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最後に言いたいのはさよならではなかった。

わたしの母は、すぐ来てくれた。
結婚して、離れて暮らすようになってから気づいたことだけど、家で心配してるなら顔を見に行ったほうがいいと思って、すぐ来てくれる人だった。

つわりで何も食べられないとき、ビーフシチューを作って持ってきてくれたことがあった。わたしは義母と同居してたから、普通は食べ物は持っては来ないんじゃないかな?笑 嫁の立場としてはなかなかの出来事よね?
だけど、気を使うことよりも、とにかく心配を最優先にして、シチューをタッパーにつめて持って来てくれた。

娘たちの、運動会とか発表会とかいろいろに、全部来てくれた。エレクトーンの発表会、新体操の発表会。だから、娘の友達のお母さんたちは、わたしの母のことをよく知っている。

出かけるのが好きなタイプではなかったし、方向音痴なのは、わたしと一緒だった。なので、大きな駅で待ち合わせすると、だいたい会えなかった。そんな母だから、わたしの家や娘たちの幼稚園や学校や市民ホールに行くのは、簡単ではなかったはず。

心配の一心で。
孫たちの晴れ舞台を観たい一心で。
カレンダーに丸をして、早起きして、電車で1時間半の道のりを、来てくれた。

そんなことをたくさん思い出してた。

そういえば、逆のこともあった。

こないだ、ここにも書いた、わたしがトイレで死にかけたとき(笑)、たまたま連絡くれた上の娘に状況を話したら、仕事中にもかかわらず飛んできてくれたこと。誰かが心配して来てくれるって、ものすごく安心することなんだって実感した。

だって、娘を待ってる1時間でもうほぼ治ってしまったんだから。


わたしは、母のピンチに飛んでいけてたんだろうか。ピンチじゃなくても、会いたかったときとかあったかもしれない。会いたいなんて言わなかったけど、サインを送ってたんじゃないかな。気づいてても、忙しいとか言って、来月行くよとか言ってたんじゃないかな。




もう少しで、わたしの母が遠くに行ってしまいそうです。心細そうな顔してた母に、今までいっぱい来てくれたから着いていってあげるよって言いたいけど。

せめて、ちょっとだけ安心できるように、手のひらにわたしの香水をつけてきた。
そしたら、わたしが近くに行ったときも見つけやすいかもだしね。

最後に、ありがとうよりも、お疲れさまよりも、大丈夫だよって伝えたいと思いました。

だから心配しなくてもいいんだよ
また逢おう

ベイビーベイビー/森翼

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