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合格発表

2月14日 10時。
運命の時間が来た。息子の大学の合格発表。

9:57に自室から出てきた次男は、リビングで私の目の前でスマホで確認した。この祈る感情を何度味わい、何度裏切られてきたことか…。

受験生の母は9年前の初めての経験から今年で5回目。この「運命の時間に開く」で、良縁を得たことはあまりなく、私にとってはどちらかというと「縁起の悪い」行為。
なので私は怖かった。そわそわしているうちに10時になり、息子がUCAROを開いた。

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なんと嬉しい画面!

そうか、こんなに温かい画面が「あなたはよく頑張ったね」と言ってくれるんだ。
合格発表のシステムは学校により異なり、数字が並んだ画面や文字だけの淡々とした画面などさまざま。
第一志望ではないとはいえ、これでようやくこの子は大学生になる切符を手に入れた。
息子を抱きしめて泣いた。

現在通う高校は、合格の保証された「専願」で入った学校。本気で行きたかった国立に縁がなく、だったらここに行こうか、と受けた公立にまで振られたので「出来レースじゃない合格」は生まれて初めて経験する息子。(この合格保証の専願さえもかなり吟味して選んで、人によって不思議そうに言ってきた)

高校受験の時。
第一志望の国立の合格発表でPCの画面を開いて、並んだ番号の中に何度も望む数字を探したあの日。気持ち切り替えて臨んだ公立高校の合格発表で、あるものと思い込んで掲示板を見つめる息子が周りの歓喜と裏腹にみるみる不安な顔になっていくのを、少し離れた場所から見つめたあの日…。
思い出すと胸が締め付けられそうになっていただけに、「合格発表」がずっとトラウマだった。

番号を探すあの苦しみではなく、桜の画面が彼に微笑んだ。こんな幸せな思いをこの子が味わえたことが心から嬉しい。

高校受験の時も今回も、紆余曲折しながら真剣に、悩みに悩んで受ける学校を決めた。
納得しないと気が乗らない性格で「妥協して大学には行きたくない」というけれど高校生の頭では決めきれず、話合いにはずいぶん時間を費やした。
「第一志望じゃないから」と淡々と言いつつも「仮に他のどこも受からなくても胸を張って進学する」と安堵した心境を隠さなかった。

本命との勝負はこれから。
でももう怖くない。だってトラウマはもう克服したもの。

お祝いはまだいいわ、というので、今日はたこ焼きで親子三人でお祝いではないパーティをした。

なりたい未来に向けて一歩を踏み出した息子の大学生活が明るいことを祈る。

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