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継続を「始める」方法論

ぼっち・ざ・ろっく!を観てギターを始めた皆さん、練習続いてますか?私はぼちぼち続いてます。

いわゆる「三日坊主にならない方法」みたいな情報、ネットに溢れてますよね。自分も昔は何かを始める度に読んでいたのですが、なかなか成功しない。なぜでしょうか?

この記事の結論です。よく言われる「三日坊主にならない方法」は、「既に何かを続けられている人がそれを維持する方法、より良いものにする方法」であって、「これから何かを始める人がそれを習慣化する方法」ではないのではないでしょうか?

ぼざろブームにあやかり、ギターの練習に例えて、持論を解説していきます。

「三日坊主にならない方法」にありがちな説


以下のようなアドバイスのことです。

  1. 具体的な期日と目標を設定する

  2. 必要な工程を洗い出す

  3. 工程を小目標に細分化し、それぞれ期日を設定する

  4. 定期的に人から見える形でアウトプットする

ギターの練習に例えてみましょう。

  1. 「〇月○日までに、△△という曲をコピーする」という目標を立てる

  2. 曲を、イントロ、Aメロ等、フレーズの異なるセクションで分割する

  3. ◇日までにイントロをコピー、◆日までにAメロをコピー…という風に小目標を立てる

  4. 一定期間ごとに練習の成果をYoutubeにアップする、自分よりギターの上手い友人に聴いてもらう 等

なるほど完璧な作戦のように思えます。でもこの方法、今日からギターを始める人が採用した場合、99%挫折するでしょう。

どこに問題があるのか、順番に指摘していきます。

挫折パターン1:目標と期日を決め、逆算して計画を立てる


どういうことかというと、
「〇月×日までに、△△という曲をコピーする」という目標を立てる
これがこの挫折パターンに当てはまります。

だめな理由は、これから始める段階で、自分に適切な目標を立てることがほぼ不可能だからです。

だって今日からギターを始める人が、一曲弾けるまでどのくらいかかるのか、判断しようが無いじゃないですか。
仕事だって、とりあえず毎日8時間働いてみて、仕事の内容と自分の処理能力を理解して、初めてプランニング出来るようになりますよね?

よく「大きすぎる目標は挫折の元!まずは簡単な目標から!」なんて言いますが、誰だって達成不可能な目標なんか立てるつもり無いですよ。どれくらいなら出来るのかわからないんです。

練習に目的は必要だと思います。なんのためにギターを練習するんですか?△△という曲を弾けるようになりたいからです。ここまではいいでしょう。
でもまだ練習を始めてもないのに、期日を設定した時点で「達成不可能な目標」になってしまいます。まずは練習を始めましょう。

挫折パターン2:毎日決まった量をこなそうとする


最初の例でいうと
曲を、イントロ、Aメロ等、フレーズの異なるセクションで分割する
・◇日までにイントロをコピー、◆日までにAメロをコピー…という風に小目標を立てる
これがこの挫折パターンに当てはまります。

何がいけないのか?理由は2つ。

まずひとつめ、パターン1と同じ理由。これから始める初心者には、セクションごとの難易度を見積もれず、適切な分割と期日設定が出来ないからです。
Aメロは比較的簡単で、1時間もあればコピーできました。でもBメロが激ムズで、1週間練習しても弾けない……
ギターの世界では日常茶飯事です。しかもそれなりの経験者でも「どれだけ練習すれば弾けるようになるのか」を判断するのは難しいのです。

他の例えだと、勉強するとき。参考書の目次に日付を書いておいて、章や節ごとに消化していく、なんてやったことありませんか?
第一章、第二章くらいまでは簡単だったけど、第三章から急に難しくなって、予定通り進まなくなってしまった……なんて経験ありませんか?
これから学ぶことを定量分割、なんて本当に可能なのか疑問です。

ふたつめ。毎日決まった量の成果を出すには、毎日同じだけのパフォーマンスを出すという能力が必要なためです。これは「なにかを継続する」ということを経験していない人には絶対に備わっていない、後天性の能力です。

3日続くか続かないかの瀬戸際にいる人間には不要……というか、レベルの高すぎる話ですよね。きちんと練習が習慣化したあとで、もっと効率を上げたいと問題意識を持った時に、初めて考えたらいいと思います。

挫折パターン3:定期的なアウトプットを義務付ける


最後です。
一定期間ごとに練習の成果をYoutubeにアップする、自分よりギターの上手い友人に聴いてもらう 等
これが当てはまります。

「定期的なアウトプット」が推奨されるとき、そこには2つの意図があります。
1. 絶対にこなすというプレッシャーをかけることで、サボりを抑制する
2. 自分の成長を実感し、モチベーションに繋げる

しかしどちらも「これから始める」という段階では、デメリットの方が大きいです。なぜなら、
始めてすぐに成果なんて出ないし、成果に期待しすぎると挫折の原因になるからです。

今、ぼっちざろっくの影響もあって「ギター買って1か月経ったので〇〇弾いてみた!」なんて動画が大量に投稿されています。
たぶん半分くらいは1日何時間も練習された初心者さんで、残りの半分は1か月なんて大嘘の経験者です。

1か月で1曲コピーを目指しても、半分のBPMで全体の半分くらいしか弾けるようにならなかった。そんなことはザラです。1年以内の挫折率90%と言われるギターの世界で、そこまでこれただけ本当にすごい。

でも、アウトプットを義務付けていたら。よい友人や視聴者に恵まれれば、あなたのモチベーションに繋がる言葉をかけてくれるかもしれません。でもそれは運次第。仮に優しい言葉を貰っても、自分自身納得できなければ、慰めのように感じてしまうかも。
きちんと1か月続けたら、必ずその人は成長しています。でも、その人が望むだけの成果が得られているかは、取り組み方と望みの大きさ次第です。

3日続くか続かないかという段階で、成果なんて出ません。自分にプレッシャーや期待をかけるほど、理想との乖離は大きくなります。むしろ必要なのは「成果が出なくてもとりあえず続ける」という確信です。

継続そのものに価値を見出すこと


「三日坊主にならない方法」としてよく推奨されるけど、これから何か始める人には役に立たない、むしろ挫折の原因になってしまうパターンを3つ書きました。
ではどうするのが正解なんでしょうか?私は案外、真逆のことをすればいいと思っています。

×
目標と期日を決め、逆算して計画を立てる


目標だけを決めたら、その達成に必要なことをとりあえずやってみる。進行のペースから逆算して、達成にどれくらいかかるのかを計算する。
計算した結果、達成スピードが遅すぎるのなら、取り組み方か目標そのものを修正する。

×
毎日決まった量をこなそうとする


毎日決まった時間だけ取り組む。時間に対してどの程度の成果が出るのかを見極めたら、時間量の調整・効率化・パフォーマンスの安定を検討する。

×
定期的なアウトプットを義務付ける


いきなり、アウトプット(=成果量)をモチベーションにしようとしない。すぐに成果はでない。成果を実感出来なくても、継続によって得られる成長、それ自体の価値を確信する。

特に最後に書いた「成長そのものの価値を確信する」というのが一番重要だと思っています。
ちょと練習したって、ぼっちちゃんのようにギターは弾けません。でもコツコツ練習を続ければ、ぼっちざろっくの曲だけじゃなく、いろんな曲が弾けるようになります。バンドを始めたり、作曲に役立てることもできるでしょう。音楽を聴くときの目線もひとつ増えます。

今すぐ流行りの曲が弾けなくたって、継続した先には素晴らしい世界が広がっています。そういった確信が、目先の成果や実感よりも、「続ける」を「始める」意志になるのです。

続けられないと思ったら、大きな目的意識を持ちましょう。それが無いと気付いたのなら、辞めちゃうのもいいと思います。
ただの思い付きは、続きません。


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