マガジンのカバー画像

コラム

6
随筆・散文・呟きなど
運営しているクリエイター

#マンガ

『純文学の先に‥』

病弱な喘息持ちの少年は、家にこもって、絵を描くことと、本を読むことが好きだった。 永くは生きられないと思っていた。 彼の父親は大の手塚ファンで、生まれてくる子供のために手塚漫画を全て揃えて、待っていた。 自然に、その生まれた子供は、手塚治虫が好きになり、漫画ばかり描いていた。 本の虫であった子供は、文学も読むようになった。 第六感官の弦が、震えた。 純文学の愛読者になった少年は、まもなく小説を書きはじめた。彼は青年になって、権威ある同人誌で作品を発表した。 青年ははじめて

創作家としての第一歩

アナログで描いていた頃、原稿用紙を持って、九州から東京まで持ち込みをしていました。 何社か担当もつきましたが、プロになることはエンタメに媚びることだと勝手に思いました。描きたいことを描けない世界。漫画はうんざりだと思いました。 1年前から友人のすすめでデジタルを試みました。手も汚れず、描きやすいし、楽しい❣️✨ とりあえずイラストを描いて、SNSでupし出しました❣️ 幸運にも、みなさんが『マンモス先生』をかわいいと言ってくれたので調子に乗って、また漫画を描きだしました。これ

【随筆】『少年の握りしめた夢』

仕事終わりの夕刻、スーパーのレジに並んでいると、私の隣で分厚い雑誌を不器用に抱えている、丸坊主の小学三年生くらいの男の子が立っていた。 私のレジの番になって、彼はようやくその雑誌をレジのテーブルに置くことができたようだ。子供の頃よく見た某コミック。 彼はその表紙をずっと見つめている。 彼の握りしめた右手に気づいた。 私の会計がはじまった頃合いに、彼はその右拳の中を数えはじめた。 10円玉の茶が多く目立つ、100円玉もあるか……。 たしかなことは、彼はこれを買うためにお金を貯め

生きるために

生きるために描き、描くために生きる。 絵だけで生活したいなんて、恐れ多い。 だけれど、ずっと絵を描いて生きていたい。 ギリヤーク尼ヶ崎さんみたいに、街頭に出て、舞い踊る勇気なんて、私にはこれっぽちもない。 勇気のない私に、何ができるだろう。 ただそこに美があって、それを描きたい。 大事なことはいつでも、目には見えない。 人には見えない、手に取ることも難しい美そのものを、 人に分かりやすく面白く表現できたなら、もしかすると、 無関心な人にも伝わるかもしれない。 世