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大丈夫、わたしはゴリラなんかじゃない
わたしは子どもの頃からずっと自分に自信がなかった。
あらゆることに自信がなかったけど、とくに「女としての自信」がなかったような気がする。
「女としての自信」って呼んでいるのは、女の子としてかわいいとか好きとかそういう感情を向けてもらえることを当たり前に感じられるような、そんな感覚のこと。
わたしはずーっと自分のことを可愛くない、つまりブスだと思っていた。
わたしは誰の恋愛対象にもなることができない存在なのだと思っていた。
好きな人ができても、その人がわたしを好きになってくれるなんてありえないよね…って遠くから見ていることしかできなかった。
ほんとは好きになってほしかったのに。
今ではだいぶ自分に自信を持てるようになってきたけど、それでもいちばん自信がないのはこの「女としての自信」だと思う。
自分に自信がないってことが当たり前だったから、どうしてそうなってしまったのだろう、とか考えたこともなかった。
そんな中、すこし前にどうしてわたしはこんなに「女としての自信」がないのだろう、それっていつからだろう、とふと考えることがあった。
いろいろ昔のことを思い返していて、これかもしれない、という出来事が思い浮かんだ。
それはわたしが小学校に入学したばかりの頃。
はじめての小学校生活で隣の席になった男の子が、わたしのことをいつも「ゴリラ」と呼んでからかっていたこと。
毎日毎日ゴリラと呼ばれてからかわれていて、次第に他の男の子たちにも広がって、クラスの男の子たちからいつもゴリラと呼ばれていた。
もうはっきりと思い出せないけど、わりと繊細なわたしはきっとそれがすごく悲しくて傷ついたのだろうと思う。
というか、今そのことを思い出すと、なんて可哀想なのだろう…と小さなわたしを思うと心が痛くなる。
言葉が悪くて申し訳ないけど、過去にタイムスリップして、その男の子たちをぶん殴ってやりたいくらい。
どういう意図でゴリラと呼んでいたのかわからないけど、小さなわたしはそれを「わたしは可愛くないんだな」と変換してしまったのだと思う。
そして、それを大人になってもずーーーっと心の中で信じてしまったのだろうな、と。
小学校高学年になると付き合っている子たちもいて、そういう話はすぐに噂になるから、わたしも知っていた。
でも、「わたしは男の子に好きになってもらえるような可愛い女の子じゃないから」って思っていたような気がする。
そうして、だんだん恋愛はわたしには縁のないものだと言い聞かせるようになって、誰かを好きになることもほとんどなくなった。
拗らせたまま大人になったわたしは、たまに好きな人ができるけど、いつもうまくいかなかった。
今から思えば、そりゃそうだろうね…と思うのだけど。
そんなわたしを変えてくれたのは、とある時期にお付き合いしていた彼氏だった。
彼はいつもわたしのことを可愛い可愛いと言っていた。
そんなわけないじゃん、と心の中でいつも思っていた。彼に伝えたこともあると思う。
この人は好みが変なんだな…B専ってやつかな…?などと本気で思っていた。
それでも、彼はいつもわたしを可愛いといってお姫様みたいに扱ってくれた。
結局わけあって別れてしまったけど、彼と過ごした2年弱の間に、わたしは自分に対する自信をすこし取り戻すことができた。
自分に自信がないことが当たり前で、これは一生変わらないことなんだって勝手に思っていたけど、そうじゃないと気づくことができた。
これはすごく幸運なことだったと思う。
その頃から、自己肯定感を高める、とか、自分を好きになる、とかそういったテーマの本をたくさん読むようになった。
自信のない自分を変えたいと思ったから。
ちょっとずつ本で読んだことを実践して、自分を変える努力をはじめた。
そんなにすぐに効果が出るものではないし、正直かなりしんどいこともあったけど、何年もかけて少しずつ変化したと思う。
今では、仕事などにおいてはものすごく自信を持てるようになったし、あんなに嫌いだった自分のことも好きになれた。
でも、傷が大きすぎたのか「女としての自信」はまだちょっと…。
「わたしのこと好きになってくれる人なんているのかな」とか「わたしが誰かに愛される日ってくるのかな」とか、未だにときどき思うことがある。
そのたびに、根気よく何度も自分に声をかけてあげる。
「好きになってもらっていいんだよ」「愛されていいんだよ」って。
「わたしはゴリラなんかじゃないよ。大丈夫、可愛いよ」って。
もし、わたしと似たような経験のある人がいたら伝えたい。
「大丈夫、あなたは可愛いよ。」
顔も知らないくせに、って思われるかもしれないけど。
でもさ、自分で自分を100%可愛いって思えなくても、可愛いところもあるかも?とか「可愛くない」ってところから抜け出すだけで全然違うんだよ。
わたしはもっと早くそのことに気づきたかったなって思う。
いつか、大好きな彼の隣で「昔そんなこともあったんだよ!」ってケラケラ笑える日がやってきますように。
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