「次の電車が来る前に」「よるのばけもの」を読んだ日

あけましておめでとうございます!
2023年初めての投稿は若干遅れてしまったけれど、相変わらず読んだ本の感想を残していこう。
タイトルにもある通り、年明けから2冊読みました。

・自分一人で綴る卒業文集の続き

まず最初に読んだのは、越谷オサムさんの「次の電車が来る前に」です。小学生の時に読んだ「陽だまりの彼女」を書いた作家さんだったのを知った。
あらすじは下記です。

列車はいつも、僕らの日々を運んでく。出会いも別れも、伝えたかった言葉も――。祖母と豊橋を訪れた美羽。「路面電車に乗りたい」という祖母の秘められた思いとは(「二十歳のおばあちゃん」)。故郷への新幹線で想起する父の記憶(「やまびこ」)、貨物列車をめぐる六年生の小さな冒険(「名島橋貨物列車クラブ」)など、心のつながりを描く人生のスケッチ、全5話。『四角い光の連なりが』改題。

電車を交えたエピソードが5つ。どれも読んでいて心がほんわかする物語ばかりでした。
私が特に好きだったのは「名島橋貨物列車クラブ」かな。少し変わり者の友人・塁人との思い出を中心に、卒業文集に書ききれなかった本当の気持ちを主人公が綴っていく。

「こういうことを書くとすごく嫌味な感じだけど、どうせ誰も読まないんだから書きます。
僕は『塁人のよき理解者』というポジションを自まんに思っていたんだと思います。」
「ぴったりな言葉を電子辞書で探します。見つかりました。エゴが満たされる。」

小学校6年生、自分の中の友人に対するエゴを正直に書き綴るこの物語は、読む人がほぼ全員感じたことのある気持ちを拙い文章で書いてくれます。
わかるよ、でも、エゴだってなんだって、その友達が大事ならそれも正解の一つなんじゃない?と主人公に、自分に言ってあげたくなった。

新年一発目に読んだ本がこの短編集でよかったと思えた一冊でした。


・どっちが本当の自分?

二冊目に読んだのは、住野よるさんの「よるのばけもの」です。

夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。
だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて――。

住野よるさん、大人気作家さんですよね。実はまだ一冊も読んだことがなくて(完全に食わず嫌い)、初めて手に取って読んでみました。

学生時代特有の閉塞感の中で、クラスの中の「正解」を当てながら毎日を過ごす空気感がリアルだった。
だんだんと主人公が、昼間の人間の自分と夜の化け物の自分、どっちが本当なのか、どっちも本当なのか、クラスの中の「正解」は自分にとっても「正解」なのか、気づいていく過程に少し胸がぎゅっとなりました。

ラスト、主人公が選んだ「正解」は教室の中では生き辛さを感じるけれど、学校なんて枠を飛び出したら間違いでなかったと知る選択だと私は思いました。


2023年、個人的には色々と大変な滑り出しで、憂鬱な気分なのですが、今日行った図書館には読みたかった本が置いてあったし、何とかかんとか毎日を過ごしていこう。

おわり。
今年もできる範囲で頑張ろうね、自分!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?