見出し画像

読書メモNo.38 『ソニー再生/平井一夫』

ソニーグループ 現シニアアドバイザーの著書。
父親の転勤で幼少期を海外で過ごした経験や、時の流れと共に衰退の道を歩んだソニーを復活させるために著者が意識したこと、ソニーの社長を任されたことなどが書かれている。

著者は、学生時代の就職活動では、日産とソニーミュージックに内定をもらっていた。車好きの彼は迷った。そんな中父親のアドバイスでソニーに決めたのだ。彼の父親は、自動車は一人で何台もは持たない。いずれ飽和状態になる。これからの世界はソフト面が重要になると言ったのだ。
今にして思えばだけれど、先見の明というか論理的というか著者の父親の考え方に私も著者と同じく納得いく理由だなと思えた。

そして、同じソニー系列のSCE(ソニーコンピューターエンタテイメント)の丸山氏にある仕事を手伝ってと言われたことが著者の人生の分岐点になった。PlayStation事業だ。その丸山氏に頼まれてSCEのアメリカ法人(SCEA)の社長になったのがわずか35歳の時だった。
経営者として彼が決めていたことは「つらい仕事こそリーダーがやる」だった。「良い時には表に出てくるけれど、嫌なことは部下にさせる」と思われたら人は動かないと考えていたからだ。
こういう考え方は、私のようは一般人には結構大事で、尊敬できる上司かどうかを決める判断材料かな。今のところまだ心から尊敬できる上司にあったことがないのが残念ですが。山本五十六さんの「やってみせ、言って聞かせ。。。。」も結構好きな言葉です。
部下として私がリーダーに求めるのは、上記の「リーダーがやる」と「部下によってルールを変えない」ですけれど、全くいないんだよねぇ🤮

著者が、心に決めている行動で好きだったのが「自分は部下から選ばれる存在か」だ。
ご機嫌取る必要は全くないけれど、私は尊敬できる上司にまだ会わないんだよねぇ。同僚と思えば好きな人は沢山いますが、上司として尊敬はまた別の話かな。。

部下との面談で著者の心にぐさっときたのが「給料を得て毎日会社に来ている。だからそれにプラスして貢献しようと思っているのに、自分より多くの報酬をもらっている連中がそれを阻止しようとする。それを放置している経営陣はもっと良くない」と言われた時だった。
激しく同意🥳社会人んあら誰もが経験したことあるのではないかなと思いました。旧態然とした組織だと変化を嫌うよね〜というのは感じます。

他に著者が決めていることに「経営者はEQ(心の知能指数)が高い人間であれ」だ。元々は音楽業界にいた彼なので、ゲームのことはわからない。また、幼少期に海外にいたこともあり、彼自身はわからないことはわからないときちんと言える人だった。女の人は、割とこういう性格だと私自身は思うけれど、男の人はプライド的にだと思うけれど“知ったか“多いよなと私は思うので、仕事の時は無駄なプライドないので女性で良かったと思います(笑)
EQを高く持つために著者は常に「部下から選ばれる上司か」を心にとめているそうです。

そして、ついにはソニーの社長になった著者。その時には、ソニーはかつての輝きを失っていた。プレステは自他ともに認める主力製品だが、テレビやPCではライバルが多すぎるのだ。社長になってまずやったことが、ソニーのかつての主力製品であったVAIOの売却だ。
そうするとソニーのOBから次々と苦言を呈された。大事なものを手放すとは何事か。と。
著者自身は、先人に敬意も歴史の重みも感じていた。軽視していた訳ではない。
ただ、
時として偉大な成功は、その後の成長を阻害する要因。
とも思っていたのだ。
今の経営の方向性はOBではなく現役の経営者が定めるべきだと。

大事なことだけれど、難しい事ですよねぇ。
否定されているみたいで人によっては頭ではわかっても理解したくないというか。

日本の産業をかつては代表し支えていたソニー。だがいつまでも「ウォークマンを生み出したソニーであれ」では通用しないと考えたのだ。


巻末には社長を退いた著者の次なる目標も書かれています。
一経営者の一つの物語。
私のよな下の立場の人間が読むのと、地位がある人が読むとでは感想は違うかもしれませんが、リーダーの生き様がわかった本でした。


おすすめ度:★★★★☆
コスパ  :★★★★☆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?