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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて考えたこと

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(6)「それを誰が決めるのか?」

トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(6)「それを誰が決めるのか?」

(5)の続きというか、書き切れなかったことを。今回はトーベの人生に沿った話というより、個人的な意見や考察が中心です。

その前に、いろいろと参考&引用させてもらったなかで、やっぱりすごいなと思った本のことを再度、プッシュしておきたいと思います。

2007年に初めてフィンランドに行ったとき、ムーミンショップで買った思い出のスウェーデン語版です。すごく重かった(笑)。店員さんに片言英語で「これはスウ

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(5)「スポーケという言葉の意味」

ここまでトーベの恋愛について、評伝や記事等を元に事実ベースでご紹介してきました。次に、トーベが自身のセクシュアリティをどのように表現/定義していたか、あるいは、していなかったか。

「トーベ・ヤンソンとBisexualness」には次のような記述があります。

「私は幽霊の側に行った」(幽霊"spook/ghostとは、セクシュアル・マイノリティ女性、特にレズビアンを指した当時の隠語)と記していま

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(4)「女性との恋」

トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて考えるために(1)
(2)「最愛の男性、親友の女性」
(3)「ボーイフレンドたち」
note使い慣れていなくて、マガジン化してみたけど順番に並べ変えすらできないのですが、こんな感じで続いておりまして、1946年の秋の終わり、ヴィヴィカ・バンドレルとの出会い、まで来ました。
(1)でもリンクを貼った、ムーミン公式サイトの記事「私は女性と激しい恋に落ちてし

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(3)「ボーイフレンドたち」

前置きは(2)もご参照いただきたいのですが、作品ではなく、作者の私生活について、つらつらと語る必要とは?と思いつつ、そこから見えてくるもの(前回の、時代による表現の変遷とか)もあるよな、というのと、そのために誰かのセクシュアリティを根掘り葉掘り詮索するのも失礼な話では?とか、いろいろ感じています。また、実在の人物、実際にあった出来事に関してネタバレというのも変ですが、先入観なしに作品を読みたい、映

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて(2)「最愛の男性、親友の女性」

前置き。トーベ・ヤンソンに関するさまざまな記事/ご意見を目にする機会が増えたことから、手元の資料を活用して考察を試みることにしました。ここに書いたことはすべてわたし個人の主観であり、特に結論はありません。結論が出せる事柄だとは思いませんし、むしろ、カテゴライズやラベリングは無意味だと考えています。この記事を鵜呑みになさることなく、ぜひリンクやご紹介した書籍をお読みになって、ご自身でお考えいただく一

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トーベ・ヤンソンのセクシュアリティについて考えるために(1)

「トーベ・ヤンソンとBisexualness」と題したブログを拝見して、いろいろ考えたことをツイートしました。それを整理しつつ、より多くの方にご自身で考えていただけるような情報をリストアップしてお伝えしたいと思います。

前提として、ブログ主の生 (Ubu)さんは「トーベのセクシュアリティに言及する際に決めていることがあります。」とツイートなさっていて、あくまでもご自身のご意見を述べられています。

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