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面白ダンスMVと勝手に命名。手話にチベット僧そしてロングボードとコラボってどんな感じ?(オススメMV #93)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の93回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は数あるダンスMVの中でも、何かの要素と組み合わせて面白い効果を出しているMVを「面白ダンスMV」と称して紹介します。
ダンスのみではなく、ダンスと他の要素と組み合わせることで特徴付けをおこなっているMVです。
組み合わせる要素は、タイトルの通り「手話」と「チベット僧」そして「ロングボード」の3つとなります。

では、最初の「手話」と組み合わせた「面白ダンスMV」はコチラです。
キャピタル・シティーズの「Vowels」です。どうぞ!

ノリのいい楽曲に工夫が詰まった映像との組み合わせが秀逸なMVです。
お金を掛けなくても、企画と努力で素晴らしい作品ができるお手本のようなMVです。

キャピタル・シティーズ(Capital Cities)は、2008年結成のUSのエレクトロ・ポップデュオで、2010年に1stシングルを、2013年に1stアルバムをリリースし、2018年に2ndアルバムをリリースするという、じっくりタイプのアーティストです。
この「Vowels」は2016年にリリースされた楽曲で、2018年リリースの2ndアルバム「Solarize」にも収録されています。

本題に入る前に、私の大好きなSiaのMVではおなじみのマディー・ジーグラーのダンスと似ているなと思ったところ、Siaのダンスの振付師と同じ方が振り付けをしているということで、「なるほどな」と思った次第です。

では、本題のMVの話に参りましょう。
今回のテーマであるダンス+手話ですが、MVをご覧になるとわかる通りダンサーが手話をしながら踊るという、ありそうでなかったMVです。
動きが早いダンスと止まった状態で見てもらう手話の組み合わせがどうなんだ...という話もありますが、組合せることそのものに意味があり、またダンスも表現方法のひとつですから、2つの表現方法を組み合わせることでより多様な表現ができるようにも思います。
しかし、それがこのMVで成功しているかどうかというと、微妙な気がするのも正直なところで、なかなか難しいものです。
楽曲のテイストから考えると、もう少しキレのある動きをメインにしたダンスのほうがよかったようにも思ったりもするのですが、手話という表現をメインに据えたダンスのため激しい動きを中心には出来なかったのかもしれませんし、振付師さんの方向性からも難しかったのかもしれません。
しかし、このダンスが悪いかというと全くそうでは無く、しっかりとしたテーマを持っていることに意味があり、かつ完成度としても相当高いダンスであることが分かります。
ダンスの完成度の高さは、楽曲のタイミングとも完璧に合っていることや、画面の中でのダンスの見せ方(ダンサーの体の大きさや位置など)が計算されていることからもうかがえます。
調べたところによると、3日前からリハーサルを繰り返して楽曲とのマッチングや見せ方を調整したとのことですので、1つのMVの制作としては異例の取り組みですね。
やはり良い作品は、しっかりとした考えを持って企画し、きちんと準備をしたうえで手間ヒマを惜しまず制作された結果であり、奇跡や偶然で生まれるものではないことが分かります。

キャピタル・シティーズには、超絶オススメのMVが他にもあるのですが、また別の機会に紹介させていただきます。
なお、このMVもそうですが、キャピタル・シティーズのMVでは、本人の登場の仕方がメチャクチャいいことも特徴です。
この「Vowels」のMVでも、しっかり出ているものの出過ぎず、出かたもオシャレですね。

では、次の「面白ダンスMV」、コラボするのは「チベット僧」です。
ギャランティス&フックン・スリングの「Love On Me」となります。

カラフルで賑やかで、楽しさ満載のMVですね。
リズミカルな楽曲は若干単調ではあるものの、それを感じさせない映像効果により、素晴らしいMVとして仕上がっています。

ギャランティス(Galantis)はスウェーデンのエレクトリック系のデュオですが、以前この連載で「実写にイラストや文字を重ねるって、簡単なようで難しい」というタイトルで取り上げていますので、ご興味ある方はご覧ください。
フックン・スリング(Hook N Sling)は、調べたところオーストラリアの有名DJで、2015年にはAUDIO 2015というフェスで来日もしているようですが、詳しい情報はあまり見当たらず、私も今調べ中という状況です。(ちなみに、フックン・スリングはこのMVで初めて知ったアーティストです)

では、MVの話に入りましょう。
このMVは、一見モリモリの内容に見えるのですが、実はシンプルです。
チベット僧のダンスに加え、建物や風景等の環境を様々な映像効果を加えてダイナミックに表現しているためモリモリに見えるのですが、素材そのものはシンプルで、かつあくまでも中心に据えているのはチベット僧のダンスであることがまとまりのある映像として仕上げています。
そして、ダンスや変化のある映像効果などの動的な映像がほとんどですが、チベット僧による砂絵の描画シーンを中心に静的な映像もはさまれていることで、単なる賑やかなMVにはなっていません。
また、チベット僧が曼荼羅を砂で書き、書き終わったら消してしまうという行為を映像の中に取り入れていることや、ベット僧ひとりひとりの顔のアップが途中に挟まれていることで「ヒト」にもフォーカスされており、ノリのいい軽い映像ばかりと見せかけながら、奥深さも生み出しています。
つまり、明確な企画としっかりした調査を踏まえた内容によって実現されている、いたってマジメで技アリなMVと言えます。
何度観ても飽きない、本当にいい作品です。

さて、最後に紹介するMVは、ロングボードとダンスのコラボMV。
スクリレックス&プー・ベアの「Would You Ever」です。

これまた特徴的なMVです。
ひとりのオッサンがスケボーに乗りながらダンスする映像がほとんどというヘンテコMVですが、爽快感すらある不思議なMVです。

スクリレックス(Skrillex)は、アメリカのEDM系のアーティストで、ソニー・ジョン・ムーアという方のひとりプロジェクトの名称です。
ダブステップというジャンルを開拓した方で、賑やかというか攻撃的な楽曲が多いためか、私としてはあまりじっくり聴くことがありません。
しかし、他のアーティストとコラボした楽曲ではお気に入りのもの多いため、接点としては結構あるアーティストです。
プー・ベア(Poo Bear)も、ジェイソン・ポール・ダグラス・ボイドという方のひとりプロジェクトの名称で、同様にアメリカのアーティストです。
ジャスティン・ビーバーのソングライターとして知られていますが、プー・ベアという名前は有名な「くまのプーさん」のことで、MVの映像からみても分かる通り、体系や風貌から名付けられたように思います。
このふたりは、実は以前にもタッグを組んでいるのですが、それがこの連載で紹介したJack Üの「Where Are Ü Now」で、楽曲の制作にプー・ベアも参画しており、2度目の共作となっています。
ちなみに、「Where Are Ü Now」のMVも超絶オススメですので、未見の方はぜひご覧ください。(以前の連載はコチラ→「Jack ÜとJustinBieberがコラボしたこのMVは...」

前置きが長くなってしまったので、MVの話にいきましょう。
何といってもこのMVの特徴は、上半身裸でスケボーに乗りながら踊るオッサンにつきます。
一見スケボー(スケートボード)のように見えたのですが、調べたところロングボード(正式にはロングスケートボード)というスケボーより長い独自のボードを使った遊びがあり、競技にもなっているようです。
いくつかあるジャンルのひとつが「ダンシング」なのですが、このMVに登場する男性はプロのロングボードダンサーということで、さすがにうまいわけだな...という感じです。
しかし、楽曲とロングボードダンサーの優雅な踊り、そして雄大な景色のマッチングが素晴らしく、単調な楽曲かつ映像なのですが観ていて全く飽きないのは不思議で、それほど楽曲と映像の相性がいいんでしょうね。
途中で差し込まれるスクリレックスとプー・ベアの映像も、いいタイミングかついい割合なので、程よい変化を生んでいます。
この楽曲を聴いていて、スクリレックス単独の楽曲とは全く違うテイストなのには驚くばかりで、他のアーティストと組むほうが私としては絶対いいのにな...と思うことしきりです。

さて、今回の面白ダンスMVはいかがでしたでしょうか?
手話、チベット僧、そしてロングボートと組み合わせた3つのMV、それぞれ違う味があるオススメMVとなっています。
お時間のある時に3つ並べて観ていただければよいかもです。

ではまた次回に。

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