永遠の命が欲しい

すべてに永遠の命が欲しい
微生物一匹死なない
物一つ捨てられない
ウイルスもゴキブリも誰も悪者にならない
雑草も外来種も害獣もない

手の届かないところにある星のように
誰も滅びない
星も自然も物も
何一つ壊れやしない
ゴミの存在しない世界

魂は永遠だと思っているけれど
あまりに暗くて心許ない
魂の故郷が分からない
命の意味が見えなくなっていく

命に共鳴しようにも悲鳴が辛い
自分で自分を食っている
命に順位がついていく
あの日捨てたのは自分だったかもね

命をいただく度
物を捨てる度
草をむしる度
何かが一つ削られる

悼まれることもない
名もなき世界

虫たちはすべてお見通しなのだろう
だから人間に懐かないのだろう

細切れになった一心同体でも
物質世界にいる私は物の一つ
同じ地球で生まれ
46億年を共に過ごした

宇宙の記憶と魂はすべての欠片に宿る

心の中に墓地を作ろう
感謝などという光は私には遠い
当たり前ではなかったはず
涙を流すのは無意味だろうか

ただ一緒に泣いてほしいだけでも
心というのは途切れ途切れ
関係ばかりが名付けられ
誰かばかりが讃えられ
言論には暗黙のルール

言葉狩りの日々に疲れて
無難なことしか言えなくなった
きっとまた生まれ変わるから
年も上下もないだろうに
命より大事な幻想のために
今日も命が壊される

感情は優しさの助けになるか
感情が壁を生むのなら
理屈で雁字搦めになるのなら
無感情の愛に耳を傾ける
非言語の海に浸りにゆく

電源を入れれば付き合ってくれる
手を止めれば止まる
買えば一緒にいてくれる
捨てれば消える
物たちの寄り添い

眠りに行けるのが幸せだ
顕在意識の薄れる世界まで
煩わしい権利も手続きもない
誰にも遠慮せず魂に還る

子守歌をお願い