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私が自分でイラストレーターを名乗れるようになるまでのお話。

「君の絵はとても色使いがいいね」
小学生の時、先生がかけてくれた言葉を私は最近ふと思い出しました。
それは図工の時間に描いた学校の校舎の絵で、わたしはその校舎をオレンジを基調に暖色で仕上げました。
私はこの色でよかったのかなぁなんて思っていたので、とても嬉しくて凝り固まった心がすっと柔らかくなったのを感じました。
これでいいんだと。これが私の絵なんだと。


いつ頃から絵を描くようになったのかも、どうしてそれを続けたのかも覚えていない。
それくらい絵を描くことは私の日常でした。

「漫画家になりたい」は小学生にありがちな夢の一つで、わたしもご多分に漏れずその夢を持った小学生でした。

でも、私は早くから気づいていました。
「私は特別絵が上手いわけではない」ということも、「漫画家になれるのは本当に本当に一握り」ということも。

夢を持つ普通の小学生であると同時に、私は多分、心の奥底はかなり冷めたところのある現実的な子どもだったと思います。
なので口では漫画家といいながらも、そんなの無理だなーと心では思っていました。なんとも可愛げのない。笑

それでも小学生の頃は友達と交換日記ならぬ交換漫画をしていて、漫画を書いて交換ノートに貼ってお互いに読み合うようなことをしていました。
中学では美術部に入ってそこで仲良くなった友達用にイラスト付きで小説っぽいものを書いて読んでもらったりしたのですが、その小説がその友達の間でなぜか大ブームを巻き起こしてしまい(思い出すと叫ぶほど恥ずかしすぎるので内容は闇に葬ってます…聞かないで…w)、美術部の仲良しの友達が私の描いたキャラクターを同人誌風にアレンジして描いてくれたり、そういった毎日が本当に楽しくて。
絵の仕事にはつくのは無理だろうけどこうやって友達と楽しく絵を描けるならそれでいいやって思っていました。


大人に近づくにつれ、私は音楽の方に興味が移り、高校ではバンドを組んだり、音響の専門学校に通ったり、絵を描く回数はどんどん減っていました。
もう絵はいいかな、とさえ思うくらい、私の生活から絵が消えていきました。
あんなに染み付いていた絵を描くということが、ここまで遠ざかるものかと。


そんな私が、ふと絵を描こうと思ったのが20才の時。久しぶりに描いたのが同じ会社の同僚の似顔絵でした。

👆本物のその時の似顔絵。
彼女は私の描いた似顔絵をとてもとても喜んでくれて、その絵を手帳に大切にしまってくれました。
(去年判明したのですが、あれから15年経った今もこの似顔絵を新しい手帳に入れて持ち歩いてくれているのです!すごくない?!愛感じる!!)

私の描いた似顔絵でこれだけ喜んでもらえたということが嬉しくて、この気持ちは小学生の時に先生に言葉をかけてもらったあの時と似ていて、私はこの日から人の似顔絵を描くことを始めました。
友達や、弟や、お付き合いしてた人、また友達の彼氏など、たぶん数えるとキリがないくらい描いたとおもいます。
私の似顔絵はかなりデフォルメしたものですが、似てる!と言ってもらえることもとても嬉しかったです。

でも、絵を描くことを日常の中に取り入れていても、私は絵を描く仕事ではなく、音響屋、時計屋、コールセンターと全く絵に関係のない仕事につきました。
絵を仕事にすることはわたしにはできないと感じていたから。
そして、仕事にしてしまうと絵を描くことが嫌いになるだろうという恐怖もあったから。

まぁ、つまり自信がなかったのですよね。
私の自覚してるダメなところの一つはこれで、自分への自信のなさ。

そしてたまたまはじめた接客業は、お客さんと話すことが意外にも楽しくて、自分に向いてるかもと感じていたこともあり、絵はこれからも趣味としてやっていこう、喜んでもらえたらそれでいい。と思っていました。


そして、結婚し、妊娠し、産前に仕事をやめ、子供が生まれ。
子育ては本当に大変で苦しい時もあったけれど気の合う夫と可愛い息子に恵まれて私は幸せで、これ以上に何もいらないと思う反面、孤独感にも苛まれていました。

家族以外どこにも属していない疎外感。
その家族ですら、夫の激務で丸一日子供とほぼ2人だけの生活。
助けて欲しいけど、私は仕事していないのに働いてくれている夫に助けを求めることは悪なんじゃないかと悩む毎日。

そんなとき、あることを初めてみたのです。
それが、ラインスタンプの作成でした。

当時ラインクリエイターズスタンプというものができてまもなかった時期で、私のようななんの実績もない人間でもスタンプを作って販売できるというのは、とても衝撃的でわくわくする話でした。

孤独感や疎外感を埋めるように、私は必死で40個のラインスタンプを描きました。


ものすごく時間がかかったけど、できあがった時、今までになかった達成感があり、不思議と心が満たされた気持ちになりました。

ありがたいことにそのスタンプは、素人が作ったものの割にはとても買ってもらえた方だと思いますし、絵は未熟ですが販売開始から5年経った今でも、月に1つ以上は必ず売れています。
見知らぬ方に買ってもらえるというのは、本当にありがたく、自分というものを初めて認めてもらえたような、そんな気持ちになりました。

いままでは、絵を描いて、似顔絵を描いて喜んでもらえたらそれだけでよかった。
でも、ここで初めて気づいたんです。
絵の対価としてお金をいただくことができている自分と、お金をいただくことは、自分の絵の価値を認めてもらていることにつながるということに。

今は副業として某サイトで似顔絵アイコンや似顔絵ラインスタンプやイラストの作成を承っていますが、あのスタンプ作りの経験がなければ、私はいまこうやって、たまにでも、絵で仕事をいただくようにはなっていなかったんじゃないかと思っています。
ずっと自分で言うことに抵抗があった「イラストレーター」という肩書も、今はあえて使わせてもらっています。

仕事として絵を依頼してもらう以上、もう少し勉強もしたいと言う気持ちもあり、来年は色彩検定を受けてみたいと思っていたり、今保育士の友達と一緒に絵本を作ろうと計画しています。

私のイラストレーター人生はまだまだこれからですが、絵でもっともっと楽しいことができたらいいな!

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