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12/1 来ないサンタを待ちながら

12月突入!クリスマスシーズン突入!
この時期になると「12月に用意するんじゃ人気のおもちゃ間に合わないよ」とか「子どもが欲しがってるものが急に変更になって大変」とかそういう話題を見かける。その度に「そんなに必死でやるイベントなんだなあ」と感心する。

自分の子どもの頃を振り返ると私は最初からサンタというイベントは、節分の豆まきと同じくらいの気持ちだった。
というのも私には年の離れた兄が二人いて、兄は年子だったから当時の出費はすごかったと思う。必然的に主張できない一番下の私は扱いが雑になってくる。基本的に学用品はお下がりだったし、さらに兄たちはそんなに妹を可愛がろうという気が無かったので「妹はまだ小さいからサンタさんを信じさせてあげよう」という配慮もなかった。むしろ積極的に壊しに来た。

でも私自身、小さい頃から絵本の代わりに兄の漫画を読んでいたので、ドラえもんやコボちゃん、クレヨンしんちゃんでは普通に親がプレゼントを用意している描写があったから「サンタはイベント用の存在だ」と自然とそう思っていた。

そんな可愛げのない子供だったがクリスマスの時期の広告は好きだった。
ハローマックのチラシや、トイザらスのチラシやカタログ。
うちは貧しいから買ってもらえないだろうと思いつつ、遊んでる妄想を良くしていた。一応このおもちゃが欲しいとアピールはしておいて、もらえたらラッキーくらいに思っていたが大抵はお菓子のブーツやしまむらのマフラーとか手袋とかだった。

小学生になると貧富の差が如実に表れてくるのが子供心にきつかった。
友達は自転車、ゲーム、人形の家、でっかいLEGO、電子ペットをもらって喜んでいる所、私は500円くらいの目覚まし時計。
喜んだ振りをしていたが、私は勝手に5時半くらいに起きてしまう体質だったので全く使わなかった。

ポケットモンスター金銀が出た頃、どうしても私はそれが欲しかった。
ゲームボーイカラーとポケットモンスター銀を買ってくれ…。
朝起きるとツリーに四角い包みがひっかかっていた。
祈るように包みを破くと黄ばんだゲームボーイにポケットモンスター赤が挿さっていた。ソフトの裏を見ると修正液で名前が消されていた。
うっすら「サトウ」の文字。母のパート仲間から譲ってもらったんだな…と悟った。サンタの手紙には「これしかなかったんだ!ごめんネ!」と書いてあった。私は「こんなに貧しかったのか」と再確認して何かをねだることも無くなっていった。おまけに単三電池がなかったのですぐに遊べなかった。

子供心にもやもやしたのは、サンタの手紙だった。
ここまで貧しいならいっそサンタの手紙をやめて欲しかった。
たぶん親の心情的にはせめて夢を与えてあげたい…と思っていたのだろうけれど「留守番しててネ」と同じ筆跡で、余ってた便箋に「サンタより」と書かれても「もう少しこう…あるだろう!せめて英語で書くとかクリスマスっぽいカードを使うとか創意工夫は無かったのか?」と憤っていた。

友達にはキラキラしたクリスマスカードに筆記体でメリークリスマスと書かれた手紙が添えられていたらしい。
そういう心づかいが羨ましいなあと常々思っていた。
せめて物は貧相でもそういうちょっとした「粋」が欲しかった。
新聞紙で包まれたプレゼントではなく。

4、5年生になると子供たちの間では「サンタは本当にいるのか?」という話題が上る。私は嫌なガキだったので「サンタは親で、欲しい物が毎年もらえているのは裕福な家だけだ」と言った。
そしたらその子の家のお母さんから「うちの子はまだ信じているから言わないであげてね」と言われてしまった。
結局その友達は6年生の時に「中学生になるからプレゼントはおしまい」という宣言まで信じていた。

子供の頃はサンタを信じてた!恥ずかしい~なんて思うかもしれないが、
サンタを信じていた年数が長いほどしっかりした親御さんのいる温かい家庭で育ったのだと誇りに思って良いと思う。

衝撃だったのが、高校生の時バイトの後輩(実家がとても裕福)が
「聞いてくださいよ~サンタ親だったんですよ。信じてたのに…ショックで泣いちゃいました~」と言ってきたことがあった。15歳まで信じるってすごいな…豊かの力を見せつけられちまったぜ…。

何年か前に、Yahoo知恵袋に「サンタはいますか?」という質問が投稿されて、「誰かに何かをしてあげたいという気持ちがサンタになる」というような回答がついてすごく感動したのを覚えている。

だから大人になってからはクリスマスになると頼まれる訳でもなく、
仕事帰りにちょっといい所のカットケーキを多めに買って帰る。
玄関の暗所に隠しておいて、夕飯を食べ終わってから大げさに出すと母も父もワアッと喜ぶ。喜ばしてやったぜ、という自己満足をしているだけだけどクリスマスの精神ってこういうものなんだろう。

なんだかんだと文句ばかり書いていたが、クリスマスは好きだ。
今度はアニメのクリスマス回みたいなザ・パーティーって感じのをやってみたい。パーティー帽を被ってクラッカーを鳴らしてケーキやピザを食べてみたい。

ちなみにかっぱちゃんの家ではデパートの雇われ外人サンタが来ていたので中学生まで信じていたという。
同じ頃、我が家はサンタが来るどころか、帰宅中の父がケーキを買いに来たカップルの軽自動車にはねられていた。


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