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ヨーロッパ照明器具ブランド紹介 -2.Louis Poulsen(ルイスポールセン)-

こんにちは、現在ベルリンでライティングデザイナーとして活動しいていますmami(@mamichen0929)です。
初回はデンマークの照明ブランドLouisPoulsen(ルイスポールセン)をご紹介します。LouisPoulsenは建築化照明も手掛けていますが、デコラティブ照明が有名なブランドです。筆者の印象は北欧照明ブランドの王様!と言ったところです。


建築化照明、デコラティブ照明、ブランドマップについては前回の記事にて説明しましたので参考にどうぞ。

歴史

1874年にデンマークを拠点に創業した、100年以上の歴史のあるブランドです。ブランドの代名詞とも言えるPHシリーズは1924年にPoul Henningsen (ポール・ヘニングセン)と協働でデザインされました。

特徴

シンプルで美しいデザイン。それがルイスポールセンの特徴です。 人々と空間に影響を与える魅力的な雰囲気を作りだすことが、わたしたちの目的です。
(公式サイトより引用:https://www.louispoulsen.com/ja-jp/private/about-us)

私のルイスポールセンの印象を、以下3点にまとめました。
-光源を見せないアンビエント照明
-配光に無駄のない機能美かつプロダクトそのものの美しさを兼ねそろえる
-デザイナーとのコラボレーション

歴史的にはPoul Henningsen (ポール・ヘニングセン)、Arne Jacobsen (アルネ・ヤコブセン)、現代ではnendoの佐藤オオキ、Olafur Eliasson (オラファー・エリアソン)など、有名デザイナーと協働する形でプロダクト開発をしています。
それもあってかプロダクトひとつひとつのストーリーや作家性を重んじたブランディングがされており、公式サイトではデザイナーごとでのプロダクト検索ができたり、デザイナーがプロダクトデザインを紹介するムービーがあったりとプロダクトへの愛情が感じられます。


プロダクト紹介

それでは一部ですが私個人的に推しのプロダクトを紹介していきます!
(全9プロダクト)

1.PH5

デザイナー:Poul Henningsen (ポール・ヘニングセン)

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お察しの通り、PHはPoul Henningsen (ポール・ヘニングセン)のイニシャルから取られています。ルイスポールセンの初期のプロダクトであり、今尚愛され続ける代表的プロダクトです。デザイン当時、光源となるランプのクオリティにバラツキがあったことを踏まえ、完全にグレアフリー(グレア:眩しさ)かつシェード面の反射によって光が適切に届くように設計がされました。

「わたしは運命を受け入れ、ルイスポールセンの承諾のもと、クリスマスライトであろうが金属フィラメントの100W電球であろうが、どんな光源も使用できる PH ランプをデザインした。ただし蛍光管だけは、今の形では長すぎて入らない!」ヘニングセンはまた、PH 5 で使用する電球の光の演色性の向上にも取り組みました。光のスペクトルのうち、目の感度が最も低くなる赤色と青色の光を補完し、目の感度が最も高いスペクトル中央の黄色から緑にかけての光を抑えるため、赤と青の小さなシェードを加えたのです。
(公式サイトより引用)

2018年には60周年を記念して新たな色の展開をしています。現在は電球のクオリティが向上したため、赤と青以外のシェードでも問題がなくなりデザインの幅が広がりました。

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2.PH Artichoke

デザイナー:Poul Henningsen (ポール・ヘニングセン)

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PH5と同じく、Poul Henningsen (ポール・ヘニングセン)によりデザインされたプロダクトです。コンセプトもPH5と同じく、決して光源を見せず、シェードへの反射を美しく見せているプロダクトです。
この子ひとつで存在感がグッと出るペンダントライトですね。

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余談ですが、名前にあるアンティチョークというのは日本ではあまり馴染みがありませんが、ヨーロッパだとよく見かける野菜のことです。形がよく似ていますね。

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3.AJ Royal

デザイナー:Arne Jacobsen (アルネ・ヤコブセン)

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建築家としても名高いArne Jacobsen (アルネ・ヤコブセン)がデザインしたテーブルランプです。椅子のデザイナーとしても非常に有名ですね。
上部のルーバーによって光が反射・拡散するので、美しい光の挙動が観察でき、また上方にも光が届く設計となっています。

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4.Patera

デザイナー:(オイヴィン・スロット)

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光源を見せないアンビエント照明でありながらも、真下への配光はしっかりと出るような構造になっているプロダクトです。実際に、真下から覗き込むと中心の光源を直接見ることができます。高い位置に置くよりも、テーブルの上に吊るすとより良さを発揮するでしょう。

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下の写真を見て分かる通り、追加のダウンライトなしでもテーブルにしっかり光が届いていることが分かりますね。

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実際にオイヴィン・スロット氏自身が紹介するムービーも公開されています。(英語のみ)


5.Enigma

デザイナー:内山章一

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さて、こちらは日本人デザイナーの内山章一氏がデザインしたEnigmaです。中心に穴があることで真下への直接光が届き、またアクリルシェードによりグレア(眩しさ)をカットした機能的なデザインでありつつ、光が漂っているような印象を受けるペンダント照明です。


6.AJ Table

デザイナー:Arne Jacobsen (アルネ・ヤコブセン)

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AJ Royalと同じく、Arne Jacobsen (アルネ・ヤコブセン)がデザインしたテーブルランプです。
個人的にはシェードは直線的、ベースは丸っぽいデザインのコンビネーションがお気に入りポイントです。

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MINIタイプでは多色展開されています。

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ルイスポールセンの特徴のひとつとして、同じプロダクトデザインのファミリーがあるというのがあります。こちらのAJファミリーはテーブルランプの他にスタンド、ウォールライトなどがあり、統一したデザインで空間の光を構成することができます。

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7.OE Quasi Light

デザイナー:Olafur Eliasson (オラファー・エリアソン)

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光を題材にした作品が多いアーティストのOlafur Eliasson (オラファー・エリアソン)がデザインしたペンダント照明です。かっこいいのですがアーティスト作品ということもありお値段160万円(!!!!)もするので私もプロジェクトで使用したことはありません、今後も無いでしょう。(笑)
私自身も、去年行ったロンドンのTate Modernの彼の展覧会のカフェエリアにあったので初めて現物を見ました。こちらも美しい紹介動画があります。


最後の2つはルイスポールセンの建築化照明を紹介していきたいと思います。あまり種類は豊富ではありませんが、建築と一体化しつつもデコラティブ照明のような美しさと存在感を醸し出すプロダクトがあります。


8.Flindt Wall

デザイナー:Christian Flindt(クリスチャン·フリント)

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デザイン性に優れながらも、屋外でも使用できるウォールライトです。水平面を十分に照らしながらも、壁の装飾ともなるようなプロダクトです。円の面に伸びる光が綺麗ですね。

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9.Albertslund Post

デザイナー:Jens Møller-Jensen

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街灯照明のプロダクトです。こちらも光源が見えないような配慮をされたデザインです。とてもお洒落なのですが、やはりマテリアルへの反射で光が届く設計なので、他の照明である程度明るさの担保された場所、もしくは公園やランドスケープの人通りが少なくあまり明るさを要求されない場所に使うのがおすすめです。

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随分と長くなってしまいましたが、以上で今回のルイスポールセンの紹介は終了です!他にも沢山のプロダクトがありますので、気になったら是非公式サイトを見てみてくださいね。
それでは次回は建築化照明ブランドよりドイツのErco(エルコ)を紹介していきたいと思います!!

ALL PHOTO CREDIT: Louise Poulsen
Louis Poulsen 日本語 (https://www.louispoulsen.com/ja-jp/professional)
Louis Poulsen 英語 (https://www.louispoulsen.com/en/private)


仕組みづくりからサステナブルな社会をめざすドイツの建築・都市計画事務所ASOBU GmbHにて、ライティングデザイナーとして参加しております。
場所や時間から解放されたフルリモートな働き方で、世界中のメンバーと協業しています!御覧ください!
https://www.facebook.com/ASOBU.GmbH/

https://www.asobu-gmbh.com/

 







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