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”親は手伝ってはいけない”は間違い?!「作文・読書感想文」・「自由研究」の攻略法をご紹介します! ~正しいサポートの仕方とは~ 【小川先生に聞いてみたシリーズ第2弾】【後編】


前回に続き、今回も夏休みにまつわる小川先生のお話をご紹介します!
今回は、多くの子どもが苦手意識を持つ「作文・読書感想文」・「自由研究」をうまく攻略する方法を小川先生に教えてもらいました。

~前編はコチラ~

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【プロフィール】小川大介 
京大在学中より大手塾で看板講師として活躍後、中学受験プロ個別指導塾を創設。6000回を超える面談を通して子どもが伸びる秘訣を見出す。受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評があり、幼児教育から企業での人材育成まで幅広く活躍中。『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)、『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(同)など著書多数。



そもそも、なぜ作文に苦手意識を持つ子が多いのか?難しいからだけではない理由が!

なぜ作文に苦手意識を持つ子が多いのか?それは、「書き方を習っていないから」です。作文を書くには、
① 題材を決める
② 題材に関する情報を集める・自分の考えを言葉にする
③ 読みやすいように構成を考えて書く

というステップが必要です。

このうち、③だけは国語の授業で習うのですが、①と②については学校では教えてくれないのです。
見たこと・感じたことをありのままに書かせることで自分自身を見つめさせようというのが学校側の意図で、こうした考えのもと、書き方を教えてもらえないケースが多く、「何を書けばいいか分からない」「書くことなんてない」という子が続出してしまうのです。
そのため、お子さんが迷っていたら、親御さんはぜひサポートしてあげてください!

おしゃべりも作文のうち

「でも、どうしたらいいの?」と、手伝うことが難しく感じる親御さんも多いことでしょう。
そこでお勧めしたいのが、「おしゃべりも作文のうち」作戦。
なにかというと、作文が苦手な子にはいきなり書かせようとせず、まずはおしゃべりから始める方法です。子どもには自由に話させてあげて、そこで出てきた言葉を親が代わりにメモを取ってあげ、そのメモをもとにして作文を書かせるという手伝い方です。

<タイプ別フォローの仕方>
たくさん喋ってくれる子もいれば、色々と思い出して感じているようだけれどあまりおしゃべりはしない子もいるでしょう。
お子様のタイプ別にフォローの仕方をぜひ工夫してみてください!

たとえば、家族旅行について作文を書くなら、「この前の旅行はどうだった?」とまずは聞いてみてください。

①書くのは嫌いだけれど、おしゃべりはたくさんしてくれる子
自分の感想や考えをスラスラと言える子です。ただ鉛筆を持ったら頭が固まっているだけ。そんなときは、親は子どもと楽しくおしゃべりしながら、本人が話すことをメモしてください。
乱雑でも構いませんので、とにかくできるだけ多くの言葉を書き残すことがポイントです。
一通りおしゃべりしたら、メモを見やすく箇条書きに整理して、「ほら、書くことがこんなにあるよ。あとはどんな順番で書くかを考えれば作文が完成するね!」と渡してあげましょう。箇条書きをつなげていくだけでも、それなりの作文に仕上がりますよ。

②「感じていることはありそうだけれど、あまり喋らない子」
自分が感じ取ったことをどんな言葉で表せばいいのかが分からず、困っていることがほとんどです。ですから親側が順に問いかけしながら、話を引き出してあげるといいですよ。

今回はどことどこに行ったっけ? ⇒あそこでどんなことをした?、何があったっけ? ⇒どれが面白かった?、びっくりしたこと・不思議だったことは?⇒どんなところが面白かったの?、どんなことを考えたの?

といった具合に、出来事・事実から始めて徐々に本人が感じ取ったことへと深堀りしていくのです。ぽつぽつと話してくれるでしょうから、それをメモ書きしてあげましょう。ここでのコツは、必ず「楽しそうに相槌を入れる」ということです。あくまでもおしゃべりですから、自然なやり取りを心がけてみてください!
話をある程度引き出せたら、メモを見ながら、「〜〜に行って、〜〜を見た時に〜〜に気づいて〜〜と思ったんだよね」と、親が代わりに文にまとめてしゃべってあげましょう。自分の話を代わりにしてもらうことで、子どもにとっては自分の体験を客観視することにつながりますし、頭が整理されるため、作文も書きやすくなります。

読書感想文は自己紹介の作文

では読書感想文はどう手伝うかというと、まず「読書感想文とは本の紹介文ではなく、自己紹介の作文だ」と教えてあげることから始めます。読書感想文は、本の内容を詳しく紹介してほしいのではなく、本を読む体験を通して子ども自身が何を感じ、考えたのかという「自分語り」をさせたいという意図があります。

ですから、ここでも「おしゃべりも作文のうち」作戦が使えます。親が順番に色々と問いかけてあげて、本人が話すことを代わりにメモに残してあげましょう。問いかける項目としては以下を参考にしてください。

A. 本との出会い
―この本はどこで知ったの?、なぜ選んだの?、どんな話だと思った?
B. 本の紹介
―どんな話だったの?、何について書かれていたの?、最初はどんな話で始まったの?、最後はどんな話だったの?、まとめて言うとどういう話なの?
C. 印象に残った場面
―おもしろかったのはどこ?、ぱっと頭に浮かぶのはどの場面?、もう少し詳しく教えて、なぜ印象に残ったの?
D. 自分の体験
―似たような体験をしたことある?、何か思いだしたことはない?、何があったの?、どんなことを考えたの?、どんな気持ちになったの?、主人公はどんなことを感じたと思う?
E. 自分だったらどうするか
―同じような場面で、自分だったらどうすると思う?、自分だったらどんな気持ちになりそう?、どんなことを考えると思う?、自分は日頃、どんなことを考えているのかな?、自分が大切にしていることって何?、主人公と同じようなことを自分もすると思う?→それはどうして?、
筆者の考えを自分ではどう思う?→それはどうして?、同じことに対して自分だったらどう考える?どうしたらいいと思う?
F. 本を読んで新しく考えるようになったこと
―読んでみて意外に思ったことは何?、新しく発見したことって何?、読んでみてどんな気分になった?→それはこの文章のどんなところに対してかな?、これからどんなことを考えていこうと思った?、これからどんなことをしていこうと思った?、どういうことが大切だと思う?
G. 本との出会いを喜ぶ
―読んでみて良かったと思うのはどんなこと?、読んだおかげで何ができそう?、もし読んでなかったとしたら、どんなことを知らないまま(気づかないまま・考えないまま)だったかな?

何をどこまで書くかは、学年によっても変わってきます。


<小学校低学年>
BとCが中心で、少しDを入れるぐらいで十分でしょう

B. 本の紹介 + C. 印象に残った場面
(少しだけ)D. 自分の体験


<小学校中学年・高学年>

A〜EとGを入れれば読み応えのある感想文になります。A〜G全部でももちろんOKです。特に重要な要素はC以降ですね。

A. 本との出会い
B. 本の紹介
~ ↓ 特に大事 ↓ ~
C. 印象に残った場面
D. 自分の体験
E. 自分だったらどうするか
G. 本との出会いを喜ぶ


<中学生以上>
A〜G全部を入れつつ、D以降の要素をできるだけ深くしていくと良いでしょう。
※思春期との兼ね合いで親がおしゃべりにつきあうことが難しい場合は、上記の要素一覧をお子さんに渡してあげ、自分で材料を拾い出せるようにしてあげるといいですよ!

A. 本との出会い
B. 本の紹介
C. 印象に残った場面
~ ↓ 特に大事 ↓ ~
D. 自分の体験
E. 自分だったらどうするか
G. 本との出会いを喜ぶ


ここまで、作文・読書感想文の宿題について話をしてきましたが、ポイントは、子どもの年齢やレベルに合わせて、親がサポートすることが大事だということです。「書くのを手伝っては本人自身の考えが生まれてこない」と思われるかもしれませんが、子どもに書けなくて困る時間を延々と過ごさせても、自分の考えを言葉にすること自体に拒否反応を示すようになって逆効果です。安心して手伝ってあげてください。また、上手な表現を使う必要もありません。本人なりの言葉を使って書いていけば十分です


小川先生の子ども時代は...?

私の小学生時代の話ですが、ご多分に漏れず夏休みの宿題はラスト3日間のラストスパートで片付ける子でした。本は好きでたくさん読んでいましたが、読書感想文を書くのは面倒でやっぱり残っているのです。学校が始まるまであと2日、いまさら本を読んでいる時間もない。

さてどうしようと考えて取った方法が、「まえがきとあとがきだけを読んで作文を書く」というあらわざです。話の要点は大体わかりますから、あとは自分の体験や考えを適当に入れ込んで、読書感想文らしく仕上げて提出です。いい加減なものですね。ところがなんと、その作文が読書感想文コンクールの学校代表作文に選ばれたのです。

びっくりするやら、後ろめたいやらで、居心地の悪い思いをしたことを覚えていますが、いま考えるとあの時の作文は図らずも「本を通して自分を語る」作文になっていたのですね。
あ、決して「まえがきとあとがきだけを読んで適当に書きましょう」ということをお勧めしているわけではないので、誤解なきようお願いします!(笑)


親が悩むもう一つの宿題「自由研究」はどうする?

読書感想文にならんで、親のストレスが大きい宿題が「自由研究」ですね。「研究」とついているから、つい身構えてしまって、テーマを何にしたら良いのか分からないと考え込んでしまう、親子が毎年いらっしゃいます。

でも、そこまで難しく考える必要はないんです!
学校の先生が自由研究を宿題に出す意図は、子どもたちの興味・関心を刺激したい、探求する学びの機会を渡したい、というところにあります。関心を持つことが大事なのであって、研究のレベルは重要ではないのです。ですから、題材は身の回りのどんなことでもOKです。「お菓子メーカーごとでチョコの味がどう違うのか」、「公園の砂の成分を分析する」など、どんなことでも自由研究の題材になります。とにかく子どもが興味をもったことを尊重し、拾い上げていきましょう。

その上で、大人が教えることは一つだけ。「調べ方」です。
何をつかって調べればいいのか、誰に聞いたらいいのか、調べる方法を教えてあげましょう。お菓子メーカーのお客様窓口に電話する、博物館のボランティアガイドの人に質問する、図書館で関連する本を借りてくる、ドキュメンタリー番組を見る、など色々な方法があります。どうやって調べたいかを子どもが選んだら、一緒に手伝ってあげてもいいですね。その際、作文のときと同じように、子どもが気づいたことを聞いてあげてメモを代わりに取ってあげるのも手伝い方の一つです

ぜひご家庭の事情にあったものを選んで実践し、親も子もやきもきせずに、楽しい親子時間を過ごしていただきたいなと思います。




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