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MI6チーフが過去のLGBT+スタッフに謝罪

見出し写真:(左)ケンブリッジ・スパイの一人、ガイ・バージェス。

(右)MI6のHQには、LGBT+コミュニティ称賛の意を込めて、『プライド』期間中にはシンボルのレインボー・フラッグを掲げている。

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今月はLGBT+月間ということで、本日20月20日付、英『The Guardian』掲載のMI6に関する記事を紹介する。

内容は、MI6(Military Intelligence 6、英国情報局秘密情報部)のチーフであるリチャード・ムーア氏が1991年以前にLGBTであることを理由にMI6から解雇されたスタッフに対して謝罪したというもの。同氏は「ゲイであるというだけで、献身的かつ有能な彼らのキャリアや人生を著しく損なった」と述べている。1991年にLGBTスタッフに対する不当解雇は禁止されたものの、彼らに対する差別や不当扱いは根強く、常に歓迎されない雰囲気での労働だったという。

冷戦時代、同性間のリレーションシップは、それに対する差別があるがゆえ、脅迫に導く道具にされる恐れがあると考えられ、国家の安全保障を危険に晒すと考えられていた。

「この歪んだポリシーは、国家に尽くすという、ロイヤルで愛国心に満ちた人々の夢と希望を奪った。私は今ここで、LGBT+の人々が過去にMI6において不当に扱われていたことに遺憾の意を示すとともに、LGBT+であることが国家の安全保障を危険に晒すことは決してなかったということを明確にしておきたい」と述べた。そして「職場でのダイバーシティは常に効果的であり、仕事内容を有益かつ強固なものにする」と付け加えた。

シークレット・サービスでのゲイ・エージェントに対する偏見・差別に関しては、冷戦中のケンブリッジスパイ、ソビエト連邦に情報を漏洩していたスパイ、ガイ・バージェスとアントニー・ブラントがゲイだった(また、ドナルド・マクリーンはバイセクシャルだった)ことが、その一旦を担っていると言われている。そのせいか、ホモセクシャル男性はシークレット・サービス内において、信用できない人物としてみなされた。

英防衛省は今週、元隊員において、過去にホモセクシャルであることを理由にはく奪されたメダルや勲章の返還要求を受理することにした。しかし、MI6は、これらの不当扱いに関する刑事訴追や、失われた地位、年金補償、賠償金などには一切触れてはいない。

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ホモセクシャルであることを理由に不当な扱いを受けた最も重要な人物に、アラン・チューリングがいる。第二次世界大戦中に暗号解読業務に従事したこの天才数学者は、その功績にも関わらず、同性とリレーションシップを持ったことを理由に有罪判決を受け(当時は同性愛は罪であった)、1952年GCHQ(Government Communications Headquarters)から追放される。その後、科学去勢(ホルモン療法)として投薬されたが、1954年に自殺している。

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ベネディクト・カンバーバッチがイギリスの数学者で暗号研究者のアラン・チューリングを演じた。


ジョン・ル・カレ作、ゲイリー・オールドマン主演の「TINKER TAILOR SOLDIER SPY」でも、ゲイのリレーションシップが一つの重要ファクターだった。

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