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セーラームーンになれなかった母とプリキュアになりたい娘。

私と同世代であれば
近所の子供同士でセーラームーンごっこをした経験が一度くらいないだろうか。
当時爆発的に流行っていた、美少女戦士モノの先駆け、セーラームーン。
おもちゃは飛ぶように売れたし
アニメの時間になると
女の子達はテレビに齧り付いて
美少女戦士を応援したものだった。

私はと言うと
なぜかセーラームーンに夢中になれない
可愛げのない女の子だった。
アニメよりままごとより本が好き、暇さえあれば児童書を読んでいる子供で
愛想も悪いし、キャッキャしたところが全くなくて、ほんとに可愛くない子供だったと思う。

一度母親に

「りぼんとなかよしが読みたい」

と頼んだことはあるけれど
風変わりだった母親は

「よしわかった!」

と言って
ゴミ捨て場からジャンプとマガジンを拾ってきた。
私はセーラームーンではなく、ドラゴンボールやろくでなしブルースに育てられ
母親の影響でAKIRAやMADARAなどのジャパニメーションの漫画をよく読んでいた。

私とセーラームーンには一定の距離があった。
嫌いなわけでもないし、興味がないわけでもない。
ひらひらキラキラした世界は可愛いと思う。
ごっこ遊びでセーラームーンになってみたいとも思う。
だけどなんとなく子供心に

「あれは、もっときゃっきゃしていて、クラスでも明るくて可愛いって言われてるような子が、好きになるもの」

と思っている節があった。
馬鹿にしていたわけではなくその逆で

「私のような根暗な人間はセーラームーンを好きになる資格もない」

とまで思っていたような気がする。
なんせ、リボンやフリフリ、ミニスカートの世界には
自分は当てはまることはなくて
ズボンを履いて地味な格好をして
少年漫画を読むのがお似合いだと思っていた。

それはコンプレックスのような諦めのような
なんとも言えないグレーな気持ちだったけど
やっぱりその当時本当のところは
セーラームーンになりたかったんだと思う。

大人になって娘が2人出来て

「ぷりきゅあがみたい」

と言い出した時に

「こんな私の娘だけれど、ちゃんとプリキュアが好きになれるのかしら」

と心配になった。
そして同時に

「多少コンプレックスを克服したとは言え、あれだけセーラームーンと距離を取っていた私が、一緒にプリキュアなんて見れるかしら」

と思っていた。

だけど私は
自分の根暗DNAを子供に継承させる気はサラサラなかったので
よし、見てやろうじゃないか、プリキュア!!
と、勢い込んで一緒にテレビの前に座ったのだった。

ピンクに黄色に水色、フリフリの可愛いお洋服を着て
でっかいお目目をキラキラさせたプリキュアたち。
彼女たちの「悪者」との戦いは、思ったよりも肉弾戦だった。
自分よりも何倍も大きな敵に向かって
蝶のように舞い、蜂のように刺す。
時にはドラゴンボールもびっくりするくらいの殴り合いを繰り広げ
空中をくるりと舞って蹴りを入れ
必殺技を出しても打ち破られ
それでも諦めずに敵に向かってパンチを繰り出す。

いや、少年やんか。

私はテレビの中で舞い踊るプリキュアに釘付けになった。

見た目はブリブリの女の子なのに
やってることは少年漫画やんか。

巨大な敵を前に地面に突っ伏して
鼻水を出さんばかりに泣き崩れながら
それでもガッツで立ち上がり
最後はみんなで力を合わせて敵を浄化して
エンディングはさっきまでの戦いなんてなかったように
にっこり笑ってスカートをユラユラさせながら
可愛いダンスを踊っている。

なんてタフな女の子たちなんだろう。
素直にかっこいいと思った。
37歳だった私が、プリキュアに憧れた。
プリキュアになりたいとさえ思った。
プリキュアの女の子達は純粋でまっすぐで強くって
ぼろぼろになって戦うけど
ちゃんとおしゃれも楽しんで
時には思春期ならではの心の揺れを持て余しながら
それでも毎日プリキュアをやっている。

これ、少年漫画じゃない!!

大きくなった私は知った。
今はもう
「女の子のヒーロー」
がいる時代なんだ。

ヒロインじゃなくていい。
ヒーローでいい。
だけどフリフリスカートを履いてもいいし
お化粧に夢中になってもいい。

少女も少年も関係なく
なりたい自分になる時代。

プリキュアの女の子たちに、これからの未来を見た気がした。

そして今シーズン、満を持して始まった
新シーズンはまさに
「ヒーローガール」
がテーマで
ついに男の子のプリキュアや
18歳のプリキュアも登場し
さらなる展開を見せるプリキュアのキャパシティの広さに
今後も目が離せないな、と思っている。

あの時セーラームーンを推せなかった私は
娘とプリキュアをガンガン推していて
東映アニメチャンネルに入って歴代のプリキュアを見まくって
好きなプリキュアは「スマイルプリキュア」のマーチ&サニーのコンビです。
歴代のプリキュアの中では
なんと言ってもトロピカル〜ジュプリキュアが一番好きで
ガチで鼻水を垂らしながら、敵と戦って
ひたすらまっすぐで純粋で
少年漫画のヒーローみたいなくせに
おしゃれもお化粧も楽しんでる
そんなキュアサマーが
ほんとにほんとに好きです。

娘は今年の七夕の短冊に
「ぷりきゅあになりたい」
と書きました。
良い子に育っているなと思います。

少年漫画、とか
美少女戦士、とか
便宜上そんな風に書かせてもらったけど
男の子も女の子も垣根のない
良いものはいい、苦手なものは苦手!
そんなスーパーダイバーシティなプリキュアが
私は大好きです。

今日はここまで。
ありがとうございました。

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