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ChatGPTは「編集」をどう変える?編集人材157人に聞いてみました

すっかりnoteの更新が途絶えてしまいました。生きてます。まむしです。おかげさまでセミナー講師の機会をたくさんいただくようになり、むしろその資料づくりの方に結構な時間を費やしてしまっておりました。恐れ入ります。

そんな中で4月21日(金曜日)にChat GPT関連のセミナーに登壇するのですが、その前哨戦(?)として、主催のあしたメディア研究会の亀松さんのお力を借りて、「そもそもChat GPTって今どんだけ使われてるの?」とか、「ライターや編集者の人たちはChat GPTをどう思っているの?というあたりを、アンケート調査してみました。面白い声や結果がいろいろ並んでいるので、是非ご覧ください。

では、まいります。

【調査の概要】
・2023年3月26日〜4月13日にインターネット上のアンケートに集まった回答を集計
・回答者は編集人材157人
(職種の内訳は、ウェブライター77人、ウェブ編集者28人、その他編集職・クリエイティブ職11人、雑誌編集10人、広告・PR8人、マーケッター7人、経営者・管理職6人、新聞記者6人書籍編集者4人)

結果のサマリー

回答結果のサマリーは、こんな感じ。
こういう調査にはそもそも「Chat GPTに興味がありそうな人たち」が集まりがちなのでかなりのバイアスがありますが、それでもいろいろ示唆的でした(その辺は後述)。ふむふむ。

  1. 編集人材が「業務・私用で活用している」と答えたツールで最も多かったのは「ChatGPT(無料版)」で全回答者の38.2%。次いで、「音声文字起こしAI(Nottaなど)」が36.3%という結果になりました。一方、ChatGPT(有料版)や画像生成AI(MIdJourneyなど)は業務・私用での活用率が低く、それぞれ10.8%と3.8%にとどまっています。

  2. AIツールについては全体の52.9%が「積極的に導入したい」と回答。特にウェブ編集者では67.9%、マーケッターでは71.4%が「積極的に導入したい」と回答しており、ウェブ関連の職種やマーケティング分野でのAIツールへの関心が高いことが伺えます。

  3. AIツールを「積極的に活用したいシーン」としては、「情報収集・リサーチ」(69.9%)や「コンテンツ企画」(58.2%)をあげる回答者が多い結果に。一方で、「コンテンツ生成・執筆」や「原稿編集」では、この回答が3割程度と低く、人間の感性や経験が重視される分野では、比較的低い支持率となりました。

  4. 「AIとの相性が良さそうなコンテンツ」について聞いた質問では、「ノウハウ型コンテンツ」をあげる回答者が76.9%で最も高く、次いで「ニュースコンテンツ」が65.4%となっています。

  5. AIツールの活用に対する懸念点としては、個人情報保護や著作権の問題が挙げられ、全体の56.9%がこれらに懸念を抱いていました。また、46.5%がAIツールによる品質低下を危惧しています。

1.AIツールの利用状況について最も近いものをお教えください 。

まずはそもそも、どんなAIツールを使ってるの?というところから。

「業務・私用で活用」していると回答した割合が最も高かったのはChatGPT(無料版)。
「私用では活用」という回答と合わせると、6割以上に上る結果となっています。異常に高い。

先ほども記載しましたが、今回のアンケートは主にSNS上で「ChatGPTによる編集者へのキャリアへの影響を測定する」という意図で回答を呼びかけたこともあり、そもそもChatGPTへの関心が高い層が回答している可能性があります。

ただその半面、ChatGPT(有料版)の利用者割合は、全体の2割弱という結果に。あれ、思ったより低い…?

AIへの高い関心が示された一方、有料版まで利用している人は意外に少ないみたい。それなりに話題性はあったはずですが、「課金ハードルの高さ」が伺える結果となりました。

2.AIツールに対するご自身のスタンスとして最も近いものをお選びください。

では、次の質問です。AIツールに対して積極的に導入するスタンスか否か。これは、職種別に回答を分けたほうが面白いかな?と思ったので、そんな感じで出力してみました。

その結果、「積極的に導入したい」「どちらかと言えば導入したい」を合算して見ると、いずれの職種においても7割以上が導入の意思を持っていることに。回答数に大きなばらつきがあるため単純比較はできないものの、最も導入に積極的だったのは「マーケッター」(71.4%)で、最も消極的だったのは「新聞記者」(16.7%)という結果となっています。

3.以下の場面でAIツールを使うことに対するお考えとして、最も近いものをお選びください。

さて、次です。具体的にどんな場面で、AIを使いたいと思うか。
「積極的に活用したい」と答えた割合が最も多かったのは「コンテンツの企画」でおよそ7割。一方最もこの割合が低いのは「コンテンツの生成・執筆」という結果となっています。

最初、個人的にここは意外で、「コンテンツの企画部分って一番人のクリエイティビティが生きるんじゃないの…?」という感覚がどこかにあったのですが、その後僕自身もChat GPTを触っているうちに、制作のところは人の方が今のところは効率的で、その上流工程でいろいろ活用するのが、現時点ではいいかもなと思うようになったり。

この辺はあくまで、「今のChat GPTに対して」の評価であり、今後どんどん印象が塗り替えられていくのかもしれませんね。


4.以下のうち、AIとの相性がよさそうだと思うコンテンツがあればお選びください。

続けて続けて。一口に「コンテンツ」と言っても、報道的な内容からちょっとした娯楽的な内容までさまざま。数ある中でも、「AIを活用することで効率的に作れそうなコンテンツ」ってそもそも何?という質問を投げてみました。

その結果、「AIとの相性がよさそう」だとの回答を最も集めたのは「ノウハウ型のコンテンツ」で76.9%。次いで「ニュースコンテンツ」(65.4%)という結果に。自由記述欄では「一定の構成が定型化されている点で相性がよさそう」「AIは、情報を集めて要点をまとめることが得意そう」といった声が寄せられています。



5.AIツールの活用に懸念を感じる点はありますか?

はい、次。今僕自身もいろんな編集部の人たちと「Chat GPTどう使うの?」という話題で持ちきりですが、その利用にあたっては数々のハードルも存在します。具体的にどのあたりに皆さん懸念を感じているか質問してみました。
その結果、およそ6割が「著作権・プライバシーの侵害」や「人間の感性や経験が必要な場面」においてAIツールの活用に懸念を感じると回答。そのほかの項目についても4割から5割程度が懸念を示しており、AIの本格導入にあたってクリアすべきハードルの多さも浮き彫りになっています。


6.AIツールの普及によって、ご自身の仕事が奪われるような「脅威」を感じますか。

さて、最後の質問です。「Chat GPTをはじめとするAIツールの普及は、編集人材にとって福音となるか否か。端的に「脅威を感じるかどうか」を聞いてみました。

その結果、「強く感じる」「どちらかと言えば感じる」を合わせると、編集人材のおよそ4割程度がAIツールの普及によって仕事が奪われる「脅威」を感じている結果に。これを多いとみるか少ないとみるかですが、過半数は「どちらともいえない」~「全く感じない」というレンジではあります。ただこれも、同じ「編集人材」とはいえ職種によるばらつきが大きそうだったので、職種別にクロス集計してみました。

その結果(回答数に大きなばらつきがあるものの)職種別にみると、「脅威を強く感じる」と答えた割合が最も高かったのは、「マーケッター」で42.9%。次いで「経営者・管理職」(16.7%)、「ウェブライター」(14.3%)などなど。

新聞記者の回答が少ないものの、明確に「脅威を感じている」と答えたのは33.3%(つまり6人中2人)。ニュースコンテンツはAIと相性がよさそう、6割以上が回答していることを考えると、脅威を持つ人がいてもおかしくない気もするのですが、共存の道のりを既に見出しているのか。あるいは当事者からすると「AIにニュースなんて無理」という話なのか。どうなのか。

この辺の深掘りは、次回以降に譲りましょう。

皆さんから見て今回の結果、いかがだったでしょうか。

個人的に気になったのは、Chat GPT有料版の利用者が2割弱しかいないのに、「4割の人がそれなりに脅威を感じている」という点。僕個人として、Gpt4を触ってみてようやく「これやべえwww」という実感があったので、そこを体験するともっと違う印象を持つ人も多いんじゃないかなぁ、とか。
この辺りはもっと対話や実践例をため込んでいきたいな、と思っています。

なお、今回の調査では非常に重厚な自由コメントもいただいており(さすがライター向けのアンケート・・・)、その一つ一つもマジで珠玉な感じです。
まず第一報的に、アンケート内容のサマリーをお届けしましたが、今後順次、面白かった自由コメントや、クロス集計の結果などもお知らせしていきたいと思います~。よろしくお願いいたします。

あっ。冒頭でも記載しましたが、4月21日にセミナーに登壇するので、ご興味ある人がいたら来てください~w


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