見出し画像

編集者は、どうやって就職先企業を見定めるべきか

noteの更新がすっかりと途絶え、有料会員の会費だけを払い続ける養分となっておりましたまむしです。ノートの更新頻度は今後頑張ってあげていきたいと思うのでよろしくお願いします。今回は編集者の就職活動についていただいたご質問にお答えしたいと思います。

社員として企業の編集部に転職しようと思うのですが、自分に合う編集部をどうやって見つけたらいいと思いますか?

ご質問ありがとうございます。僕自身も転職経験者ですし現在は面接官として様々な編集者の方の様子を見てきているのでその観点からお話ししたいと思います。

■「転職エージェントに丸投げ」はおすすめしない

ネットニュースの記者として3年が経過した頃、僕自身も転職活動をしたことがありました。転職エージェントに登録し、コンサルタントの方にヒアリングをされ、希望条件を伝えた上でいくつかの求人を提案されました。今思えば不動産の物件探しのようなもので、こちらのスキル経験を伝えた上で「値踏み」されているような感覚も。

ただその末に提案された求人を見て個人的には「あれ。。?」と思いました。提案された求人の企業は名前こそ伏せられていたものの、事業内容や媒体の特徴などを見れば一目瞭然。競合他社や知り合いが勤めている編集部だということがすぐに分かったのです。

それと同時に強烈な違和感に襲われました。「いや、自分のやりたいことってこういうことじゃないんだけど」という。

当時僕がやりたかったのは、メディア全体の運営をするような仕事に携わることでした。そんな希望も伝えたつもりではありましたが、提示された求人はどれもその要望を満たしてくれそうな雰囲気の編集部ではなかったのです。

コンサルタントの方としてはこちらの条件や経験年数を見て決めてくださったのだと思うのですが、そのときに思いました。「編集者やライターのキャリアモデルに詳しいコンサルタントって、もしかしてあんまりいないんじゃないか」と。思えばそこから、「編集者をしている以上、自分自身で働きたい職場を探し出すしかないんだろうな」と漠然と思うようになった気がします。

■職場を探すときに大切にしている3つの軸

その後僕は同業他社の編集部門の人と話すときや、将来自分の直売になりそうな環境について情報収集する時は意識的に次の3つのことを意識するようになっていました。

最終的には、転職エージェントは介さずに、知り合いが活躍している会社に転職することになりましたが、個人的に結構よい3軸だったように思っています。

メディアの存在意義を感じられる市場か

1つ目の軸は、「その会社にそもそもメディアが必要だと思えるかどうか」です。

特にWebメディアの場合新しく媒体を立ち上げるのはそんなに大きな手間もかからないですし、意外と勢いで立ち上げられたり経営者の気の迷いで立ち上げられてしまったりしがち。なので自分自身がその会社にメディアが必要であるという確証が持てているかどうかって結構大事な気がしています。

情報を届けることが、その顧客のニーズに対してどのようなバリューを提供するのか。会員を増やしたいだけで、なんとなく流行に乗ってメディアを立ち上げようとしているような環境だと、やがてメディア「以外」の会員獲得手段(ウェブ広告などなど)と横並びにされ、いかに費用対効果高く(コスト安く)媒体を運営できるかという価格競争にもされる可能性はあります。そうした場面においてメディア固有の価値を自分自身が強く会社に訴えられるだけの大義を持てるかどうか。この辺りは強く意識しています。

会社のビジネスモデルに共感できるか

最近は特にメディアが有益な情報を流していればそれはで良いというだけではなく、いかに事業と相乗効果を生み、持続的に情報発信ができるかどうかが大事になってきていることを強く感じます。

そうした際に大事なのは会社のビジネスモデルに共感できるかどうかということ。仮に読者が何らかのサービスを利用する潜在顧客なのであれば、その会社のサービスが読者に本当におすすめできるものだと自信を持てることはとても大切です。

経営層はコンテンツ制作に理解があるか

メディア事業というのは多くの場合事業貢献が見えなくなりがちで最終的には経営層が理解を持っているかどうかが現場の動きに大きな影響を及ぼします。特に経営層がメディアに対して投資をしようという姿勢を持っているかどうかはダイレクトに日々の実務にも関わってくるのでこの辺りは非常に気になるところ。

とはいえ事前の情報収集で経営層の考えまで想像するのはなかなか難しいかもしれません。
中の人に話を聞いてみたり、あるいはその媒体の中でどのくらい冒険的なコンテンツが許されているのかどうかというのを観察してみると、コストに締め付けられてひいひい言いながら運営している編集部と、新しいヒット企画を生もうとチャレンジしようとしている編集部は割とわかりやすいような気もします。

職場探しは、情報収集力の見せ所な気もする

個人的には転職活動ってライター編集者の情報収集力の腕の見せ所だと思っていて、いかにその編集部の実情や将来やるべきことを言語化できるかどうかがその後の内定の可否にも大きな影響を及ぼすような気がしています。

もちろん事前にわかることばかりではないですが選考を進める過程で是非面接官に聞いてみたり、媒体研究を深くやってみたりして、ご自身に会う編集部を探してみてはどうかと思います。職場を探すのって骨の折れる作業ですが逆にその分「ここだ!」とビビっとくる環境に出会えた時の感慨もひとしお。何より仕事が楽しくなるんじゃないかなと思ったりします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?