいな感想を持った。政府の人間じゃないのに。

みんなで入ったサブウェイのサンドイッチを齧っていたら、横に合流したデンマーク人の少女が「サブウェイ、デンマークにほとんどないんだよね」と言った。調べてみたら、実際3店舗しかないらしい。ついつい「スタバもない？」と聞いたら、ほぼないらしい。ドミノピザもなくて、代わりにローカルチェーンがチェーンが繁栄しているというので、程よいグローバライゼーションへのレジスタンスだなと思う。セブンイレブンがかなりローカライズされているどころの騒ぎじゃないのも、なんだか北欧の誇りを見たようで私は大好きだ。

それは良いとして、雨が強い。文字通り爪先から頭の先までびしょ濡れになり、なんならカバンの中までびしょ濡れになり帰ってきたのだった。

今さら、私は英語で雑談ができるようになったのかもしれない、と思う。突然英語で話しかけられようが(日本の大学でちょっと隣の人と話すみたいなもんだ)、パッと答えられるし、言葉に詰まるときは日本語でも答えが出ないときである。日本語で言えないものは英語でも出てこないし、日本で苦手なことは英語を使う環境でも苦手だというそれだけである。3年英語圏に住んでようやく、私はちょっとだけ英語ができるようになったのかもしれないな、と思う。

ついでにいえば、英語が話せるということは、たったそれだけで人生の可能性を大幅に広げてくれると思う。いや、別に何語でもそうなんだろうけど、私は英語を使う大学に在籍しているから、なんら追加の証明書なしにスウェーデンのサマースクールに参加してみたり、英語で教えている大学院のコースをイギリスからアメリカ、ドイツ、ベルギー、スウェーデンと幅広く見られる訳で、なんだかお得だなあ、と思うのだ。