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Jack ÜとJustinBieberがコラボしたこのMVは、画期的なアイデアとプロセスが生んだ名作だ!(オススメMV #81)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の81回目です。(連載のマガジンはこちら)

様々なMVを視聴するなかで、たまに「こんなMV、見たことない!」と唸ってしまうスゴイMVに遭遇することがありますが、今回紹介するMVはまさにそんな作品です。

あえてジャンルを設定すると「実写の映像にイラストや文字を重ねたMV」となりますが、今回紹介するMVはそんな次元ではありません。
タイトルにもありますが、アイデア自体が画期的であり、かつ実行する際のプロセスの難易度が高く、またプロセス自体に意味がある...といろんな意味でスゴイMVとなっています。

詳しい解説は後ほどさせていただくとして、まずはご覧ください。
Jack Üの「Where Are Ü Now with Justin Bieber」です。どうぞ!

皆さんの頭の中は「???」という感じでしょうか?
1回見ただけではこのMVのすごさは分かりません。
ぜひ以下の解説を見たうえで再度このMVをご覧ください。

MVの解説の前に、簡単にアーティストを紹介しましょう。
Jack Ü(ジャック・ユー)とは、EDM系のアーティストであるスクリレックス(Skrillex)と、この連載では幾度となく登場しているディプロ(Diplo)によって2013年に結成されたユニットですが、2015年にアルバムをリリースした後、2016年に残念ながら活動を休止してしまっています。(ティプロについては、過去の連載「Bitchすぎだろマドンナさん!」をご覧ください)

そのJack Üの唯一のアルバム「Skrillex and Diplo Present Jack Ü」に収録され、セカンドシングルとしてリリースされたのが、この「Where Are Ü Now with Justin Bieber」です。
この楽曲はタイトルクレジットにもある通りジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)との共作で、単にボーカルを務めているだけでなくジャスティン・ビーバーがオリジナルの楽曲を提供し、スクリレックスやディプロらの手によって最終的な楽曲として仕上げられています。
特に歌詞はジャスティン・ビーバーのオリジナルのままといわれており、彼の豊かな才能がここでも垣間見えます。
楽曲自体についても語りたいところですが、キリがないのでさっそく本題のMVの解説に参りましょう。

この「Where Are Ü Now with Justin Bieber」のMVは、ギャラリーの一室に奥の通路から入るところから始まります。
そして壁に掛かっているたくさんの人の上半身の絵なのか写真の中にひとつだけある黒い紙に寄っていき画面いっぱいになると、その漆黒のなかでジャスティン・ビーバーが歌い始める...という至って地味であり、かつワケが分からない出だしから入ります。

そして、突然パレットの絵の具を筆に付ける画面に切り替わり、黒い紙に書き始めたところで元のジャスティン・ビーバーの映像に切り替わります。
彼の顔に色が塗り始められたと思ったら、ジャスティン・ビーバーの映像の上に手書きの様々なイラストや文字や模様がパラパラ漫画のように次々に表示され、「これナニ?」と驚いていると元のギャラリーでたくさんの人がペンや筆で紙に何かを書いている映像が差し込まれます。

そうなんです。
ジャスティン・ビーバーの映像にかぶさって表示されているイラストや文字や模様は、大勢の方が1枚ずつ手で描いたものだったんです。

そして、その1枚1枚をつなぎ合わせ動画として加工したものがMVの映像として使われているのです。

1回目に見たときはピンと来なかったのですが、2回3回と見るうちにこのMVの凄さが波のように押し寄せ、感動の渦に飲み込まれてしまいました。
では、このMVの何がスゴイのか?
このMVの凄さは、「融合」と「昇華」というキーワードで表現できます。

1つ目は、「アナログ」と「デジタル」の融合。
紙に手書きで書いたイラストや文字をジャスティン・ビーバーの映像とうまく重ね合わせながら動画として成立させている点。
2つ目は、「アーティスト」と「コンシューマ」との融合。
ジャスティン・ビーバーやJack Üをはじめ制作に携わる様々なアーティストだけで作るMVではなく、このMVはコンシューマ(ファンの方々)がそのメインとなる絵を描くというプロセスが中心となっており、アーティストとコンシューマが融合し共に作り上げた作品となっています。
そして、「融合」の先には、それぞれを新たな次元に「昇華」させていることも、特筆すべきことです。

驚くべきアイデアですが、そのアイデアを実行するにはコンシューマの機動力とアナログのデジタル化という膨大な労力も必要となり、それを実現したことにこのMVの価値もあります。(ピカチュウなど版権のあるイラストも多々あるため、その手の権利問題の解決にも相当労力とコストが掛かっていると思われます)
また、そのプロセスそのものがこのMVの存在価値になっていることも、重要なポイントです。

また、もう1点、このMVが私に与えた気づきがあります。
それは、ジャスティン・ビーバーに対する私のイメージを変えたことです。

自分自身の写真に対して、いわばいたずら書きをされまくっているのですが(顔に骸骨を書かれたり、目玉が飛び出している絵もあります)、それらすべてを受け入れて、自分自身をキャンパスとして差し出している姿は、やんちゃをしている彼のイメージからはほど遠く、腹をくくっているスターそのもので、あっぱれとしか言いようがありません。

この「Where Are Ü Now」のMVを観れば観るほど、このMVの凄さを実感し、感動してしまいます。

さて、本当は今回のテーマである「実写の映像にイラストや文字を重ねたMV」を数点紹介する予定でしたが、「Where Are Ü Now」のMVの話はキリがなく相当の長文となっていしまいました...
このままいくと相当モリモリ(というかダラダラ)の投稿になってしまいそうなので、今回は1作品のみの紹介とさせていただきます。
予定していた他の「実写の映像にイラストや文字を重ねたMV」については、またあらためて紹介させていただきます。

今回のJack ÜとJustinBieberがコラボした名作MV「Where Are Ü Now」はいかがでしたでしょうか。
ここまで読んでいただいた方は、ぜひ「Where Are Ü Now」のMVを再度ご覧いただき、感動の波に浸っていただければ幸いです。

ではまた次回に。

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