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レトロとモダンの融合だ!キャピタルシティーズの名作ダンスMVをぜひご覧あれ(オススメMV #103)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の103回目です。(連載のマガジンはこちら)

本連載ではダンス系のMVをたくさん紹介していますが、今回はレトロとモダンを融合させた名作ダンスMVを紹介します。

まずは、その超絶オススメのダンスMVをご覧ください。
キャピタル・シティーズの「Safe And Sound」です。どうぞ!

最初から最後まで息つく暇がないほど密度の高いダンスMVですね。
ストーリーがありつつ、各シーンごとに意味合いがあり、かつそれぞれのダンスも素晴らしく、こんなダンスMVはなかなかありません。
もう脱帽です!

キャピタル・シティーズ(Capital Cities)は、2008年結成のUSのエレクトロ・ポップデュオですが、以前に本連載「面白ダンスMVと勝手に命名」で紹介していますので、アーティスト紹介等はそちらをご覧ください。

この「Safe And Sound」は、2008年に結成後、初めてリリースされた楽曲で、2011年に最初にリリースされ、その後2013年にリリースされた1stアルバムにリードシングルとして収録されています。
キャピタル・シティーズの楽曲で今までで最もヒットした楽曲がこの「Safe And Sound」なのですが、それが最初にリリースした楽曲というのもちょっと悲しい気もしますが、よくある話と言えばよくある話です。

さて、この「Safe And Sound」は、楽曲単体としてもイイのですが、なんといってもMVが素晴らしい!
私の好みから言うと、映像がチョット賑やかすぎるというか、映像の押し出しが強すぎるのですが、そんなことが気にならないほど超絶素晴らしいMVとして仕上がっている名作MVです。

劇場で時空のゆがみが生じ、現代のダンサーと昔のダンサーが一緒に踊る...というありそうでなかったシチュエーションですが、ダンス賛歌とも言えるほどダンスに対する思い入れというか愛に満ち溢れたMVとなっています。
EDM等のエレクトロニック・ミュージックはダンスとは切っても切れないつながりがあり、テクノの起源をたどってもそこにはクラブの存在ありきという程ですので、このMVの持つ意味は大きいと感じています。

モノクロの昔のダンサーの映像がカラーになって踊ったり、上にも書きましたが現代のダンサーと昔のダンサーが一緒に踊ったりと、この「Safe And Sound」のMVは最初から最後まで楽しみしかないという最高のダンスMVとして仕上がっています。
キャピタル・シティーズの2人がネタ的にちょくちょく出てくるのも楽しみなところで、体は女性のダンサーなのに顔だけふたりの顔になっていたりとヘンテコな表現で笑いも誘ってくれます。
なお、「完成されたMV」という表現ではないところもミソです。
つくりが粗いところがあったり、チープな表現もありますが、あえてツッコミどころを残しているのも、もしかしたら狙っているのかも...とすら思えます。

そして、エンディングもいいですね。
全員でのダンスシーンが最高潮に達したときに急に映像が止まり、カメラが引くとその映像は実は劇場の壁に飾ってある写真だったことがわかります。
そして左下に移動すると、この劇場のオープニングパーティーの古いモノクロの写真が飾ってあり、その写真の中央の空いているスペースにキャピタル・シティーズの二人が横から走ってきてステッキをついて止まると写真の映像と一体化する...という、技ありの動から静への転換と、それに加えてしっかりオチまで付けてくるのには脱帽です。
古い写真にメインキャラクターを乗せるオチは、シャイニングの続編の映画「ドクター・スリープ」のエンディングをオマージュしているとすら思えます。(ちなみに、ドクター・スリープは、シャイニングという名作映画の続編という重責を担いながらも、絶妙なバランスで作られた最高の続編と思っているのは私だけでしょうか)
話をもどして、壁に飾られた写真の映像からどんどん引いていき、劇場内を映しつつ、最後は劇場を外から見上げる映像の中で劇場の明かりが消えていく...という静かなエンディングで幕を閉じます。

なお、この「Safe And Sound」のMVは市場でも評価され、2013年のMVA(MTV Video Music Awards)で「Best Visual Effects」を受賞し、2014年の第56回グラミー賞では「Best Music Video」にノミネートされています。
(ちなみに、同年のグラミー賞で「Best Music Video」を受賞したのは、ジャスティン・ティンバーレイクの「Suit & Tie」なのですが、この連載「デヴィッドフィンチャー特集だ!」でも紹介しているので、ご興味ある方はご覧ください)

実は、この「Safe And Sound」のMVは、最初に作られたMVではなく、3番目に作られたMVとなります。
最初のMVは、キャピタル・シティーズ自身が制作したもので、2011年2月に公開されましたが、参考までに紹介しましょう。

今回紹介している3rd Rerese版のMVとダンス要素は共通していますが、なぜか戦争などの暴力的なシーンが組み合わされており、ちょっと「???」という感じです。

そして2番目のMVは、他のアーティストのMVも手掛けている映像作家、ジミー・アーランダー(Jimmy Ahlander)が制作したもので、同年2011年10月にリリースされています。
こちらも参考までに掲載しておきます。

これまたブッ飛んだ映像のMVで、今回の3rd Rerese版のMVを観た後で観ると「なんじゃこりゃ?」という感じです。

そして、満を持して2013年にリリースされたのが、今回紹介する「Safe And Sound」の3rd Rerese版のMVとなります。
3つのMVを見比べると、映像で楽曲のイメージも全く違うものになるのが分かっていただけるかと思います。

この3rd Rerese版のMVは、グレディ・ホール(Grady Hall)という映像作家が手掛けているのですが、他のアーティストのMVも作成しているため観てみたところ、この「Safe And Sound」を超えるものがなく、これからの作品に期待するところです。

さて、今回紹介した「Safe And Sound」のMVはいかがでしたでしょうか?
超オススメのダンスMVですので、未見の方はぜひご覧ください。

ではまた次回に。

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