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優先順位は誰が決める

脳神経外科の主治医は受診の度に
「血圧低いなぁ。これじゃ脳に血が巡らないから認知症に良くない。立ちくらみとかしないか?」
と義母に聞く。
「はい、急に振り向けばクラッとするし目眩してふらつく」
うーん、急に振り向いたら私もクラッとするけどね。ふらつくのは足が痛いからじゃなかったっけ。
すると主治医は「そうでしょー。心臓肥大で通っている循環器内科の先生に相談して、血圧なんとかしてもらって」

心臓肥大の治療についてネットで調べると、降圧剤で血圧を下げることが必須。その薬を飲んでいる以上血圧が低いのは当然なのである。
夫は「認知症が進んだら大変だから、循環器内科の薬を飲むな」と母に命じようとしたが、おいおい、乱暴な。心臓肥大の治療が必要だから通院しているわけだし、薬も処方されているわけでしょうよ。
ということで、循環器内科には義姉が2ヶ月に1回付き添っているので、脳神経外科の主治医の話を説明し、血圧が下がりすぎる件を相談して欲しい」とお願いした。

循環器内科の診察が終わり義姉からライン。
「排尿障害があったからその薬の影響なので、心配は無いそうです」
確かに先日、尿が出なくて妊娠中毒症みたいに手足が浮腫んでしまい、薬を追加してもらっていた。でも血圧低いのって認知症って診断された当初からなので、排尿障害の薬の影響とは違うでしょう。
心配は無い、とは?脳神経外科の先生が血圧下がりすぎて脳に血が巡らないから調整して欲しい話は?目眩や立ちくらみの相談は?そこは聞いたのか、聞かなかったのか?
このままじゃ結局血圧は上がらないだろう。
これ次に脳神経外科を受診した時、また同じこと先生に言われるじゃん。

そして脳神経外科の診察、案の定
「やっぱり血圧が低い。循環器内科の先生に相談した?認知症進むよ!」
義母というより私が責められる感じ。
これはもう自分で循環器内科の先生に相談するしかないんだろうよ。
翌週、義母と共に循環器内科に行った。予約していないから恐ろしく待たされる。朝イチで行ってお昼まで呼ばれない。なんなのほんと。
そしてお昼過ぎてやっと診察。
諸々お話しすると「そうですか。じゃあ朝1回だけのもっと弱い薬にして様子見ましょうね」
え?
何?こんな話早いの?義姉はどんな風に相談したのか?わざわざ私が来なければいけない話なのか?

まあいいや。これで様子見て血圧が標準になれば脳神経外科の先生にも怒られないだろうし。新しい薬をもらって帰ろう。
もうお昼どころか13時も過ぎている。病院の食堂でご飯食べようと義母に言うと
「ここの食堂まずいから回転寿司に行こう」
わがまま・・・

処方箋をもらい、車を停めやすそうな薬局に寄ろうとすると、
義母「薬局は〇〇薬局だから」
私「いやどこでも一緒でしょ。駐車場無いし」
義母「いつもそこで慣れているし、ちゃんと1回分ずつ分けて出してくれるから。車は店の前に停めればいい」
私「薬もらいに行くの私だし、駐車違反したくないし。どこの薬局でもちゃんと1回分ずつ分けてくれるから、ね!」
頼むから一回でうんと言ってくれ。

義母のわがままが疲れを倍増させるわけだが、改めて考えてみる今回のこと。
心臓肥大が悪化すると死に至ることもあるから、原因になる高血圧の治療が必要。血圧が下がると認知症が進むから血圧をあげた方がいい。
この相反する治療、それってどっちを優先させるべなのか。それって患者と家族が決めていいんですか?分からないから医師と相談して決めるもんじゃないんですか。
それぞれの先生が自分の守備範囲の治療だけ進めたら、どうすりゃいいのかってことよ。
この先、他の病気に罹ったり、様々な症状が出てくるであろう義母86歳。その度にあちこちの先生の間を行ったり来たりするんだろうか。

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