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スティーヴアオキとラヴフォックスって最強の組み合わせかも。ストーリーがあるけど不思議なMVを2つお届け(オススメMV #29)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の29回目です。(連載のマガジンはこちら)

前回まで2回連続で特集連載をしましたが、今回から通常営業に戻り特定テーマに関連付けたMVを紹介します。
今回は「ストーリーがあるけど不思議なMV」というテーマで、新旧2本のMVを中心にお届けします。

まず最初のMVは、スティーヴ・アオキがラヴフォックスをフューチャリングした「Heartbreaker」です。

コミカルで楽しいMVですよね。
女性が男性の心を引き付けて壊していく、そして最後には悪魔っぽい男性に逆に心を奪われる...というようなストーリーでしょうか。
このMVの主役は悪魔役で出てくるスティーブ・アオキではなく、男性陣の心を奪ってゆく女性役で出てくるラヴフォックスです。

スティーブ・アオキとラヴフォックスは最強の組み合わせと思えるほど、楽曲もMVも二人のコンビで素晴らしいものに仕上がっています。

スティーヴ・アオキ(Steve Aoki)はアメリカのトップクラスのDJですが、お父さんはアメリカンドリームを実現した日本人として有名な方で、ド派手なパフォーマンスで一世を風靡したステーキチェーンの創業者です。
その血を受け継いでいるのか、スティーブ・アオキもライブではケーキを投げたり観客席にダイブしたりと結構やんちゃなパフォーマンスで有名です。
パフォーマンスだけでなく楽曲も素晴らしいのが、さすがトップクラスの売れっ子DJです。

一方、ラヴフォックス(Lovefoxxx)は、日系ブラジル人のミュージシャンですが、ミュージシャンというよりもパフォーマーという印象で、「楽しいことならなんでもアリ!」というノリのアーティストです。
たとえて言うなら「野沢直子のブラジル版」というイメージでしょうか。
破天荒だがまっすぐで、マイナスの印象が全くないのが不思議なところです。

この「Heartbreaker」は楽曲としても素晴らしいのですが、特筆すべきはMVでのキュートなラヴフォックスです。
他のMVや映像で見るとわかるのですが、ラヴフォックスは奇抜な衣装や言動が多く、どちらかと言えばゲテモノっぽい印象(失礼...)です。
しかし、このMVのラブフォックスはめちゃくちゃキュートで、同一人物かと疑いたくなるほどです。

そんな破天荒なラヴフォックスですが、なんと婚約しており、お相手はクラクソンズ(Klaxons)のギタリストのサイモン・テイラー・デイビスで、このクラクソンズも要注目のバンドです。

クラクソンズも良質のMVをリリースしていますので、脱線ついでにひとつ紹介しましょう。
オススメは、この「Golden Skans」です。

このMVもいいですよね。
クラクソンズの話をし出すとまた脱線するので、また別の機会に。

話を戻して、今回のテーマ「ストーリーがあるけど不思議なMV」での2本目にまいりましょう。
先ほどのスティーヴ・アオキの「Heartbreaker」は2012年リリースのアルバム「Wonderland」でのリリースと(私の感覚からすれば)比較的最近の作品ですので、もう1本は少し昔のMVを引っ張り出してみました。

1984年リリースの「One Night In Bangkok」です。

独特な雰囲気のMVですよね。
オシャレ感もありながら野暮ったさもあり、真面目なようでコミカルな部分もある...という間口が広いというか、どんな方にでもオススメできるMVになっています。
そして特筆すべきは楽曲のクオリティの高さです。
その理由を順番に紐解いていきましょう。

歌っているのはマレー・ヘッド(Murray Head)というイギリスのシンガーですが、作曲は元ABBAのメンバーで作詞はかの有名なティム・ライスという、こちらもある種最強の組み合わせで作られた楽曲です。

ティム・ライスと聞いてピンときた方もおられると思いますが、そうです、この楽曲はミュージカル用に作られた楽曲なんです。
「Chess(チェス)」というミュージカルなのですが、MVもチェスの盤面をモチーフにしたデザインから始まり、途中でもチェスそのものも頻繁に登場します。

このMVは映像的にも様々な実験的な要素があり、見ていて飽きることはありません。
中には「ちょっと失敗かも...」という映像効果もありますが、チャレンジしていること自体はマイナスではないため、その取り組む姿勢がMV全体に躍動感を生み出しています。

もちろん、楽曲自体が素晴らしいからこそ、映像のチャレンジが生かされ、多少イマイチな部分も気にならないのではないかと考えています。
それほど楽曲自体のクオリティが高いMVと言えます。(その点でも、最初のスティーブ・アオキのMVと共通しています)

なお、この「One Night In Bangkok」には、尺の長いロングバージョンが存在しており、こちらとなります。

イマイチですよね。
冒頭部分が長く、途中にも無駄ともいえる部分があり、通常バージョンのほうが全体のバランスがよいので、オススメは通常バージョンになります。

しかし、映像と音声の質はロングバージョンのほうが良いのが不思議です。

ちなみに、この「One Night In Bangkok」は、先ほど紹介した通り「Chess」というミュージカルのサントラアルバムに入っているのですが、「この楽曲が入っているアルバムなんで、他にもいい楽曲があるだろう!」と思って購入してみたところ、他の楽曲は全く「One Night In Bangkok」とテイストが違い、ガッカリした...という苦い経験もあります。

今回確認したところSpotifyにもあったので、久しぶりに(多分30年ぶりぐらい?)聞いてみたところ、やはりダメでした。
元々ミュージカルとは相性が悪いので、同種の抵抗感なのかもしれません。

なお、サントラ盤の「One Night In Bangkok」は、ロングバージョンのMVより更に悲しいことになっています。
それは、冒頭の無駄な部分が全体の1/3以上を占めている、という悲しい事実です。
Spotyfyで念のため確認したところ、アルバム収録版の「One Night In Bangkok」は全体で5:02なのですが、そのうち歌が始まる前の冒頭部分は1:45と、なんと1/3以上も占めています。
これは恐ろしいことです。

ということで、「One Night In Bangkok」については、観るのも聴くのもMVの通常バージョンがオススメ!という結論に達しました。

さて、今回のオススメMVはいかがでしたでしょうか。
時がたっても良質なMVは色あせることなく輝き続けるのが証明されたような気がしますね。

ではまた次回に。

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