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新星フレンチDJクングス登場!ぶっ飛びMVと技アリLyricVideoの2本立て(オススメMV #96)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の96回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回はフランスの新進気鋭のDJ、クングスの特集をお送りします。
フランスのDJというと、皆さん誰を思い浮かべますか?
有名どころではデヴィッド・ゲッタやDJスネークあたりでしょうか。
渋めなところではローラン・ガルニエもその道では有名です。
私の大好きなDJであるマーティン・ソルヴェイグもフランスですね。(ご興味ある方はコチラもぜひ!→ペイルカラーのマーティンソルヴェイグ
そんなフレンチDJ界に突如現れた若きDJが、今回紹介するクングスです。

では、今回メインとなるMVをまずは紹介しましょう。
クングスの「Clap Your Hands」です。どうぞ!

なんでもアリのぶっ飛んだ映像としか言いようがないですね。
しかし、楽曲とのマッチングがいいのか視聴したあとには爽快感さえ漂う不思議なMVとなっています。

クングス(Kungs)はフランスのDJで、2014年にデビューというかネットに公開したリミックスの楽曲が人気となり、2016年には同国フランスの大御所DJデヴィッド・ゲッタのツアーのオープニングアクトを務め、同年に1stアルバムを、そして今年2022年に2ndアルバムをリリースした、フランス期待の新星DJです。
この「Clap Your Hands」は、その最新の2ndアルバム「Club Azur」に収録されシングルカットされた楽曲になります。

では、さっそくMVの解説に参りましょう。
この「Clap Your Hands」のMVは、大御所ではまずやらないような欧米系の国とアジア系の国の核戦争というネタをぶち込んできているところがびっくりですが、ある種ぶっ飛びすぎて気持ちがいいですね。

しかし、このMVの特徴はそのネタにあるのではありません。
映像の構成が素晴らしく、考えられて制作されているからこそ、何度観ても飽きない秀逸なMVとして仕上がっているのです。
まずは、異なる場面の組み合わせのバランスがよく、多様性に富んでいるため、様々な年齢や職業、人種や立場の人が違和感なく登場しているところが技ありです。
・欧米系国家の首脳会議室
・アジア系国家の軍事基地
・草原の中のホットドック販売車
・スーパーマーケット
・老人介護施設
・屋外での消火活動中

そして、やっぱりこの手のノリのいい音楽にはダンスが必須です。
それぞれの場面で、あるひとりがまず踊り出し、核ミサイルの発射をきっかけにして全員が踊り出す...という流れがいいですね。
このMVもその中核となっているのはダンスであり、年齢、性別、国籍など関係なく全員が踊っているところもMV全体の良い印象付けにつながっています。

この「Clap Your Hands」のMVを観ていると、以前ミニシアターで観て印象に残っている「草原の実験」という映画が思い出されます。
会話が一切なく、美しい映像と不思議なストーリーが記憶に残る作品で、このMVと同じく核爆発の爆風がラストシーンとなっています。
また、主演のエレーナ・アンさんという超美形の女優さんの女性になる直前の少女の印象が強く、このエレーナ・アンさんは日本の化粧品のCMにも何度か出ているので、皆さんも見られたことがあるかもしれません。

話がそれたので元に戻しましょう。
この「Clap Your Hands」のラストシーンでは核爆発が各地で起こりますが、その際には性別、年齢、国籍など様々なヒトを分類する要素は関係なく、みんなが抱き合うところで終わります。
これを「最後はみんながひとつになった」と思うのか、それとも「核戦争でも起きないと、みんながひとつになれないのか」と思うのか...ということを考えされられるMVでもあります。

「Clap Your Hands」については、MVだけでなく楽曲についても少し皆さんにお話ししたい内容があります。
この「Clap Your Hands」は、Baby's Gangというグループの「Happy Song」という楽曲をサンプリングしています。
オリジナルの「Happy Song」は1983年にイタリアでリリースされたのですが、翌1984年にドイツのバンドであるBony M.がカバーしてヨーロッパで大ヒットしたようです。
その「Happy Song」をサンプリングしたのがこの「Clap Your Hands」ですが、サンプリングというよりリミックス、いやアレンジぐらいのレベルのような気がするのは私だけでしょうか...
Bony M.の「Happy Song」も、オリジナル版をアレンジしながらも「カバー」としてリリースしているので、ちょっと微妙な気がします。
オリジナルと聞き比べてみると、確かにクングスの「Clap Your Hands」のほうがぜい肉というか冗長な音がそぎ落とされて、いい部分だけが抽出されているようには思えますが。
まあ、ややこしい話はさておいて、ノリのいい楽曲にぶっ飛んだ映像を組み合わせ、楽しいMVに仕上がっていることは間違いありません。

さて、今回はもう1つ、ぜひ紹介したいMVがあります。
それが、同じクングスの、しかも同じ「Clap Your Hands」のMVです。

リリック・ビデオ(Lyric Video)という歌詞をメインにした映像のMVですが、上で紹介したオフィシャルMVの出演者が入れ替わり立ち代わり出演し、様々な表情や仕草そしてダンスで楽しませてくれる技アリMVです。

私はカット割りが細かいMVは苦手なのですが、このLyric Videoは全く気にならないところか、リズムに合わせて出演者が次々と登場するのが楽しく、また細かな切り替わりだけでなく、各所にちりばめられた少し長回しの出演者のダンスシーンを際立出せることにもなっています。
更に細かく観ると、背景と出演者の服装の色の組み合わせにも気を配られていることがわかるだけでなく、出演者の身長がそのまま画面上で表現されており、出演者個々の個性を際立たせていることに成功しています。

このLyric Videoは、オフィシャルMVとセットで見ると「あっ、この出演者はここで出ていた人だ!」と楽しさも倍増されるため、ぜひオフィシャルMVを観た後に続けて観ていただければと思います。
私が観てほっこりするのは小柄な老齢の女性のシーンで、笑顔と控えめなダンスは何度観ても癒されます。

今回の「Clap Your Hands」の2つのMVはいかがでしたでしょうか。
オフィシャルMVとLyric Videoを交互に観ていただければ、楽しさもひとしおです。

ではまた次回に。

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