体育会の学生が就職に強いのは何故か?

先ずは以下をご覧頂きたい。これは2022年3月卒業の慶応義塾大学ラグビー部員の就職先である。

(出典)慶應義塾大学ラグビー部 進路•内定先 2022年 | 高校野球ニュース (xn--8wv97xz6xo7h.online)

相変わらず圧倒的な就職の強さを誇っており、多くの就活生の中には羨ましく思うのではないだろうか。私自身も体育会の出身であるが、自身の経験や後輩の就活指導で得た感触から、体育会所属の学生は就職においてなぜ評価されるのかを考えてみた。逆にいえば、体育会所属ではない学生でも、その評価されている理由を知り、体育会以外の活動において結果を残せば、一定の評価を受けることができるだろう。

よくある誤解

体育会系の学生は、上下関係がキッチリしており脳筋で上司や先輩の命令を何も考えずにハイハイとよく聞くし、ストレス耐性が高いので無茶ぶりしても簡単には潰れないため、非常にソルジャー・社畜としての適性が高いという誤解がある。これも確かに一要素ではあるが、よく考えて頂きたいのは、冒頭に記載したような、超大手企業がこのようなソルジャー・社畜人材ばかりを欲しがるだろうか。答えは否で、このような人材ばかりでは企業としての成長が阻害されてしまう。従って、こういったポイントが評価されているわけでは決してない。

体育会の学生が評価されているポイント

体育会の学生が、就職で特に評価されているポイントは以下3点と考えており、これらはビジネスにおいても重要な素養である。
①課題解決力の高さ
②目標達成意識の高さ
③チームワークの経験・リーダーシップ

まず、①課題解決力の高さについて。体育会の学生はチーム乃至は個人として、「チームを優勝に導くにはどうすればよいか?」、「個人の能力を伸ばすにはどうすればよいか?」といった課題と常に向き合っている。
彼らは、そういった課題を解決するために我武者羅な筋トレや練習に勤しんでいるわけではなく、課題の因数分解や解決仮説の構築等のいわゆる問題解決のフレームワークを用いている。更に一定の仮説を基に、PDCAを回して常に改善し続けており、そういった過程の先に大会優勝といった成果を上げている。この能力・資質は、ビジネスにおいても極めて重要なものとなるため、高い評価を受けることができる。
(尚、この課題が困難であればあるほど高い評価を受けることができる。)

次に、②目標達成意識の高さについて。体育会の学生は、目標達成に強い拘りを持っている。①で構築したPDCAを回すには、練習の辛さといった高いストレスが伴い、また結果が直ぐには付いてこず挫折することも多々あり、非常に辛い。然しながら、彼らは目標達成のために、愚直にPDCAを回し続ける。辛さに耐えられない学生は途中で篩い落とされるため、最後まで付いていくことができた学生は、目標達成のためならば一定のストレスにも耐えることができる高い目標達成意識を持った学生である。ビジネスにおいても、立てた目標がすんなり達成することはほぼ無い。挫折とストレスを伴いながら、成功に向かっていく。こういった経験を学生時代に積み重ね、高い目標達成意識を持ち合わせているため、高い評価を受けることができる。

最後に、③チームワークの経験について。大会での優秀な成績は、圧倒的な個人の活躍だけでは成り立つことは殆どなく、チームワークの結果である。チームで目標や課題を議論し、解決策をメンバーで検討し、意見を纏めて練習内容(アクション)に落とし込む。特に優れたチームにおいては、特定のメンバー(キャプテン)のみが率いているのではなく、多くの部員が闊達に議論し、それぞれの役割においてリーダーシップを発揮する。ビジネスにおいても、個人だけで成し遂げられることは極めて少なく、チームワークが基本になるし、また誰かに率いられるだけではないリーダーシップを発揮する必要がある。

勿論、根性一辺倒の前時代的な体育会もまだ存在していることは事実だが、結果を残す体育会学生は上記のような特徴があり、企業から評価されている。体育会に所属していない学生も、上記のようなポイントを意識しながら困難な目標に取り組んで結果を残すことで、就職活動で評価してもらえるだろう。

ここまで体育会の学生が評価される理由を記載してきたが、今後留意したい点がある。近年は、上記のような素養は当然として、何等かの専門性を要求されるようになりつつあり、体育会に所属して一定の結果を出したというだけでは通用しなくなる可能性がある。こういった点を踏まえた体育会学生のキャリアについて、別途記事を投稿予定なので、是非ご覧頂きたい。

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